コロナ禍に際しお勧めされていた伊藤計劃著「ハーモニー」がほんとに素晴らしかった話

小説をほぼ読まないので伊藤計劃氏のことも当然存じ上げずだったんですが、読んで良かったですめちゃくちゃ面白かった。SFってな思考実験が楽しい派なんで、ほんとにこういう小説が読みたいんだ。

自粛が続いておりますが、この情勢もやはりどこかおかしいなと感じる自分がおり、その違和感の正体をしっかりと描いてくれている作品です。

おばちゃんは大脇幸志郎氏の「健康から生活を守ります」という金言がこの上なく好きなのですが、それがどういうことなのかを部分的には描き出してくれている小説と言えるのではないかと思います。6月に大脇氏の著作が出ますのでそれももちろん買いますニコニコ。

こういう生き方を持つのも、自分の親が口うるさく健康志向(ほぼイコール貧乏思考)で、アレが健康に好いだのこれはもったいないだの言って細々生きて、人生の最終局面である老年期に周りを大きく巻き込みながら鬱になっているからですね。全く死ぬ準備ができていない。

可哀想だとは思いますが、自分で自分を不幸にしておいて喚き散らかされても、そして今なおしがみつくその貧乏根性を押し付けられても、という感じです。

おかげさまで私も立派な貧乏に育ち、それを見て育て方や生き方を後悔しているのに未だにその生き方しか出来ないというのも哀れですがそれ以上に迷惑です。未だ縁切りはしてませんが、この人死に切れるのかなあという感じです。

どう生きてもどうせ死ぬのに。死をどこかで免れ得る、コントロールできるものだと信じたいお気持ちはよくわかるのですが、人類が死に対しできることというのは、やはりどこかで死を受け入れていくことだけだと思うんですよね。

コロナについても北欧の施策(そもそも高齢者医療を積極的に行わず、自分で食べたり飲んだりができなくなったら延命や介護を行わない。コロナについても強硬な自粛などは行わず、特に高齢者への介入は行わないなど)が話題になってますが、基盤として死を受け入れていく、という文化があるとこんなにも違うのか、と感じざるを得ません。

つまり抗うことに労力を費やすより受け入れる努力をしていく方が現実的なのでは、と思います。生がまたより豊かになるのも後者なのでは?と個人的には思うわけです。

おばちゃんは死ぬのが死ぬ程怖い病気みたいなもんでして、なんちゃらフォビュア言うそうですが、高校生でこれ発症してから毎日毎秒死ぬのが怖いです。付き合い長いのでコロナでそれが変化したこともないくらいです。

やっかいな症状もあるので大変困ってはいるんですが、ある意味付きあい慣れている分、平常は穏やかに肚くくった状態で生きていられるのかもしれないなと感じている昨今です。

だから自粛は本当に鬱になりますね。何の為に生きてるのかよくわからない。食う為に生きてるのか生きる為に食うのかというアレがありますが、生きる為に食うてると鬱になります。

まあ我慢せずに楽しい事をして生きた方が、最期はああよくがんばったわと諦められるんじゃねえのくらいのことかもしれませんが。

また、伊藤計劃氏を知れたのも僥倖でした。早世された氏の著作は数点しか無いわけですが、続けてぽちりましたので読んでいきます。こんな傑作を書いておきながら氏の死に際は実に人間らしいものだったようでそこも好感が持てます。他の著作を読むとまた感想が変わるかもしれません。

氏の、話が先でキャラは後で決めるという創作スタイルもとてもとても好きです。どこかで論説文が読みたい欲が勝っているのかもしれませんが(苦笑

おばちゃんは死に、つまりは生に肉薄している話じゃないとなんだか浅いなあと感じがちです。死を扱っていても馬鹿だったり、的外れだったりするとめっちゃ冷めるし、生や笑いを扱っていてもどこかにひやりと分かっているなって死の陰があるとめちゃくちゃ好きになります。馬鹿な話は馬鹿な話で好きな時もあります。わはは。

ところでハーモニーのアニメは全く好みじゃないので見てません。ハリウッド系で実写化してみてほしいなとは思う。それこそメタルギアくらいの濃さでの映像化が欲しいな。というかオタクじゃない層の味付けが欲しいです。そこで混じる何かがとても面白く仕上げてくれると思うので。

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