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「やまぐちデザインシンキングカレッジ」始動!~オープニングイベント体験レポート~

こんにちは、デジテック運営事務局のやまたんです。

伊坂幸太郎さん原作の「ブレット・トレイン」が先日公開されて話題になっていますね。舞台挨拶に来日した主演のブラッド・ピットも相変わらず格好良かったです!

伊坂幸太郎さんは「ゴールデンスランバー」や「死神の精度」など人気作が多いですが、私のおすすめは、小学生達が主役の「逆ソクラテス」です。世間の先入観や決めつけに惑わされず、周囲の大人たちに奮闘する子ども達を応援してしまう短編集です。

作中の名台詞「僕は、そうは、思わない。」は、きっと口ぐせになると思います!

豪華メンバーが集結!

8月29日に「やまぐちデザインシンキングカレッジ」のオープニングイベントが、やまぐちDX推進拠点「Y-BASE」で開催されました。

当日はやまたんも会場の片隅でイベントを参観しましたが、浅沼デジタル監のビデオメッセージの紹介や、デザイン思考における国内トップレベルの講師陣による講演・ワークショップなどが行われ、非常に熱く、そして濃密な時間を過ごさせていただきました。

デザイン思考の理解と普及に向けて、示唆に富んだ素晴らしい内容でしたので、皆さんにもお伝えしたいと思い、イベントレポートを作成しました。ぜひご覧いただけると嬉しいです!

誕生のきっかけはCIOミーティング

最初に村岡知事から開講あいさつがありました。

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「やまぐちデザインシンキングカレッジ」は、村岡知事が山口県のCIO補佐官であるCode for Japanの関治之さんやLINE株式会社の砂金信一郎さんと行ったミーティングが契機になって誕生したようです。

お二人から、山口県が進めているデジタル改革でより高い成果を出すためには、デザイン思考が非常に重要であり、デザイン思考を身に着けて実践できる人材を育成すべきとの提言があり、この提言を受けて本カレッジが新たに創設されたとのこと。

カレッジを通じて、デザイン思考を普及・定着させ、利用者の目線に立ったDXによって、これまで以上の豊かさと幸せを実感できるデジタル社会の実現に向けて取り組みたいと、力強く語られました。

DXの鍵は「データ」「デジタル技術」そして「デザイン思考」

続いて、デジタル庁の浅沼デジタル監からのカレッジ開講へのビデオメッセージが紹介されました。

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その中で、DXにおいて、データやデジタル技術は手段。DXの起点は、顧客や社会のニーズを理解するということであり、それはデザイン思考の基本的なアプローチ。DXには、データやデジタル技術と同じ位デザイン思考が重要と、DXにおけるデザイン思考の必要性を非常に分かり易くお話いただきました。

また、県が主導してデザイン思考の理解と実践の場づくりを行うことはとても画期的な取組であり、全都道府県の先頭に立って、デザイン思考の普及・人材育成を進めるとともに、その知見や成果を活かして、行政サービスやまちづくり、産業発展、そして地域活性化につなげてほしいとの期待も示されました。

最後には「ぜひ一緒に、デザインの力で、人にやさしいデジタル社会をつくっていきましょう。」と語りかけられるなど、デジタル監のデザイン思考に対する熱い思いや、山口県の取組へのエールが込められた素晴らしいメッセージでした。

地方や中小企業こそ、デザイン思考を活用する意義がある

続いて、株式会社コンセント代表で武蔵野美術大学教授の長谷川敦士氏による特別講演「DXの推進とデジタル思考」が行われました。

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本講演では、デジタル技術の進展によって新しい製品・サービスが生まれる中で、UX(ユーザー体験)のデザインが重要となり、利用者視点で考えるという人間中心デザインやデザイン思考が生み出されたこと。それが、社会問題の解決やイノベーションにも使えるのではないかと見出され、サービスデザインへと発展してきた経緯が話されました。

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ちなみに、日本では、イノベーションは「技術革新」と訳され、技術なものと思われがちだが、イノベーションとは、人々の行動・習慣・価値観を変化させる新しいアイデアを生み出し、普及させ、新しい未来をつくることであるとの言葉が印象的でした。

