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デザイン思考で、既存の枠を超えていこう!~「やまぐちデザインシンキングカレッジ」アドバンストプログラム・集中ワークショップ~

こんにちは、デジテック運営事務局のやまたんです。11月8日は皆既月食と天王星食が共演する天体ショーが繰り広げられましたね。皆既月食と惑星食が同時に発生するのは442年振りということもあり、その時代を生きた織田信長と同じ夜空を観ようと、全国的に大きな話題になりました。

そんなニュースを聞きながら思い浮かんだ一冊が、冲方丁さんの「天地明察」です。時は江戸時代、算術と天文学に魅せられた碁打ちの青年が、様々な難問や試練を乗り越えながら、幕府や朝廷を巻き込んだ天下の大事業「改暦」に挑む時代小説です。

その魅力は、何と言っても、主人公をはじめ、幕府要人や算学者、天体観測に生涯を捧げた先人達など、様々な登場人物たちの「改暦」への純粋で熱い情熱。心の中でついつい何度も「頑張れ!」と応援してしまいます。

そしてもう一つは、既成概念を打ち破る爽快感。前代未聞の大事業を成し遂げた鍵は、常識の枠を超えたある閃きがありました。困難な試練にチャレンジされている方に、ぜひお勧めしたい一冊です!

約4か月の長期プログラムがスタート!

「やまぐちデザインシンキングカレッジ」の開講から早二か月あまり。11月9日、ついに、デザイン思考の習得する長期プログラム「アドバンストプログラム」がスタートを切りました。

本プログラムは、我が国を代表するデザイン思考の教育機関である慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)と連携して、慶應SDM独自のアプローチである「システム×デザイン思考」を習得するための約4か月間のプログラムです。

慶應SDMから広瀬毅先生と中田実紀子先生を講師としてお招きして、Y-BASEを会場に、最初のステップである集中ワークショップ(2日間)が始まりました。

アドバンスドプログラム講師の広瀬毅先生・中田実紀子先生

まずは2日間の集中ワークショップ

県内各地から集まった参加者の皆さんは、製造業から通信サービス業、金融機関関係者、教育関係者、自治体関係者など、年代や業種など様々。デザイン思考は多様性が重視されるようですので、プログラムにも良い影響を与えそうです。

まず参加者の皆さんから、事前に調べた「最近イノベーティブだと思ったもの」について発表。粗大ごみの受付システムや眼鏡の着せ替えサービスなどが挙げられました。それぞれの興味・観点によって「イノベーティブ」の捉え方は様々だな、日頃からこうした視点で世の中を眺める習慣がデザイン思考には大切なのかな、なんて思ったやまたんです。

最近イノベーティブだと思ったものを発表

続いて、デザイン思考の概要について講義が。これからの数か月間のプログラムの基礎となるパートですので、参加者の皆さんの視線も真剣そのものです。

デザイン思考の概要については、本カレッジのオープニングイベントのアーカイブ配信でも、メインとなる部分をご視聴いただけますので、ぜひご覧ください。(アーカイブ配信好評につき、配信期間を来年6月末まで延長しました!)

また、デザイン思考の総本山であるスタンフォード大学dスクールを設立したIDEO創設者デビット・ケリーのTEDトークは、10分程度でデザイン思考のマインドセットが学べるということでお薦めでした。このTEDトークは、検索すれば日本語字幕版もあるそうです。

問いを立てることの大切さ

午後からは、5チームに分かれてワークショップに移ります。テーマは「見たことも聞いたこともないIoTを活用した生活習慣病を予防するサービス・商品」。第1日目は、テーマに対する「問い」を立てることを中心に、「二軸図」や「バリューグラフ」、「因果ループ図」などのフレームワークについての講義と、そのフレームワークを用いたワークショップを交互に行っていきます。

そうそう、参加者は自分にニックネームをつけ、本プログラム中に名前を呼ばれるときは、ニックネームにだけ反応するよう、指導を受けていました。先生方もニックネームで呼ばないと反応してくれないそうです(笑)。その仕掛けも手伝って、とても良い雰囲気でワークが進みます。講義の真剣さとワークの活気のコントラストが、傍から見ていて面白かったですね。

講義で学んだフレームワークを使って、イノベーティブな問いを立てる各チーム

この問いを立てるパートで重要なのは、「◯◯を△△するにはどうしたら良いか︖」という問いを、「普通じゃないけど⾯⽩い︕しかも重要︕」という問題に捉え直し、魅⼒的で実⾏する価値があるイノベーティブな問いとする問題の「リフレーミング」だとも。各チームとも、ヘルスケアに関する個性的で突飛な問いを立てていましたよ。2日目までに、問いを立てるために確かめたいことを観察してくる宿題が出て、第1日目は終了です。

集中ワークショップ2日目

11月17日に開催された集中ワークショップ2日目は、宿題の観察結果の発表があってからスタートです。スマホ首になりそうな行動や、職場で元気な人の習慣など、色々な切り口での観察結果があり、そこから得られた気づき(インサイト)に基づいて、チームで問いを立てることから2日目は始まりました。

ここで使用した手法がブレインストーミング。私もこれまでブレインストーミングをしたことはあったのですが、講義の中で「ブレインストーミングは自由連想法。参加者が、他の参加者の意見と関係なく、バラバラにアイデアを披露するのは、アイデア発表会であって、ブレインストーミングではありません。」との説明があり、まさに目から鱗でした。他人の意見に乗っかって、次々に連想していくことで集合知を創り出すことがブレインストーミングなんですね。

ブレインストーミングで大事なことは、次の4つだそうです。
①    ポジティブに盛り上げる
②    アイデアは質より量
③    大きな声で発表する
④    他人のアイデアに乗っかる

チームメンバーも2日目とあって、問いを再定義する(リフレーミング)グループワークもさらに活発になっていました。

先生方も各チームを回って、議論をフォローアップ

問いをリフレーミングした後は、1日目と同じようにフレームワークの講義とワークショップを交互に繰り返します。流れで書くと、こんなかんじでしょうか?ちなみにカッコ内は、集中ワークショップで講義のあったフレームワークです。

①    問いを立てる(ブレインストーミング)
②    価値を提案する(バリュープロポジション)
③    アイデアを創出する(ブレインストーミング、親和図法、強制連想法、ピュー・コンセプト・エバリュエーション)
④    実現方法を組み立てる(CVCA、WCA)
⑤    事業をデザインする(フェルミ推定)

いや~、書き出すだけでも盛沢山ですね。でも各フレームワークを使ってグループワークを行うごとに、アイデアがブラッシュアップされていくことが、目に見えて分かりました。DXを創り出したいなら、デザイン思考、必須ですね!

最後は、2回にわたった集中ワークショップの締めくくりとして、各チームが立てた問いとそれを解決するサービス・商品が発表され、心を癒す自動販売機や手のぬくもりを感じるスマホケースなど、イノベーティブな発表が相次ぎました。参加者の皆さん、集中ワークショップ、お疲れ様でした。

集中ワークショップの成果発表

いざデザインワークへ!

12月からは、集中ワークショップで学んだフレームワーク等を使ったデザインワークが開始されます。参加者の皆さんの希望テーマを踏まえて、産業や教育、子育てと、様々なテーマごとに新たに創られた4チームが挑みます。

デザインワークの様子もまた皆さんにお伝えしたいと思います。では、また!

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