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TikTokでバイラルヒット!今作で取り入れた「ジャージー・クラブ」とは? Lil Uzi Vert - Just Wanna Rock (2022)

2016年のシングル「Money Longer」で注目を集めたLil Uzi Vert(リル・ウージー・ヴァート)は、ミーゴスのシングル「Bad and Boujee」(2016)のゲストに抜擢され、全米チャートで初の1位を獲得。

その後、XXL誌の「Freshman Class 2016」に選ばれ、21 SavageKodak Blackらと共演した「Freshmen Cypher」はYouTubeで2億回再生され、翌年のシングル「XO Tour Llif3」(2017)は、ソロ名義で初の全米チャートトップ10入りとなりました。
同曲は現在までにSpotifyで17億回以上ストリーミングされ、収録されているデビューアルバム「Luv Is Rage 2」(2017)は全米チャート1位を獲得、グラミー賞では「最優秀新人賞」にノミネートされ、颯爽とスターの座へと駆け上がりました。

さらに、セカンドアルバム「Eternal Atake」(2020)も、全米チャート1位を獲得し、その後、Futureとのコラボアルバム「Pluto x Baby Pluto」(2020)をリリース、そして今年にはEP「Red & White」(2022)を発表するなど、エネルギッシュな活動が見られます。

そして今回、ソロ名義では今年初のシングル「Just Wanna Rock」をドロップ。

ここでは、この曲について解説します。

レーベル  : Atlantic Records & Generation Now
リリース日 : 2022年10月17日
名前    : Lil Uzi Vert
本名    :    Symere Bysil Woods
年齢    : 27歳


出身地   :    ペンシルベニア州フィラデルフィア

Lil Uzi Vert - Just Wanna Rock (2022)

TikTokでバイラルヒット

7月にEP「Red & White」をリリース後、9月に自身のInstagramのファンページを通じてこの曲の一部を公開しました。

その後、この曲を使用したダンス動画がTikTokで注目され、現在までに50万本以上の動画が作成され、10月17日にシングルとしてリリースされました。
その後TikTokに投稿されたリル・ウージー・ヴァート本人が踊っている動画は、現在までに2800万再生と400万件近い「いいね」を獲得。
さらに、公開からわずか3週間でSNSでの再生回数が5億回を超えるなど、バイラルヒットとなっているようです。

11月にはTikTokの波に乗り、ポップ・スモーク「What You Know Bout Love」「Aim for the Moon」のMVを監督したOliver Cannonによるダンス中心のMVを公開しました。
このMVは公開後1週間で1000万再生を突破し、YouTubeのトレンド入りするなど、ここ数年のリル・ウージー・ヴァートのキャリアで最も注目された曲となりました。

リル・ウージーが今作で取り入れた「ジャージー・クラブ」って何?

リル・ウージー・ヴァートは、過去にもEDM調のシンセをベースとしたシングル「Futsal Shuffle 2020」(2020)をリリースし、全米チャート5位、R&B/Hip Hopチャート2位を記録しており、今作ではより昇華したサウンドでSNSユーザーを夢中にさせているようです。

Lil Uzi Vert - Futsal Shuffle 2020

また、リル・ウージー・ヴァート自身も「今回はミキシングで音楽とトラディショナルを実験的に使ったよ」と語っており、今作のサウンドは彼らにとって実験であり、新境地への挑戦だったようです。

「Futsal Shuffle 2020」と比較すると、今作はドラムが倍速で打ち込まれていますが、このジャンルは2000年代後半にニュージャージー州ニューアークで生まれたサブジャンル "Jersey club(ジャージー・クラブ)" と言われています。

このジャンルは、ボルチモア・クラブ、シカゴハウスから影響を受けたDJ Tameilと彼のグループBrick Banditsが開拓したと言われており、ニューアークの愛称「Brick City」に因んで「Brick City Club」と名付けられました。
しかし、ニューアーク以外にも展開するため、ジャージー・クラブと改名し、2000年代後半には若いプロデューサーたちがこのジャンルを取り入れるようになりました。

BPM130〜140前後の速いビートを特徴するジャージー・クラブは、ノルウェーのプロデューサーであるCashmere CatSkrillexなど、2010年代のEDMシーンを代表するアーティストに影響を与え、その後シアラ「Level Up」や、DJキャレド「To the Max」といった楽曲でラップシーンにも影響を与えています。

Ciara - Level Up

また、Trillville「Some Cut」のイントロで使われている「キコキコ」というサウンドは、多くの曲でサンプリングソースとして使用されていますが、この曲をサンプリングしているドレイク「Currents」もこのジャージー・クラブの影響を受けており、5ビートのベースとドラムパターンを使用しています。

Trillville - Some Cut

Drake - Currents

一方、ジャージー・クラブはダンスシーンに盛んに取り込まれており、過去にニュージャージー州ウエストオレンジで行われたフェスでは2400人を動員するなど、地元の音楽シーンに強く根付いているようです。

そういったルーツを持つジャージー・クラブ「Just Wanna Rock」のダンスについて、フィラデルフィア発祥かニュージャージー発祥か、ネット上で論争を巻き起こしているようです。

ニュージャージーの有名クラブプロデューサーDJ Jayhoodを含む多くのニュージャージー人によると、このダンスはTikTokとリル・ウージー・ヴァートのダンスが「Shake ya hips」という新しいダンスとして広まりましたが、元々は「Rock ya hips」と呼ばれており、DJ JayhoodはTwitterで次のように述べています。

「Shake ya hips」は新しいダンスではないし、これが証拠だよ🔥😮😆
JERSEYは、今日の音楽シーンのトレンドセッターだ!
本当は「Rock ya hips」って言うんだけど、彼らは俺たちの功績を認めてくれなくて、そのシーンを作った本当の人たちを歌に乗せようとしないんだ。
ちゃんとリサーチしろよ📝

他にも、あるTwitterユーザーは「フィリーのNi**aとして言わせてもらうと、ダンスはジャージーで始まったんだ。フィリーも数年前は彼らのダンスをバカにしていたよ(笑) だけど、今の若い世代はそんなの気にしないで、すべてのダンスを受け入れ始めたんだ...ジャージーの功績は大きいけどね」とツイートしています。

おわりに

これまでにも額にダイヤモンドをあしらったり、奇抜なファッションセンスやアイデアで音楽以外でも多くの人に影響を与えてきた彼の世界観が詰まった1曲となりました。

チャートでは、R&B/Hip Hopチャートで12位と大きなヒットはしていませんが、MVはトレンド入りして順調に再生回数を伸ばし、同様のビートを持つ新譜が次々とドロップされ、クラブカルチャーに一石を投じています。

近年、ラップシーンで再注目されているジャージー・クラブも合わせてチェックしてみたら面白いかと思います。

今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️

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