【PUNPEE】先人へのリスペクトって大事
最近、PUNPEEにハマっている。
世間的に一番有名なのは水曜日のダウンタウンのOPだろうか。アニオタ的にはODDTAXIのOPも印象深い。
ODDTAXIのOPから知り、昔に数曲聞いて、「オシャレだな~」くらいの印象だった。そんなに自分のドツボではなかったという印象だった。こういう曲に自分が馴染めていなかったし。
でも、今週、ある曲を聞いてガラッと印象が変わった。
あの昭和の名曲、加山雄三の『お嫁においで』をリミックしたこの曲だ。
もうめちゃくちゃに最高だ。
ビートがカッコいいのはもちろん、合間のなんとも気の抜ける(いい意味で)カッコつけきれていないラップパートも良い。
そして何より、HIPHOPとしてあるべき姿を見せてくれたような気がしてこの曲は大好きなのだ。
そう、HIPHOPは先人へのリスペクトから始まった音楽なのだから。
HIPHOPというと、何かブカブカのズボンと帽子でYOYOといいながら、ラップを歌う、そんなイメージしか持っていない人もいるかもしれない。
でも、音楽的な歴史としては、HIPHOPの始まりは、貧しいスラム街の黒人たちが昔のレコードを流しながら語り始めたところから始まる。
よく「DJ」といわれる人がいて、その人が円盤をキュキュ回している姿が想像されるが、まさにそこが音楽的にはルーツ。あの回している円盤は、先人たちが作ってきた昔の曲のレコードなのだ。
要するに、既存の作られた曲をアレンジしながら流して、そこに勝手に歌詞を上書きするというのがHIPHOPのルーツ。著作権もクソもない時代だからこそというか、現代だと少し違和感があるが、とにかくそうして誕生した音楽なのだ。
つまるところの、先人が作ってきた音楽をベースに自分を表現するというのがHIPHOPの根源だと自分が思っている。
それでいうと、この曲は正しくHIPHOPと言えるだろう。黒人にとっての賛美歌やレゲエがルーツとなるバックトラックなら、日本人の心に流れるバックトラックとして、加山雄三はぴったりだ。
古臭いとしか言えない、昭和の身勝手な男の価値観の歌詞も、どこか懐かしさを感じる。そんなノスタルジーを、現代風な気弱なHIPHOPミュージシャンの男の歌詞を挟むことでより浮き立たせている。
オリジナルトラックを作って、そこで自己を表現するというのが現代の主流というのは分かりつつも、どうしてもラップが生まれた歴史的な経緯を考えると、日本版の「HIPHOP」を自分は聞きたかった。
もちろん、日本にも古き良きHIPHOPをしているアーティストはたくさんいて、自分が見つけられていないだけだろう。ただ、PUNPEEみたいな売れっ子がこういうことをしてくれたのが凄く嬉しかったのだ。
それにしても、PUNPEEのアレンジセンスがすごい。昭和っぽい曲の雰囲気を残しつつも、それをカッコよさまで昇華する技術。星野源はじめ、様々なアーティストから声がかかる売れっ子なのも納得だ。
ちなみに、原曲の『お嫁においで』も、素晴らしいギター演奏が入った名曲なので、ぜひ聞いてほしい。意外とアップテンポで、ノリノリになれる大好きな曲だ。