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1年越しに完成!『5つの産地を巡る新茶セット』で、日本茶の多様性を五感で体験してみませんか?

はじめまして。石井食品の公式オンラインストア、『無添加調理専門店 イシイのオンラインストア』で日本茶の仕入れを担当している内藤と申します。煎茶道を習い始めて7年目。ここ数年で煎茶にハマり、社内でも有志の部活動『お茶部』をはじめて1年になります。

煎茶にハマりすぎて、外でもお茶を淹れています。 撮影:鈴木竜一郎

会社にも急須を持ち込み、お茶仲間を増やそうとお茶を配っていたところ、もともとオンラインストアの担当部署にいたことから、社長の石井に「内藤さん、お茶も販売してみたらいいんじゃない」と声をかけてもらい、準備期間を経て、2021年7月からお茶の取扱いを開始しました。

石井食品は「日本一、生産者と地域に貢献する食品会社になる」という目標を持っています。主力商品のミートボールやハンバーグの素材ではありませんが、食事の締めにあるとほっとするお茶をつくる農家さんも、もちろん生産者。持続的な発展のために日本茶の魅力をお伝えすべく、お茶の美味しい飲み方のリーフレットをセットにして、気軽に召し上がれるお茶のティーバッグを中心にご紹介・お届けしています。

そんな私の実現したかったこと、新茶のセットをお客様にお届けする企画が、1年越しに実現しました!

新茶シーズンは、お茶業界の一番の繁忙期

オンラインストアでお茶の販売初年度(2021年)に実現できなかったことが「新茶のセット」です。

そもそも「新茶」とは、その年の最初の新芽を摘み取ってつくられたお茶のことで、「一番茶」とも呼ばれます。冬を越え、栄養を蓄えて春に成長する新芽には旨み成分が豊富に含まれています。若葉のような爽やかな香りが楽しめるのも特徴です。

「一番茶」は年間に収穫される中でも飛びぬけて高品質なお茶となるため、市場で売買される最終加工前の「荒茶」はこの時期にほとんど売買されるといっても過言ではありません。お茶農家さんにとっては収入を決める一番大切な時期、お茶を仕入れるお茶屋さんにとっては1年間のお茶の質が決まる大切な時期です。

イシイのオンラインストアでは、「お客様に気軽にお茶を楽しんでいただきたい」という思いから、新茶のセットも気軽にいろんな味を楽しめる、1煎分ずつの茶葉をパックにしたものを企画していました。

しかし一番の繁忙期に、1煎分ずつ封入をする手間のかかるパックを、誰が作ってくれるでしょう…。1年目は直接各地のお茶農家さんにお声かけし、1煎パックのセットを作ろうと試みましたが、採算がとれず、実現までの時間も足りなかったことから断念しました。

「お茶を楽しんでほしい」という思いの強い人を探す

イシイのオンラインストアはお茶の販売1年生。まだお茶をめがけて買いにきてくださる方はごく少数です。それゆえ販売できる数量もごくわずか。しかしわずかだからこそ、「お茶初心者にお茶の楽しみをもっと知ってもらいたい」「お茶仲間を増やすのに力を貸してみよう」という志でご一緒してくださる方がいるのではないかと、新茶の企画を引き受けてくださりそうな方を探しはじめました。

お茶好きが一生懸命お茶の事を語らない「三煎目ラジオ」

お茶好きの一般の方や、お茶屋さん、お茶農家さんなど気になる方々をフォローして記事を見ているうちに、「三煎目ラジオ」というポッドキャストを見つけます。2021年の1月にはじまったこのラジオ、スタートの「お茶好きが 一生懸命お茶の事を語らない 三煎目ラジオ~!」という導入に心を打たれました。

何かのマニアが好きなことについて語っても、専門的すぎて分かりづらかったり、上から目線が気になったりして、素直に受け入れられないことってありませんか。冒頭で「お茶好きだけど、一生懸命語らないから、よかったら聴いてみてね」という優しいメッセージを受けて、「垣根を作らず、いろんな方にお茶のことを知ってもらいたい」というお茶愛を感じ、毎週楽しみに拝聴するようになりました。

