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ひさびさに小説を読んだ話

西尾維新の最新作、『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』を読んだ。

本自体は、スキマ時間にちょいちょい読んでいるのだが、「小説」をガッツリ読んだのは久しぶりだった。
しかも、新刊をリアル書店で買って、買った当日にワクワクしながらビニール開けて~という過程を経て読んだのは本当に久しぶり。

評論やエッセイなんかと違う、世界に没入する感じ。
小説を読むことの良さを久々に認識できた1日だった。その感想を書こうと思う。


戯言シリーズ

その前に、今日読んだ作品である『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』について、簡単に自分の思い入れも含めて簡単に紹介してみようと思う。

今作品は、西尾維新の処女作品、『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』からなる、『戯言シリーズ』の最新作だ。

西尾維新と言えば、オタクの間では、『物語シリーズ』の『化物語』で覇権を取ったり、週刊少年ジャンプで原作として『めだかボックス』を連載したり、『掟上今日子の備忘録』がドラマ化されたり。
超絶売れっ子作家である。

ただ、自分は彼の特徴的な文体が好きではなく、『物語シリーズ』は主人公が全く肌に合わないこともあり、嫌いな作家だった。
高校時代の友人で熱心な彼のファンがおり、その彼のススメで『戯言シリーズ』を読み始めた(読まされた、に近かったが)。

そんな、マイナス印象から始まった『クビキリサイクル』だったが、超衝撃的だった。
今振り返ると、人生を変えた1冊だった、とも言える。


一応、ミステリ小説というジャンルにはなるのだろう。
この作品は、自分のミステリ小説の印象をぶち壊した作品だ。

それまで、ミステリ小説は自分の中で真面目に読むものではなく、パズルのように暇つぶしで読むものだった。

でも、この作品は違った。根本からその価値観を覆された。
大どんでん返しというものを初めて味わった作品かもしれない。


この作品をキッカケにミステリ小説を読むようになった。
彼が受賞した「メフィスト賞」という賞を作るキッカケにもなった作家、森博嗣ってどんな人なんだろうと思って、最愛の作家にも出会えた。

そういう意味では、人生を変えた1冊である。
後半になると、大分ミステリ色は薄れ、バトル小説みたいになっていくのだが、それすらも面白い。「高校生」という一番捻くれているころに読めたのもでかい。
気がついたら夜になっていた、というのを何度も体験させてくれた作品だ。


そんな『戯言シリーズ』の本編正当続編としては、2005年以来と15年ぶりの新作である(その間に外伝作品はポツポツ出ていたが)。
今やポケモンのキャラデザもする、世界の売れっ子になった竹さんが描くビジュアル、講談社ブックスの装丁も好きで、普段はkindle派の自分も今回は紙で購入した。


世界から切り離される感じ

買い始めるまでは、そこまでドキドキ感はなかったけども、実際本屋で購入するとテンション上がる。
ビリビリと包装を破いて、新品の紙の匂いをかぎながら読書する…

装丁は高校生のこと散々読んできた2段作り。講談社NOVELSのこれめっちゃ好きなんですよね。


この上下段に分かれているのが大好き

感想として、クビキリサイクルほどじゃなかったけども、しっかりと面白かった。
今作品は割りとミステリよりな作風かな。

戯言使いの娘が今作もしっかりと戯言使いだったし、人類最強の請負人は相変わらず最強だし。
駄洒落っぽい西尾維新の文章も、久しぶりに読むと心地よい。

どうやって続編作っていくんだろうと少し心配になるハードルのキャラ設定だけど。
まぁこれくらいぶっ飛んでいる方が、ラノベは良い。


普通の本と、小説(フィクション作品)を読んでいる時の違いを今日はひしひしと感じた。

かなり面白いノンフィクション本であっても、ノンフィクション本は、やはり現実と一緒に読んでいる感覚がどうしてもある。
数時間読めるような面白い本でも、これは勉強になるなと思ったりして、
没頭しきれないというか。

でも、小説は違う。
気づいたら時計が進んでいるというこの感覚。
現実世界から切り離されて、自分の頭の中の世界に自分がいる感じ。

面白い小説を読んでいるときに感じられるこの感覚が非常に懐かしかった。
没頭した小説を読んだのなんて、本当に数年ぶりかも。

この感覚、大事にしていきたいなと思った。これは小説からじゃないと接種できない感覚。
それこそ、昔は半日くらい平気で小説をよみふけってたんだけどな。

体力なくなったな、1冊で割りと満足しちゃった。
戯言シリーズ全巻読み返そうかと思ったんだけども。そんな体力なく、力尽きてこうしてnote書いてます。


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