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居酒屋は先味が7割

「先味・中味・後味」という言葉があるらしい。飲食店でのお客さまの体験を3つに分類したもの。ネットではあんまり見なかったが、飲食界隈ではそれなりに浸透しているらしい。

「先味」は、実際に料理が提供されるまでの体験。入店時の対応、店の雰囲気、提供までのスピード。そうしたものが先味の評価となる。「中味」は実際の料理の味。「後味」がその後のお見送りまで含めた体験。多少の解釈違いはあれど、だいたいこんな分類だと思う。

過去、飲食店経験をしている先輩が言っていたのだが、「先味」がそのお店の感触の7割を決めるらしい。実際の味(中味)よりも、とても重要だそうだ。


自分もこれはすごく実感する。もっぱら安居酒屋くらいしか行けない身分なので、そんなに舌は肥えた人間ではないのだが。だからこそ、「先味」を大事にしているのかもしれない。

まず、内装。ボロい居酒屋はボロいなりに、風格があるのだ。ただ「汚い」とは違う、「風情」とでも言うべきか。歴史を感じられたり、その店の個性が分かる内装だと、すごくワクワクする。

そして、接客。これもまた重要な要素だ。別に高級レストランじゃないから、ウェイターが椅子を引いて待ってたりする必要はない。不快じゃなく、スムーズにご案内。それだけでも結構できないお店は多々ある。あとは活気があると尚良し。

その後、壁や机のメニューを見てワクワクする。これこそが居酒屋の醍醐味だ。なにを注文するのか、考えるあの時間の幸せといったら。

そして先味を決めるもっとも重要な要素、提供スピード。最初の1杯。まずこれが遅いと「あ、この店ハズレかも…」と思ってしまう。逆にこれが速く、注文した料理なんかも速く来ると、少なくとも「また来てもいいな」という評価にはなる。


特に、「安く、楽しくお酒を飲めればなんでもいい」というのが自分の理想の居酒屋像。お酒に酔ってくると、繊細な味なんかわかりゃしない。居酒屋こそ、この「先味」がすごく重要だなと思う。後味なんて、お酒で楽しくなってるから多少ミスがあっても笑い話になってむしろありがたい。

居酒屋においては「先味が7割」というのは本当だと思う。だいたい「先味」が良いお店で、「中味」は悲惨なクオリティ、というお店は見たことない。そんなことを感じる忘年会シーズンでした。


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