ある日三煎目ラジオを聴いていると『やる時はやる、令和の日本茶プロデューサー/タディ(多田製茶の専務・多田雅典さん)』が、リスナーに向けてオリジナルの日本茶をプレゼントすると仰った回がありました。日ごろから多田製茶さんが依頼を受けて、面白いお茶を作っていることをinstagramやWEBマガジンの記事で見ていた私は、「この方は仕事の大小にかかわらず、面白そうな仕事を引き受けてくれるタイプの方なのではないか」と直感しました。面白い映画なら予算の大小に関わらず出演する俳優さんと同じで、「お茶好きだからこそ、引き受けてくださるのではないか」と。

ダメもとで多田製茶さんにDMを送ってみる

改めて多田製茶さんの商品ラインナップを見ると、もともとお茶の魅力を伝えるために、5種類のお茶をセットにした商品を販売していました。この商品をベースに、イシイのお客様のための商品を作っていただけないか、まずはダメもとで多田さんにinstagramのダイレクトメッセージを送ってみました。

多田さんは「イシイのおべんとクン ミートボール」を幼少期に召し上がっていて、CMも覚えてくださっていたので「あの石井食品か」と新茶のセットにも興味を持ってくださいました。そしてラジオのファンからのオファーをとても喜んでくださり、力を貸していただけることになったのです。

全国の美味しいお茶を知っている、伝える表現力を持つパートナー・多田雅典さん

多田製茶の7代目、多田雅典(まさのり)さん

現在日本茶は、北海道~沖縄まで日本各地で生産されています。私はこの新茶のセットを通じて、お茶が有名な産地の静岡や京都以外でも栽培されていることや、深蒸し、普通蒸しなど仕上げの方法で味や香りが変わること、品種も有名な「やぶきた」だけでなく、多くの品種があることをお客様にお伝えしたかったのですが、その多様性・味や香りの違いを分かりやすく言葉で表現するのはとても難しいことでした。

多田さんは大阪の製茶問屋で日本全国のお茶を扱い、また茶味(ちゃみ)の表現の研究にも取り組まれていることから、セレクトだけではなく、表現についてもアドバイスをいただき、安心して企画を進めることができました。

その年の良質なお茶をセレクトし、プロの仕上げでさらに美味しく

お茶問屋さんとご一緒して感じた利点は、その年の美味しいお茶を目利きして仕入れてくださること。日々仕入れるお茶が決まっていく過程で、多田さんから「こんなお茶を選びました。」とご連絡をいただくのはとてもワクワクしました。

そしてお茶のプロの真骨頂は、お茶の味を左右する最後の加工技術に表れます。火入れの仕方によって、お茶の特徴をさらに分かりやすく表現することができるのです。お茶そのものの味を活かすのか、香りを活かすのか。1つの仕上げでどちらも活かすことは難しいため、どちらも活かしたい場合、多田製茶さんはお茶を半分にして、2種類の火入れをしたものを再びブレンドすることも。そんなこだわりの仕上げを経て、5つの産地の新茶が完成しました。

今年の新茶ラインアップ

今年の新茶ラインアップはこのようになっています。

お茶のパックは最終的に1種類につき2煎分(10g)ずつ入れることになりました。

・濃厚な旨みを楽しめる福岡・八女産やぶきた
・甘みを感じる味、香りの鹿児島・霧島産めいりょく
・香りが豊かな滋賀・朝宮産やぶきた
・質のよい煎茶のスタンダードな味、京都・宇治産やぶきた
・透明感のある味わいの三重・伊勢産さえみどり

新茶セットの味のバランスはこのようになっています。

「あれ?結局やぶきたが3つも入っているじゃないか」と思われた方。お茶の栽培方法や加工の違いによる味わいの違いを感じていただけるので、あえて同じ品種も選んでみました。

お茶をお届けする際に同封するリーフレットには、美味しいお茶の淹れ方、今年のお茶がどういう特徴なのかのレポートも入っています。ぜひお茶を飲みながらリーフレットもご覧いただいて、それぞれの産地に思いを馳せていただければ幸いです。

詳しくは無添加調理専門店 イシイのオンラインストアでご紹介していますので、ぜひご覧ください。


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