見出し画像

夏の龍、蓮より生ず/新画材を試してみた

「呉竹の顔彩(商品名『顔彩耽美』)を買いました」という話を出したのは確か今年五月の裏打ちの報告書。

水墨画は墨の濃淡だけで表現した絵が断然好みだけど、色も合わせられるようになったほうがいいのではないか、と以前から思っていて、探してみたらドイツAmazonで呉竹の顔彩セットを取り扱っていたので購入。
買ったはいいもののなかなか使い始められずにいたところ、最近になって某SNSでこの『顔彩耽美』をイラストに使っているスウェーデンのイラストレーターを発見し、「なんだ、普通に水彩絵の具として使えるのか!」と目から鱗。

何が目から鱗だ、画材なんだからそれで何を描こうと個人の勝手ではないか、と思われてもしょうがないのですが、どうも「日本の伝統的な絵の具なんだから日本的な画法に使うべきもの」と思い込んでいたようです。

とは言え水彩画にはSchminckeの固形水彩を気に入って使っているし、やはりこの顔彩は水墨と合わせるためだけに使おうと思っていたら、なかなか使い始められない。墨を磨ると墨に夢中になってしまい、顔彩のことなど忘れてしまう。

手前が呉竹の顔彩耽美で奥がSchminckeのHoradam。
どこで撮ってんだって話なんですが、制作はすべて床に座ってやるワタクシ、制作机の下で床に伸ばした足の上に並べて撮った写真です……。

これではせっかく買ったのにもったいないと思い、顔彩で水彩画を描いてみることにしました。
紙はいつものHahnemühleのBamboo。

それで仕上がったのが、こちら。


『Prý se narodil z lotusu』 26 x 37 cm 顔彩

何と言うか、水彩画だっていうのに頭から「日本産の画材を使っているのだ」という思い込みが離れていない画風とモチーフになっていますね。

この絵に普段作品に入れるサイン「Ru」ではなく書や水墨画に入れる草書の「薫」を入れてしまったのは、描き上がってからそのほうが断然似合っている気がしたから。

この大きさでは家ではスキャンできないので掲載しているのは写真で色味がイマイチなのですが、原画は全体的にもっと鮮やかな色合いです。
それでも、Schminckeで普段描くものより淡い色合いに仕上がっているのも事実。

暑さ厳しい日本に少しでも「涼」が届く一枚となっていればいいなあという願いを胸に抱きつつ、様々な地域で揺れているらしい日本列島にお住まいの皆様が穏やかにお盆を迎えられますようにと祈りを込めて。


日本帰省に使わせていただきます🦖