デジタルツインのいい感じのユースケース…マラソン!
こんにちは。とくひさです。
梅雨時のジメジメと蒸し暑く、過ごしにくい気候に辟易としつつも、そんないやーな気分を吹き飛ばす面白いイベントが開催されましたので、その内容についてちょっとレポートしていきたいと思います。
1. イベント概要
この記事は、2023年6月15日に開催された「デジタルツインフォーラム」の実施レポートです。このフォーラムは、デジタルツイン技術とその可能性を共有するための場として、Y-BASE・防府サテライトPresentsで開催されました。
1.1. イベント日時と場所
開催日時は令和5年6月15日(木)の13時30分から16時30分まで。場所は防府市創業・交流センターの2階イベントスペースでした。開放的で明るいこのスペースは、デジタルツイン技術の可能性を探求するのに最適な場所だったと言えるでしょう。
1.2. 登壇者紹介
この日のメイン講師は青山学院大学の地球社会共生学部教授、古橋大地氏。古橋先生はデジタルツイン技術の第一人者として知られています。その古橋先生に加えて、株式会社ユーカリヤの代表取締役である田村賢哉氏と、山口県デジタルコミュニティ・アドバイザーの水田千惠氏にも本イベントにご参加頂きました。
パネルディスカッションでは、お三方がそれぞれ異なる視点からデジタルツイン技術の可能性と未来を語ってくれましたが、一貫していたのはこの技術が持つ革新性と、我々の社会がこれをどのように活用していくかということ。
お三方の軽快なトークと、地図・デジタルツインに対する熱い想いを乗せた対話の応酬と、本イベント全体を通じて、楽しく、そしてワクワクする内容となっていました!
さて、それでは以降では、当日の講演およびパネルディスカッションの内容について、もう少し詳細に記載していきます!
【参考】その前に、ちょっと素朴な疑問
新人スタッフ:「で、デジタルツインってなんですか?」
ベテランスタッフ:「デジタルツインは現実世界の物事をデジタルで再現する技術のことだよ。例えば、建物や都市、そして防府読売マラソンのようなイベントもデジタルで再現可能なんだ。これにより、事前にシミュレーションを行ったり、データ分析を通じてより良い結果を得ることが可能になるんだよ。」
新人スタッフ:「なるほど、だからデジタルアーカイブと関連があるんですね!」
私:「その通り!デジタルツインを使ってイベントをデジタルアーカイブ化することで、そのイベントの全体像を理解したり、将来の参考にしたりすることが可能になるんだ。」
2.デジタルツインが創る未来:古橋先生の講演を解説
まず最初に、青山学院大学の古橋先生より「デジタルツインで創る持続可能なコミュニティの未来」と題した魅力的な講演を頂きました。「ドローンも飛ばせる地図屋」と自己紹介された先生からは、デジタルツインというまだ一般的とは言えない概念を独自の視点も交えながら、丁寧に解説頂きました。
先生がまず説明されたのは、デジタルツインの考え方について。現実世界の様々な情報やユーザーの行動を反映するデジタルツインは、デジタル世界でのシミュレーションを通じて、現実世界をよりよく豊かなものに役立つ技術である、とご説明頂きました。
その後、全国各地でのデジタルツインの取り組みにも触れられ、オープンデータの現状と課題を提起頂きながら、先生自身が行われているデータ収集と公開に関する活動を示し、コミュニティづくりにおけるデータの価値を訴えられました。
さらに、都市の三次元地図の重要性についても解説。
地図目線から人間目線へと視点を転換し、”エゴセントリック”な三次元地図データの活用していくことが、新しい社会を作り出すと強調され、最後には、ウクライナの衛星画像マップなどを例に挙げられ、ストーリーテリングの具体的な事例を示して頂きました。
こうしたお話を通じて、人々の生活を主観的に物語るストーリーテリングも、デジタルツインが持つ大きな魅力なんだと感じることができました。
私も是非何か具体的な行動をしてみなきゃ、とそわそわしてしまいます。
締めくくりに先生からは、データを積極的にオープンにし、共有することで、活用の幅が広がり、持続可能なコミュニティが形成できるとの見解を示して頂き、「行政だけに依存しないバランスの良いオープンデータのエコシステムが持続可能なコミュニティを創ります」とメッセージを頂きました。
この講演を通じて、古橋先生の深い洞察と独自の視点から得られる知識と刺激に、会場にお越しの皆様も、オンラインで視聴されていた皆様も、大いに学び、行動を起こす意欲を喚起されたのではないでしょうか。
