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「はなのすきなうし」思い出の名著シリーズ①

幼い頃の思い出の一つに、寝る前に母が毎晩、本の読み聞かせをしてくれたことがあります。

ものごころついた頃から、末っ子の私は子ども部屋に寝かされて両親と寝室は別だったのだけど、寝る時間になると母がちゃんと子ども部屋に来てくれて、2段ベッドの上段にいる兄と、下段にいる私と、時間を分けそれぞれの布団の中に入って、本を読んでくれました。

日中は働いていておまけに家事と子育てととても忙しかったはずなのに、毎日続けてくれていた母。

今思うと、きっとその頃の母は自分の好きな本を読む時間や、自分だけのリラックスタイムなんてほとんどなかったんじゃないかな、とわかります。

でもそんな時間があったからこそ私は本が好きになったし、今でもこうした絵本たちに触れると、その時の布団の中での母との思い出や温もりが甦ってくるんですね。


その頃、読んでもらった絵本はその後、成長につれてだいぶ手放してしまったけれど、大人になっても捨てずに持ち続けている本が数冊あります。

中でも、最近思い出してよく手に取る本を今日はご紹介。

「はなのすきなうし」

きっと知っている人も多いかもしれませんね。1936年、今から80年も昔に書かれたものですが、今でも世界中の沢山の人に愛されている、名著です。

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「はなのすきなうし(花の好きな牛)」は、スペインの物語で、自然の広がる牧場の端の、コルクの木の下でいつも一人、静かに花の匂いを嗅いでいるのが好きな若い牛、フェルジナンドのおはなし。

そのフェルジナンドがある日、ひょんなことで街中の闘牛場に連れて行かれてしまいます。

しかし、元々闘うことに全く興味のない、フェルジナンド。

闘牛士たちは躍起になって暴れさせようと、あれやこれやと仕掛けるのですが・・

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私がこの本で好きなところは、やはりなんといっても闘牛場でのシーンと、そして、ロバート・ローソンという人によって黒いペン一つで描かれたイラストのページ。

クマのプーさん、メアリーポピンズなど、この時代の作品はこうして鉛筆やペン一つで描かれたものが多く、それだけにタッチも細やかで柔らかく、私たちの想像性を更にかき立ててくれます。

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人の目が気になってしまったり、自分を見失いそうになってしまう時、本棚の前に立ってこの本を開くとほっと安心します。

沢山の色、文字、情報に囲まれている今の時代だけど・・

こうした一冊の絵本に助けてもらうことって、大人になっても

まだまだあるんですよね。


「はなのすきなうし」マンロー・リーフ著 岩波の子どもの本 



バンコクにて


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