アジア料理店と引越し病
5月半ばまで日本です🍡関東は今週寒かったですね〜
2024.03.25 月
会社近くの安中華屋が、＊＊楼という店名から漢数字が三つ並んだ不思議な店名に変わっていた。「一二三」とか「七七七」みたいな名前である。メニューや価格はそのまま（例：豚肉ときくらげの炒め物定食八〇〇円）で、変わったのは名前と看板だけだった。ビルの二階にあり、窓がなく、床が少しべたべたしていて、全席喫煙可で、ランチを頼むとまずレタスと大根のサラダが出てくる店だ。
同じ日の夜、ランニングしたら、別の場所にあったインド料理屋がいつも走るコースの途中に移転していた。ここは、元々奥まった場所にあったのが、交差点沿いになり、店内も明るく広くなった。区役所の近くなのでランチが混みそうだ。数ヶ月前に別のインド料理屋も移転したし、近所のアジア料理店がこのところ立て続けに引越し・改装している。
初期費用はバカにならないだろうに、なんであんなに引っ越すんだろう。店舗が二年契約とか？ 首をひねるが、僕自身、人生で引っ越しした回数は十回以上になるから偉そうなことは言えない。父曰く、僕は「引越し病」らしいが、引っ越したいという理由だけで引っ越したことは一度もない。なぜかいつもその必要に迫られるだけだ。書いて気づいたけど、すでに「引越し病患者」の言い分になっている気がする。違う、俺が悪いんじゃない、引っ越しが悪いんだ！
まさか引越し病ではないだろうが、アジア料理店の引越し・改装は「同じ椅子にずっと座っていたらお尻が落ち着かなくなってきたので変えてみたよ」という感じでその軽やかさが見ていて爽やかである。風のように移動し、いなくなる時はあっさりいなくなる。移動するアジア料理店のように生きることに憧れる気持ちが、僕の中にも少しだけある。
2024.03.26 火
スーパーで「わさび菜」を一袋百円で買った。同居人とサラダで食べたら、爽やかな味で美味しかった。「わさび菜」って何だろうと調べたら「からし菜」の改良品種だそうだ。「からし菜」は「高菜」の仲間なんだって。
2024.03.27 水
今週の一枚
関東は金曜日の朝までずっと冬の寒さで、
金曜日に降った強い雨が明けて、尻上がりにあたたかくなりました
2024.03.28 木
大江健三郎・古井由吉の「文学の淵を渡る」を読んだ。日本の現代文学の大家二人の対談本。意味が分からなくて良いと感じた部分と、意味が分かって良いと感じた部分が両方あった本だった。下は後者。
大江：ところが、このところ「文学の読者は生きている」ということを思うんです。私の読者という意味じゃないですよ。今日、本を読む人がいて、過去に読んだ本を思い出している人がいる、将来も本を読んでくれる人はいるだろうと、文学の読者の存在を信頼してるんです。
古井：また、読者の中で、いなくなった作者がたとえわずか三行ばかりでも生きるってことがあるでしょう。たとえば僕が高校の頃読んだ文豪の作品、当時はそんなにわからなくても、鮮明に残る数行がありました。で、後年、それに導かれて読み返すわけです。
2024.03.29 金
プロ野球開幕！ でも、ひいきのチームは負けてしまった。
2024.03.30 土
今週は仕事で疲れていて、休みなのに、ずっと寝てしまった。そういう日もあるねなんて思えないくらいには休みの日が貴重だよ〜もったいね〜〜
2024.03.31 日
母が定年退職を迎える。何か労おうと、弟と話してお菓子を送ることにした。母の好物はおからなので、おからクッキーを検討したのだが、おからというのは贈り物よりは普段着に近い。弟が提案してくれたプリンはあいにく丁度いい詰め合わせがなかった。どうしようか悩んだ末にシェリュイのカヌレを選んだ。
今３０歳の自分には定年はまだ想像もつかない。でも、子供の頃は大学生が、大学生の頃は３０歳の自分が想像できなかったなと思う。それは「成長」だけど、僕の中では「はみ出し」に近い。人は少しだけ自分の想像をはみ出して年をとっていくのだと思う。はみ出したい人も、はみ出したくない人も、否応なく。
みんな、色んな「はみ出し」をしてきたんだろうなと思う。
最近、ボルダリングが好きで、週に一回通っている。壁の出っぱり（ホルダー）に手をかけて登っていくあれだ。力をこめて身体を持ち上げると、もう限界と思っていても、たまにふっと身体が浮いたように持ち上がることがある。その時の感覚がすごく好きだ。「あれ、思っていたよりもできたぞ」という感覚は「はみ出し」に似ている。自分の想定を超えて自分がそこにいる感覚というか。
そしてまた、持ち上がれる。
年度末ですね。この文章を読んでくれた方の中にも、定年・入学・転勤・転職など明日から新生活の方もいらっしゃるんでしょうか。無理せず、ごはんをしっかり食べて、健やかにがんばりましょうね。まずは、よい一日を！
（おわり）
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