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「コンテクスト文化」を知れば、会議でのストレスから解放される!

コミュニケーションを語るときには、いろいろな切り口がありますが
コンテクスト(文脈)文化」という概念をご存知でしょうか?

コミュニケーションにおいて、
発した言葉だけが相手に伝わる「低」コンテクスト文化と、
言葉にしていない内容や想いまで相手に伝わる「高」コンテクスト文化と、いう異なったスタイルが存在するのです。
世界でもっとも「高」なのは日本人と言われています。
そして対極のもっとも「低」に位置するのがドイツ系スイス人やドイツ人
です。(米国文化人類学者 エドワード・T・ホール)

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「低」の国では、言葉に発したことだけが相手に伝わります
よって、話し手は、伝えたいことをすべて口にしなければならず
聞き手は、聞いたことだけを理解するというコミュニケーションです。

一方で、「高」の国では、話し手は伝えたいことすべてを口に出さず聞き手の「察し」に頼ります
よって聞き手は、常に話し手の言葉の裏に隠された思いをくみ取らなければなりません。

日本では「忖度(そんたく)」や「空気を読む」ことが時として尊重されますし、
一(いち)言えば、十(じゅう)理解してくれる」人が重宝されるわけです。しゃべるほうも、相手の理解力・洞察力に期待するのです。

ドイツ人社会で「空気を読む」ことはありえません。お互いにしゃべったことだけがすべてです。
なので、発言が長くなるわけです。

同じグループのなかで、共通の「知識、体験、価値観、嗜好性」が多ければ多いほど、「高」コンテクストな文化圏となっていきます。
日本は民族的に同一性が高く、団体で行動する傾向が強いことから、コミュニケーションにおいて多くを語らなくても分かり合えるという文化圏と言えます。

欧米人は、他民族や他国からの侵略の歴史により、同じ国民でも様々なルーツや価値観を持っているため、言葉だけが理解の基盤となっています。

このようなスタイルの違いにより、日本人と(とくに)ドイツ人とのコミュニケーションにはお互いにストレスがたまりやすくなります。

わたしもドイツで6年間駐在して仕事をしていましたので、ずいぶんと
このストレスには苦しめられました。

「そこまで説明してくれなくてもわかるわい!」ということが多かったし
逆に「そんなことまで言わなきゃわかんないのかよ!」というストレスです。

そして「低」コンテクスト文化圏で生きる人たちには気遣いや遠慮もありません。「忖度」や「空気を読む」なんてまったくありえないのです。

簡単な例です。
日本人同士であれば、ちょっとした用事で自宅を訪れた知人に
「ちょっと上がっていって、お茶でもどうぞ」と言っても
「いいえ、この後も用事があるので」と、特に用事なんてなくても遠慮しますよね。
そこで念のため、誘っているほうがもうひと押しすると
「そうですかぁ、ではちょっとだけおじゃまします」となるわけです。

ドイツ人であれば、
「ちょっとあがってお茶でも」と誘うと
「はい、ではいただきます」となるわけで
遠慮がなく、相手の腹の内を読む必要もなく
とても明瞭で分かりやすいのです。
「忙しいのでけっこうです」と言われたら
「はいそうですか」で終わり。もうひと押しは不要です(笑)。

わかりやすいという一方で、恐れずに言うと
とても「ドライ」な人間関係と感じてしまいます。

欧米人は自己主張が強いというのはよく言われますが
これもこの「低コンテクスト文化」に由来しています。
主張したいことがあれば声高らかに発言しないと
誰も気にしてくれないからです。

上の図で示した通り
「高」と「低」の中間ほどに位置するスペイン人やイタリア人とも
私は仕事をしてきましたが
たしかにドイツ人ほどドライな印象はありません。
「あ~、すべて言葉にしなくても分かり合えるな~」という感覚です。
ウエットで暖かい感覚です。

「欧米人」とひとくくりにすることが多いですが、このコンテクスト文化というコミュニケーションスタイルにおいては、国によってけっこう差があることを実感しています。

日本は中国とともに極端な「高」でしたが、
日本人の若い世代は、「低」方向へ少しずつ移動しているように感じます。
これは決して悪いことではなく、グローバルスタンダードは「低」コンテクスト文化だと認識すべし、です。日本人もグローバルスタンダードに近づきつつあると考えましょう。

とはいえ、言いたいこと、考えていること、伝えたいことを抜け漏れなく、すべて口に出すというのは、日本人にとってとてもエネルギーを消耗します。
海外で仕事をするということは、このコミュニケーションひとつとってみてもストレスフルだということです。

ところが、「低」コンテクスト文化圏のひとのなかにも、
「気遣い」や「空気を読む」ことができる人もいるんですね。
これが日本人にとってはアブナイのです。次回は、そのお話しをしましょう。

ではまた、Ciao!!


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