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プリコネ2期第4話が神作画すぎた話

『プリンセスコネクト! Re:Dive』の2期の4話が良すぎた話をしたい。
めちゃくちゃ「良かった」。
面白かった、ではなく「良かった」。何が良かったかというと、作画。

もうとんでもないくらいの神作画回でした。
あまりの神作画に、放心状態になり、続きを見ることができなくなるくらい。


神作画、って言われることは最近のアニメでは非常に多い。
単純な技術の進歩、アニメ市場の肥大化、グローバルな下請け市場など、理由は様々だが、ヌルヌル動くアニメが1クールに何作品もでてくることは普通になった。
ましてやネトフリ独占アニメとかで潤沢な資本がある作品も多いし。

でも、「ヌルヌル動く」と「神作画」は同じではないと思うんです。

枚数かけて動かせば良いってものではない。
アニメでしか出せない構図、演出、勢い、そういったものを生み出せる原画マン、その線を活かせる動画マン。彼らの生み出すクセの強い動き、キャラを1つの作品としてまとめていく作監。

そうした、一流のアニメーターが集まって生まれるものこそが「神作画」だと思う。とりあえず、ヌルヌル動かせばよい、ということなら、CGでも良い。

この4話は、そんな2Dアニメーションの良さをふんだんに詰め込んだ回だと思う。


原画・動画の人数が異常

具体のシーンに入る前に、まずはEDのスタッフクレジットを見てほしい。

とんでもない原画の人数だ。しかも、大体の人は作画wikiに名前が乗っている。若手からベテランまで、凄腕しかいない。
吉成鋼なんてレジェンドまでいるし。

第二原画(原画のラフを動画に渡せるレベルまでブラッシュアップする人たち)もスタッフクレジットされてるのも嬉しい。しっかり日本人、かつこの人数。

ためしにこの前の3話(これもかなり作画レベルは高かったが)のスタッフの量を見比べると、作画周りのスタッフの数は1.5~2倍になっている。
どんだけこの4話に力入れているんだ。


ひたすらに好きなシーンを紹介するコーナー

ここからは、特に好きなシーンを紹介していこうと思います。

まず、一番好きなシーン。

巨人の腕に着地したペコリーヌの動き。
背景動画としてヌルヌル動く巨人の腕(地面)、躍動感あふれるカメラ。人間っぽい着地からの起き上がりの動き。
この時点で、めちゃくちゃ良い作画。

さらにそっこから腕が伸びてきて、ペコリーヌが攻撃されると一瞬思わせてからの、別キャラがピンチな状態にいるというを状況と敵の巨大さを、凄いスピード感で表現している。

この勢いは、フレームを均等に割らなきゃいけないCGだと難しい表現。大胆な省略ができるアニメーションならでは。しかも、原画枚数的にベラボウな枚数ではないはず。キチンとTVアニメ向きな書き方をしている。

最小限の枚数で、最大限の成果。
まさにプロ。


地味なシーンだけど、こういうアニメっぽさ、「原画が良い」が出ているシーンが下記。

手を伸ばしているだけなんすけどね。なんか勢いがある。多分めっちゃ中割とかの緩急が上手いんだろうなと。


これも2dアニメーションならではの表現。


線でしか表現できない、という弱点を、逆に強みに変える演出。
この黒いなにかを、モヤモヤとした霧みたいなCGだと、このスピード感、勢いは絶対に出せません。


あとは、こういうカメラアングルも、普通じゃやれないですよね。
攻撃終わった後のシーンでもこんなにセンスあるなんて。


アニメーションは演技

ちょうど『映像研には手を出すな!』を見ているのだが、その作中でこんな感じのセリフがあった。
「実写俳優は登場人物しか演技できないけど、アニメーターはキャラだけじゃなくて風や岩まで演技できるんです!」的な。
それを非常に感じられるシーンが満載。

ここもゴーレムの巨大さ・迫力を、風や砂埃なんて自然環境を大げさに表現することで見事に「演技」している。



キャラが走る動作も細かい。
あえて一度を顔をうつむかせることで、全速力で走っている感じが視聴者に伝わる。


この細かい演技、力の入れようは何も戦闘シーンだけではない。
これは地図をみんなで覗き込んで会議するシーン

俯瞰という、あえてややこしい構図で、各キャラを同時並行でリアクションさせている(喋ってないキャラ含め)。
…もはや狂気の沙汰だ。
でも、各キャラはこういう反応するだろうな、って感じのアニメーターの想いが詰まった素敵なシーンでもある。


吉成鋼クイズ

吉成さんがどのパートを担当していたか、めっちゃ気になる。

吉成鋼は兄弟でアニメーターをやっており、どちらもレジェンドクラスのアニメーター。弟の吉成曜は、ガイナックスでよくロボ原画や爆発原画を担当している。爆発好きの庵野から爆発任せられるってことは、そういうことです。

吉成鋼さんはこだわりがすごいことで有名。そのせいもあって日本一仕事が遅いアニメーターとも言われる。ワンカットを撮影まで全部こなすことはザラのよう。最近はそういう仕事の受け方も減っているようだが。

一番有名なシーンは、サクラ大戦3のOPだろうか。

製作費3億とかちょっと盛られた数値が噂になるくらい、伝説のOP。これのサビ部分のダンスシーンを担当しているのが彼。CGかな?と思うくらいのヌルヌル。後はリリカルなのはの第一話のなのはが走るシーンとかも有名。


公式には発表されていないので、推測でしかないが、
・やたらヌルヌル動く
・豆粒みたいな小ささのキャラでも妥協しない
・他の原画マンから報告がない、かつこの原画人数だとそんな長尺ではない

ということから、このシーンではないかなと思った。

うーん、狂気。
どれだけ動かすねん、って感じだ。もし違ってたら恥ずかしいので、知っている人いたら教えて下さい。


良いアニメ

プリコネ、1期は正直辛かったが、俄然期待が持てる作品になってきた。
ここまで愛を持って作られる作品が駄作になるわけがない。ちなみに、音楽とかも田中公平(サクラ大戦の作曲など)なんで、めっちゃ良いです。
話も本筋に入ってきたっぽいし、非常に楽しみ。

昔、作画厨やってた時の血が騒いで思わず1話で1記事書いてしまった…
とりあえず、この4話を中心にまとめた神MADがあったんで、ぜひ見て下さい。

2Dアニメーションっていいなぁと久しぶりに思った話でした。


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