3. 防府読売マラソンデジタルアーカイブとは
防府読売マラソンデジタルアーカイブは、第52回と第53回の防府読売マラソンのデータを3Dモデル上でデジタル再現する試みです。このプロジェクトでは、デジタルツイン技術を活用してマラソンコース全体、ランナー、そして周囲の建物や地形までを立体的に表現し、マラソンランナーの動きを再現。
3.1. デジタルアーカイブの魅力
朝日航洋社の浅野様より、防府読売マラソンデジタルアーカイブについて、まずは、以下のようにいくつか場面を切り出して実際にサービスが動く様子を動画でお示しいただきながら、仕組みなどの説明を頂きました。
●マラソンコース全体を上空から眺め、ランナーたちが各地を駆け抜ける様子を捉える。
●立体的な地形を活用し、山影からランナーが現れるシーンを再現。
●折返し地点で、前年と当年のランナーがすれ違う様子を再現。
●3D建物による見え方の違いを比較して紹介。
●防府駅前を5倍速で走り去るランナーの様子を表現
●2年分のランナーが一緒に駆け抜ける姿を視覚化。
●ゴール直前のデッドヒートを再現。
●昨年度と一昨年度の勝者の競り合いをシミュレート。
3.2. デジタルアーカイブの構成
つづけて、このサービスにおいて、どのようにデータが作成されているかを解説。防府読売マラソンデジタルアーカイブは、主に以下のプロセスを経て構成されています。
●地面を立体化:国土地理院の航空写真を用いて地形を立体的に表現。
●建物を立体化:都市計画基本図の建物図形に地面の高さと屋根の高さを与えて立体的に表現。
●マラソンコースとランナーをGIS化:マラソンコース図の作成と1秒ごとのランナーの位置情報を計算。
●マラソンランナーをアバター化:上位20名のランナーをアバターで表示。
3.3. 3Dと2Dの比較とオープンデータの活用
さらに、このサービスを用いて、防府市の3D地図で様々な角度から建物を眺めることができることも紹介いただきました。こうしたデータが誰でも自由に使えるようになると、色々な活用方法が生み出されていきそうですね。こちらも先ほどの講演同様、話を聞いていてワクワクしてきました。
3.4.防府読売マラソンデジタルアーカイブ
本サービスはPC等のブラウザからインターネット経由で自由に操作していただくことができます。URLは「 https://hofu-marathon.reearth.io/ 」となりますので、皆さんも是非アクセスのうえ防府の街の立体表現を試してみてください!
4.パネルディスカッション「デジタルツインの可能性」
最後のプログラムはパネルディスカッション。テーマは「デジタルツインの可能性」でした。パネルディスカッションのモデレーターは県のデジタルコミュニティ・アドバイザーである水田さん。
パネリストは、先程の講演で様々な示唆を与えてくださった古橋先生と、デジタルツインプラットフォーム「Re:Earth」を開発したユーカリヤの田村さんと豪華なメンバーです。
まず冒頭、水田さん自己紹介ののち、田村さんから「Re:Earth」の活用事例の紹介を頂きました。実際に画面を操作しながら紹介される様子を見ているだけで、今やノーコードで簡単にデジタルツインサービスが開発できるんだなーということをご案内頂きました。
その後は、山口県におけるデジタルツイン利活用について様々な観点から議論が交わされました。デジタルツインの利活用を進めるための秘訣や課題は何なのか?行政と市民、それぞれの役割はどうあるべきで、今私たちはどんなアクションを行うべきなのか?、等々、予定時間をオーバーしながらも、あっという間に時間が過ぎたように感じるほどの熱量に、場内も活気に満ちていました。
今回の講演・パネルディスカッションを通じて、私たちは、まだまだデジタルツインの全てを理解したわけではありません。ですが、ここで学んだ内容は間違いなく参加者一人一人の理解を深め、今後のアクションへとつなげる契機となったことは間違いないと思います。これから、デジタルツインの可能性を追求し、その活用を広げていくためにも、ぜひ具体的なアクションを起こしていきたいものですね。 (以上ココまでChatGPTをぐいぐい活用)
おわりに
デジタルツインという言葉を耳にすることはありますが、なかなか具体的な利用シーンが思いつかないなぁ、と思っていたのですが、それらの疑問が氷解し、地図データや3Dデータなどへの興味が急上昇する、そんな素敵なイベントでした。
ということで、私もこれから、講演の中で先生から教えてもらったアプリなどを積極的に活用して、地域のデータ収集とオープン化に取り組んでいきたいと思います!