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「IB教育」他と何が違う??

こんにちは。
現役でIBを受けている高校生でYouTubeをやっている、Diploma Boysというグループです。我々はYouTubeをメインでやっていますが、IB教育をもっと広めて教育の選択肢として増やすためにnoteでもIBの情報を発信しています。

今回はIB教育を他の教育システムと比較してIBの特徴を見つけていきます。
今回はIBの中でもDiploma Program, 日本で言う高校にあたる課程を比べていきます。


比べる観点

この記事では以下の観点からIBの特徴を探っていきます。

  • 年数

  • 学校の数

  • 科目

  • 課題

  • 金銭面

  • アクセス

年数

まず教育システムの年数ですが、IBのDiploma Programは2年間のプログラムとなっていて、一般の高校の3年に比べると短いことが分かります。

学校の数

次に学校の数。今回は日本における数を比較していきます。日本には全日制高校が約4700校存在していて、定時制や通信制も加えると約5000校の高校があります。そのうち、IB認定校は112校あります。各都道府県に2つはある計算になります。ただ実際には、多くのIB認定校は東京や神奈川、大阪など大都市に多く、22都道府県にはIB認定校がありません。

科目

続いて科目について。
日本の高校では一般的に国語、理科、社会、美術・情報・家庭科・音楽・外国語にざっくり分けられます。理系の人は数Ⅲを履修したり、文系の人は社会の科目が多かったり、多少変化はありますがおおまかこのような感じです。原則として高校を卒業するには74単位の必要です。

一方でIBの科目選択のシステムは少し特殊です。IBには6つのバンドと呼ばれるものがあり、それぞれのバンドから1教科づつ選択し、計6科目の授業を受けます。6つのバンドとは言語と文学言語学習個人と社会理科数学、そして美術の6つです。ただし、美術の代わりに追加で個人と社会または理科から教科を選択することも可能です。

私(筆者)は国語、英語、地理、物理、数学AA*と化学の6教科を選択しています。
*数学AAについてはのちにより詳しく見ます。

IBでは選択した6つの科目の中からより内容の多い、より発展的な内容を扱うHigher Levelにする科目を3つ選ぶ必要があります。そして選択しなかった科目をStandard levelと呼びます。Higher Levelの科目は当然、授業数も増えます。Standard Levelは指導時間、最低150時間が目安ですが、Higher Levelは最低240時間の指導時間が目安となっています。私達の学校では高校3年からStandard Levelの教科は週2時間、Higher Levelの教科は週7-8時間授業があります。内容もHigher level では Standard Levelより高度で発展的な内容を扱います。課程の最後のテストでもテストの時間がHigher level のほうが長かったりします。なにより大学の学部などによってIBを使って受験をするときにHigher Levelを取った科目の要件があったりもするので、大切な選択となってます。

私(筆者)は数学AA、物理と化学でHLを選択しています。
まあ、もうゴリゴリの理系ですね。
ちなむと、Diploma Boysは全体的に理系っぽい人が多いです。

これらのバンドの中には変わった面白い科目もあるのでいくつか紹介します。ただし、学校によって受けられる科目が違うので注意も必要です。

Film (映画)
IBにはFilmの授業を受けられる学校があります。もちろんFilmは美術のバンドに入っています。Film・映画の授業では映画の要素の分析や映画の進化だったり、映画を作るうえでのルールだったりを学びます。さらに、HLを選択した人はなんと実際に映画を撮影します。

Dance (ダンス)
同じく美術のバンドにはダンスという科目がIBには存在します。この科目ではダンスのスキルはもちろん、オリジナルダンスパフォーマンスなどを自分で作る必要もあります。さらには世界の様々な文化のダンスなどについても勉強します。

Sports, exercise and health science (スポーツ科学)
理科の科目にはスポーツ科学のような科目も存在します。この科目は解剖学や生理学・生体力学などの分野について学びます。また、栄養学など、健康関連の内容も学べるようです。スポーツ科学のように人間の動きなどについて科学的理解を深める科目のようです

World Religion (宗教)
個人と社会のバンドではWorld Religionという宗教に関する科目があります。この科目は2011年にできた比較的新しい科目です。その名の通り世界中の宗教について学習をします。仏教・キリスト教・イスラム教など。宗教そのものだけでなく宗教がどのように人の生活や営みに影響しているかなども学習するようです。

まだまだ、特に理科と個人と社会のバンドでは科目がたくさん存在しています。以下のサイトは英語ですが、IBが提供する科目の一覧が乗っているので興味があればぜひ見てみてください。

https://www.ibo.org/programmes/diploma-programme/curriculum/

さらに、IBでは数学に2つのコースが用意されていて、1つがMath AAと呼ばれる、Mathematics Analysis and Approaches (数学 分析とアプローチ)です。もう一方はMath AI と呼ばれる Mathematics Application and interpretation (数学 応用と解釈)です。名前の通り分析と応用など違いはありますが、私の認識だとMath AAの方が一般で言う理系の選択だと思います。Math AAではより数学の理論や公式や分析などをしていきますが、Math AIではより応用や現実世界に関連した数学を学びます。

長くなりますが、最後にIBにはTherory of Knowledge (TOK)という授業もあります。日本語では知の理論といいます。TOKは知識そのものについて理解を深める授業です。(そう認識してます)
知識はどのように形成されるのか。やどんな要因が影響するのか。など哲学のような雰囲気もあります。これはIBにしかないような授業で難しいですが興味深い授業でもあります。

