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ぼくらが(アフリカとかスタバとかへ)旅に出る理由|旅のしたく

本とスタバとアフリカ

有給をとって、近所のスタバへ本を読みにいく。十月になったのにまだアイスコーヒーを飲んでいる。スタバのは氷が大きくて、かき混ぜたときの音が好きだ。

コーヒーを受け取り、席について、本を開く。本を読むことは、現実をひととき離れて、想像力の世界へ旅に出ることだとおもう。日々のこと、例えば提案書の〆切を忘れて、本に身をあずける。どこにいてもできる無限の旅。

アフリカに行くことも本をスタバで読むことも似ているとおもう。どちらも現在地から遠くへ旅に出ること。今いる場所を離れ、どこか違う場所にあるものや人に新しく出会うこと。

例えば、今日は、本を読んでいて次の一節に出会った。

文学的信条や理論は刺激剤にすぎないので、完成された作品は、しばしばそれを無視し、時にそれらと矛盾することすらあるのです。

J.L.ボルヘス. 続審問. 岩波文庫., 2019(2009). P.112.

文学理論というのは例えば卑近な例でいうと「キャラを立てないと」とか「もっと盛り上がる展開がないと」みたいなことで、でも、優れた作品はそれをやすやすと飛び越えていく。「こうあるべきだ」という唯一解はないとボルヘスは言う。

理論は理論、作品は作品というのは、読書をあくまで快楽と捉えていたボルヘスらしい考え方だなと思う。読書は規則のあるゲームではなく、広がりを持った遊びであるということ。そこでは、作者の思い(信条)すら必要条件ではなくなる。

旅をする理由

ぼくは大学院に行ったので、就職が遅く、就職前はネットで色々調べた。大学院で無駄に歳を重ねた人間を取る会社はないという意見があって、今思うと何様だとほんとに思うけど、当時はわりと凹んだ。就職できないかもと思った。

でも、社会に出てみたらそんなことはなかった。日々暮らしていると、いろんな人がいるのに、「こうあるべきだ」と言う極端な意見や優位な言説がすべてに思えて振り回される時がある。ボルヘスの文章を読んで、そんなことを思い出した。

そういうときに旅はいい。世の中には色んな意見があるということ。今いる場所の外では別の人たちが当たり前に生きているということ。それを知ることが少しだけ人を自由にしてくれる。深呼吸をする余裕を与えてくれる。

関東は今日(10/13)は気持ちのいい秋晴れです。みなさんもよい一日を!

(おわり)

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