また、VUCAの時代と呼ばれる先行きが見通せない現代には、とりあえずやってみて、そこから仮説を立てて実行に移すというアブダクション(仮説形成)という考え方が重要であるとのこと。

さらに、こういったVUCAの時代に差し迫った問題を解決するためには、社会のためになり、社会の行動力を高めるイノベーションを起こそうというソーシャルイノベーションという活動や、デザインが持つ「意味形成」の力が大切と語られ、福岡県の地域文化商社「うなぎの寝床」の事例が紹介されました。

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最後には、デザイン思考の実践として、山形県のデザイン思考研修を受講された中小企業が、2021年の山形エクセレントデザインを受賞された事例(さくらんぼの梱包箱を効率的に組み立てられる器具など)やニューヨーク市の低所得者向けサービスが市民参加で改善された事例などが紹介され、デザイナー以外の人がデザインする意義について語られました。

講演を通じて、ソーシャルイノベーションの時代においてこそ、地方や中小企業においてデザイン思考を活用する意味があることをお伝えいただき、デザイン思考を深く学ぶ機会になったと同時に、とても温かい応援を頂いた気持ちになりました。

イノベーティブな思考には、「システム×デザイン思考」

後半の講演・ワークショップの講師は、本カレッジのアドバンストプログラムも担当される慶應SDMの広瀬毅氏と中田実紀子氏のお二人で「システム×デザイン思考~企業でデザイン思考がうまくいかないわけ~」と題して行われました。

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講演ではまず、人の認知には「見たいモノしか見ない」バイアスがかかっていることを認識することが重要で、VUCAの時代では、従来の分析的思考だけではなく、既存の枠を超えたイノベーティブな思考が大事だと語られました。

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慶應SDMでは、システム思考とデザイン思考を掛け合わせる独自のアプローチ「システム×デザイン思考」による講義を行っており、アドバンストプログラムではそのコア授業のエッセンスを凝縮したものを受講できるようです!

「システム思考」とは、あらゆるものをシステムとして捉える思考法とのこと。太陽系や箸、竹串すらもシステムなんだそう!システム思考、恐るべしです。

一方「デザイン思考」は問題解決にアプローチする姿勢であり、共感やニーズ・動機への理解、多様性、楽観性、早くたくさん失敗して経験から学ぶというようなマインドセットを指すとのこと。

デザイン思考の秘訣は、「多様性」「集合知」「インサイト」の三つで、そのうち「インサイト」とは、見たことも聞いたこともないけど、言われたら「確かにそうだな」と納得するし、「メッチャ面白いじゃん!」と思えるようなポイントとのこと。このインサイトを軸に色々なアイデアを生み出していくことが大切なようです。

後半は、デザイン思考に基づいて「見たことも聞いたこともないスポーツ(競技)を考えてみよう!」というワークショップが行われ、会場の熱気も一段とアップ。「スカイダイビングプロレスタッグマッチ」など、奇抜で面白いスポーツが考え出されました。

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1時間半という時間で、「システム×デザイン思考」とはどういったものなのかを手を動かしながら学ぶことができ、今後のアドバンストプログラムへの期待も高まる講演でした!

現在アーカイブ配信中!今後のプログラムにもご期待を

その後は、カレッジ運営事務局から今後のプログラムの詳細説明があり、その後、講師と現地会場参加者との交流タイムが実施されました。

交流会では、各講師と参加者の皆さんが、和気あいあいと意見交換をされていたのが印象的でした。講師の皆さんのエネルギーと参加者の皆さんの多様性が、化学反応を起こしたのかもしれませんね!

現在、今回のオープニングイベントのアーカイブ配信を2023年6月30日まで下記URLで行っています。今回の記事では伝えられなかったデザイン思考の魅力が詰まった内容ですので、ご興味のある方は、ぜひご覧ください!

また、「やまぐちデザインシンキングカレッジ」の「ベーシックプログラム」と「アドバンストプログラム」の受講者を公式サイトで募集していますので、デザイン思考に興味を持たれた方は、ぜひご参加ください!

ついに始動した「やまぐちデザインシンキングカレッジ」。今後もしっかり皆さんにレポートしていきたいと思います。では、また!

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