課題

続いては課題のシステムについて話していきます。
IBの課題の形式は大まかに2種類あります。
1つはテスト、もう1つはInternal Assessment (IA)と呼ばれるものです。

テストに関してはIBは課程修了の前にFinal Examといって全科目でテストを受け、そこでの点数がIBの各科目の成績に反映され、IBの合否・大学の出願などに影響してきます。

もう一つのIAは直訳で「内部評価」となります。IAとは学校内で評価される提出物の課題で各教科少し形が違います。例えば、理科系の科目では実験を計画、実行し、それに関するレポートを書くという課題が出されます。それが理科科目におけるIAになります。一方で国語や英語などの科目ではIndivisual Oral / 個人口述という名前で課題があり、授業で勉強した文学作品等についての10分間の口述+5分の質疑応答からなる試験があります。
HLとSLでIAが占める成績の割合は前後しますが20~30%あたりを占めます。

これらに加えてIBにはCASという課外活動をする課題があります。CASはそれぞれ、Cが創造(creativity)、Aが活動(Activity)、Sが奉仕(service)という言葉の頭文字でその名の通り、創造性、活動、奉仕のいずれかに当てはまる活動を2年間のうちで継続的に行う必要があります。そして、そのCASの最終発表がFinal Examのあとにあります。それも評価され、基準を満たさない場合はIBの資格を取れるかどうかにも関わります。

もう一つ、Extended Essayと呼ばれる課題がIBにはあります。EEとよく呼ばれますが、自分が選んだトピックで英語なら4000ワード以内でレポート・エッセイを書くというものです。国語や英語、物理や数学など一応科目に沿ったトピックを選ぶ必要はありますが、それ以外は基本トピックは妥当なものであれば自由です。自分の興味について学校の課題として取り組める形の課題としては面白くて特有なものだと思います。大変ですが、、

最後にTOKにも課題があります。TOKにおける課題は2つあって、1つはTOK Exhibition、もう1つはTOK Essayです。TOK exhibitionは直訳でTOK展示です。内容としてはプロンプトというテーマのような指示・質問があり、そのテーマに答えたり議論するための3つのもの(Object)を選び、それをもとに議論するものです。TOKの成績の3分の1を占めます。もう一方のTOK EssayもExhibitionと似たように指示・質問に対してAOKと呼ばれる知の領域というものと具体例・事例をもとに議論・答えるというものです。

以上のようにIBにおける課題は一般的なテストという手法の他にもエッセイや口述試験など幅広い方法で評価していると思います。

金銭面

金銭面についてですが、日本にあるIB認定校は私立やインターナショナルスクールが多いです。国公立や県立・都立・府立のIB校もありますがまだ少ないのが現状です。実際に、私が行っているIB校も私立の学校です。一般に私立やインターナショナルスクールは学費が高額になってしまいます。これらの要因がIBが現状あまり普及していない理由の1つかもしれません。
とはいえ公立のIBこうもあり、紹介している記事があったので下に載せておきます。

アクセス

前に学校の数のところでも触れたようにIB認定校はどこにでもあるわけではありません。約半数の県にはIB認定校がなく、県外の学校まで通ったりする必要があります。そのような要因もIBというシステムが普及していない理由とも考えられます。また、IBでは原則として英語、スペイン語、フランス語の3ヵ国語で教えられています。日本語DPというのも存在はしていますが、おそらく英語での授業がメインになります。そのような言語の壁というのもIB教育へのアクセスが悪くなっている要因ではあると思います。YouTubeで日本語でIBの教材や解説などの動画はほぼ見ませんからそういうところでも普及されていないなと感じるし、アクセスが日本語だと難しいなと感じます。

以上6つの観点からIBの特徴というものを見てみました。後半の方に関しては比較というよりIBのことだけ話していたような気もしますが、IBの特徴などが伝わったらいいなと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございます。

最後に宣伝のようになりますが、私達Diploma BoysはYouTubeのChannelで動画を上げています。先程挙げたIBの日本語での情報が少ないということでYouTubeという媒体でIBに関する情報の発信・IBと関係のある企画などを行っています。ぜひ見てみてください。

単語リスト

最後の最後、IB関連の単語のリストと説明

  • IA - Internal Assessment / 内部評価 - IBの成績に入るレポートなどの課題

  • Math AA - より数学の理論や分析などを行う。より理系のイメージ。

  • Math IA - 数学の応用や現実世界での数学について学ぶ。文系のイメージ

  • TOK - Theory of Knowledge / 知の理論 - 知識とは何か。知の領域などについて学習するIB特有の授業

  • AOK - Area of Knowledge / 知の領域 - 数学、自然科学、美術、人間科学、歴史の5がある知識の中の分野。TOK essayで使う。

  • CAS - Creativity, Activity, Service / 創造性・活動・奉仕 - 課外活動のようなもので何かしら創造性や活動や奉仕に関わる活動をする課題。

  • EE - Extended Essay / 課題論文 - IBの6つの科目2関連するトピックについて自分でリサーチや実験などをして書くエッセイ・論文

  • SL (Subject)- Standard Level - HL Subjectではないもの。

  • HL (Subject)- Higher Level - SLより発展的な内容を学習する科目。

これらの言葉、IB生はたくさん使います。1日に10回はこれらの言葉を発してると思います。そのくらいIB生にとって命のような言葉たちです。
Diploma Boysの動画でもこれらの略語はすでにたくさん出てきていると思います。わからなくて困ったら気軽にここを見てみてください。完璧な説明ではないですが雰囲気がわかると思うのでぜひ参照してください。

以上です!長々となりましたが、読んでくれてありがとうございます。

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