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イスラム国家・マレーシアに思うこと

マレーシアと聞いてイスラムという単語が思い浮かぶ人は、意外にマレーシアについて理解があるのかもしれません。マレーシアは東南アジアの中でも多くの人種が暮らしており、イスラム国家の中で最も民主的とされています。

東南アジアに位置するため毎年乾季雨季がやってきて、毎日のようにスコールが鳴り響き、毎朝アザーンがこだまします。インドネシア・スマトラ島が目と鼻の先にあるため、そこで行われている焼き畑?の影響からか、クアラルンプールは毎年ヘイズなる大気汚染に悩まされています。

大気汚染に関して言えば、東南アジアは日本よりも若干劣悪だと言わざるを得ないでしょう。下記のサイトで大気汚染の深刻さがわかるかもしれませんが、クアラルンプールは日本のどこの町よりも若干大気が汚れていることがわかります。しかし、それでもタイのバンコクやベトナムのハノイよりはましです。中国とインドという二大大気汚染国家に挟まれているため、別段何もしなくても被害を被ってしまう位置にあります。

話がずれましたが、マレーシアは人種以外にも多様性を感じることがある場面があります。それは宗教や食文化などです。宗教に関して言えばイスラム教やヒンドゥー教、仏教などが幅を利かせており、モスクや寺院が乱立しています。寺院といっても日本の地味な仏閣ではなく、バトゥ洞窟にあるような金色に光っている上座部仏教の影響を受けたものがあります。

イスラム教の影響はそこかしこにあり、例えばモスクやハラル食、同性愛が認められていないこと、実際ショッピングモールでムスリムの爆弾テロが生じたことなど、世間一般的に考えられるイスラム文化、乃至はイスラム教に関するトラブルなどが起きています。

マレーシアの隣にあるインドネシアは、国民の9割がムスリムであり、そのイスラム教への求心力は年々強まりつつあると言われています。イスラム教と聞いても、遠い国の宗教だと思いがちですが、飛行機で7時間ほどとんだところにもそれに当てはまる地域があることは忘れてはなりません。

マレーシアは日本人が移住したい国としても注目されていますが、その実態は、移住したいかどうかを再考させられるほどに乖離していると思ってもいます。それは別段マレーシアに限った話ではなく、タイやフィリピン、ベトナムなど他の東南アジアの国々や世界の国々にも言えることです。

人口3000万人ほどのマレーシアですが、首都のクアラルンプールは、バンコクなどに比べて渋滞が比較的少ないことは事実といえるでしょう。しかし、その一方で市内の水道管設備は若干さびているのか、まともに機能しないシャワーがあったり、水が出ないトイレがあったり、10階という高層階にいるのにもかかわらず謎のアリ軍団が出てきたり、料理をしていると羽アリが飛んできたりする、といったクオリティを見せつけても来ます。

これはタイにも言えることですが、やはり熱帯気候のため虫とのやり取りは欠くことができないようです。東南アジア全体の印象として、途上国以上先進国未満な、いわゆる中進国が多いイメージがあります。しかし、それはこれまでにオーストラリアやカナダ、アメリカに欧州を旅してきたような人からすれば明らかに未発達な部分が多いと感じることでしょう。

タイはすでに高齢社会に突入していたり、マレーシアの人口ピラミッドもつぼ型にシフトしてきたりと、このままいくと時間次第でこれらの地域も日本のような課題に直面することが浮き彫りとなっています。幸いなのかどうなのかわかりませんが、マレーシアは多民族多宗教国家のため、多少の移民については問題がなかったり思えますが、移民だけでなんとかなるのかははなはだ疑問です。

とはいっても、欧州各国は非イスラム圏であるのに対し、マレーシアはイスラム圏国家のため、イスラム系の人々が流れ込むことに関してはあまり問題にならないかもしれません。しかし、現状マレーシアという国家が、イスラムも非イスラムもいてこそであるという理念で運営されている以上、その割合がイスラム優勢になれば、少なくともどこかしらに亀裂が生じることは想像にむずかしくありません。

個人的に映画監督のジェームズ・ワンがマレーシア出身なことは驚きでした。

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