新たな領域を切り開く:オフセットのソロアルバム「SET IT OFF」
ジョージア州ローレンスビル出身のラッパー、Offset(オフセット)は、Quavo(クエヴォ)、Takeoff(テイクオフ)と共にラップグループMigos(ミーゴス)のメンバーとして脚光を浴びました。
個人のキャリアとしては、2018年にTyga(タイガ)をフィーチャーしたシングル「Taste」で全米チャートトップ10入り、同年にはKodak Black(コダック・ブラック)のシングル「Zeze」にTravis Scott(トラヴィス・スコット)と共演し、全米チャートで2位を獲得しました。
2019年にはソロデビューアルバム「Father of 4」をリリースし、アルバムからのシングル「Clout」では妻であるカーディ・Bを迎え、グラミー賞の「最優秀ラップパフォーマンス賞」にノミネートされる快挙を成し遂げました。
そして2023年10月、オフセットは待望のセカンドアルバム「SET IT OFF」を発表しました。本記事では、彼の最新作に焦点を当て、新しいアルバムの詳細に迫ります。興味を持たれた方は、ぜひ最後までご覧ください。
レーベル : Motown Records
リリース日 : 2023年10月13日
名前 : Offset
本名 : Kiari Kendrell Cephus
年齢 : 31歳
出身地 : ジョージア州ローレンスビル
リリースに至るまで
新作アルバム「SET IT OFF」の制作と変更
2022年10月、Migosのメンバーであるテイクオフが流れ弾によって命を落とすという衝撃的な出来事が発生し、結果的にグループは解散状態に陥りました。オフセットは、テイクオフの精神が彼の音楽を通じて生き続けており、その影響を受けながら新しいプロジェクトを制作していることを述べました。
また、新作アルバム「SET IT OFF」の制作は2年以上前から始まっており、アルバムは当初、2022年10月に「Blame It on Set」というタイトルでリリースされる予定でした。しかし、テイクオフの死により、リリースの時期が無期限に延期され、これによりアルバムを最初から見直すこととなりました。
OffsetとQuality Control Musicの権利訴訟の経過
こうした紆余曲折を経て、前作アルバム「Father of 4」から4年ぶりの新作アルバムをリリースしたオフセットですが、2022年には、自身が所属するQuality Control Musicに対してソロ楽曲の権利をめぐる訴訟を起こしたことが話題になりました。裁判文書によると、オフセットは2021年1月15日にQuality Control Musicとの間で独自のソロレコーディングおよびソングライティングの権利を再取得するための交渉を進め、新しい合意に至りました。この合意により、彼はソロアーティスト、エンターテイナー、ソングライターとしての自身の権利を完全に所有することになると主張しています。にもかかわらず、オフセットはQuality Control Musicが依然として彼の最新ソロリリースに関する権利を主張し続けていると述べています。
特に、2022年にオフセットがリリースしたシングル「54321」について、Quality Control Musicが所有権を主張しているとされています。これに対し、オフセットはレーベルの所有権主張が不当であり、彼の音楽に対する自身の権利を故意に侵害していると主張しました。この論争に終止符を打つように、2023年8月にはオフセットがQuality Control Musicへの訴訟を取り下げる申請を行い、レーベルとの間で何らかの妥協に達したと考えられています。
アルバムについて
発表された新作は、Motown Recordsからリリースされ、オフセットはソロキャリアへの意気込みをこう語っています。
続けてオフセットは、このアルバムが彼に創造的な機会を提供し、以前のアルバム「Father Of 4」で示したものを超えたいと語りました。
収録曲について
この新作には全21曲が収録されており、客演にはTravis Scott、Future、Cardi B、Latto、Don Toliverなど、豪華な面々が顔を並べています。
「SAY MY GRACE」
アルバム2曲目の「SAY MY GRACE」は、ラップスターTravis Scottとのコラボ曲で、この曲の中でオフセットは亡くなったテイクオフについてラップしています。
オフセットはこれまで、テイクオフや個人的なことについてあまり話さないことを好んでいましたが、この曲では感情を率直に表現しています。
Offset feat. Travis Scott - Say My Grace
「WORTH IT」
3曲目の「WORTH IT」は、Don Toliverをフィーチャーした曲で、愛と人間関係の紆余曲折に焦点を当てています。楽曲では、愛する人からの傷心やその人に対する切なる欲求が表現されています。オフセットとDon Toliverは、信頼と愛、時にはそれにまじる疑念という複雑な感情をリリックを通して描いています。
さらに、この曲は、ジャマイカ生まれのラッパー兼プロデューサーのBeamとChaseTheMoneyの曲「Understand」(2023)をサンプリングしています。
Offset & Don Toliver - Worth It
「NIGHT VISION」
11曲目の「NIGHT VISION」は、名プロデューサーMetro Boominが手掛けた曲で、オフセット自身の経験や感情を表現しています。歌詞の中で、見えない敵を見抜く能力を「ナイトビジョン」と表現し、周囲に対する用心深さを歌っています。豪華な生活とストリートとのつながりを誇示しながらも、裏切りや信頼の問題に直面している彼の現実が描かれています。成功と敵意の両方に満ちた世界での彼の経験が、自己主張と警戒心を交えて表現されています。
また、 Metro Boominのプロデュースにより、音楽と歌詞が一体となって、オーディエンスに彼の感情と経験を共感させる力強い楽曲となっています。
Offset - NIGHT VISION
JEALOUSY
18曲目の「JEALOUSY」は、このアルバムの6曲目に収録された「FREAKY」に続く2曲目のCardi Bとのコラボレーションです。彼らはプロフェッショナルな関係を保ちつつ、夫婦としてスタジオでの作業を共に楽しんでいる様子が伺えます。
また、この曲では、ラップグループThree 6 Mafiaの「Jealous Ass Bitch」(2000)をサンプリングしており、メンフィスサウンドに立ち向かう2人のラップが魅力的です。
Offset & Cardi B - JEALOUSY
Three 6 Mafia - Jealous Ass Bitch (2000)
おわりに
最後に、オフセットはこのアルバムでは新しいプロデューサーと共に仕事をしたかったと付け加え、同じ音楽を作り続けないようにしようとしていることを説明しました。
「SET IT OFF」は、Migosのメンバーからソロアーティストへと進化した
オフセットの音楽と人生の重要な転換点を象徴するアルバムです。彼の深い悲しみを乗り越え、音楽への権利を守る戦いを通じて、彼の成長と強さが際立っています。このアルバムは、彼が音楽を通じてこれからも多くの人々に感動を与え、先導することを約束するものであり、Offsetの才能が今後も輝き続けることを期待させます。彼の物語はまだ終わるはずがなく、今後の活躍が楽しみです。
関連記事はこちら
今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
※ DIGTRACKS.comは、音楽プロモーター、音楽業界に携わるプロフェッショナル(DJなど)専門のデジタル・レコードプールサービスです。
ご利用の際は必ず「ご利用規約」をご確認ください
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?