タイトル正

グルジアの夏 山編(その二) 【グルジア酔いどれ夜話/Siontak】

第十二夜

2015年4月に呼称をグルジアからジョージアへと変更した、南コーカサスの国。日本ではあまり馴染みのないこのジョージアへ、シルクロード旅行中にたどりついたSiontakさんのコラムです。ジョージアとはいったいどんな国で、どんな生活をしているのか!?

第2、4火曜日更新
<著者:Siontak>

山へ行く楽しみは人それぞれ、また同じ人でもその時々で変わってくるだろう。

僕の今回の山行きでは途中にあるアブデラウリ湖畔にキャンプを張り、1人で月見で一杯やってやろうというのが趣旨だった。

山歩きにビールは向かない。酔える量を持っていこうとするとそれだけで数キロの重荷になってしまうからだ。重量を減らすためにはアルコール度数の高い蒸留酒がいい。今回はグルジアの伝統蒸留酒、ワイン醸造時の葡萄搾りカスから作るチャチャを500ml持って行った。チャチャは度数が40度から80度近いものまであり、キツい臭気を放つような質のものもあればブランデーのような味わいのものまで様々だ。量り売りならペットボトルに入れてくれるのでガラス瓶に比べて軽いのもうれしい。

↑近所で買ったちょっと高めのチャチャ 寝かせてあるのか琥珀色だった

さて、前回からの続きになる。

全行程の中間地点であり最高地点である峠を登り切った僕は向こう側の眼下を眺めた。

↑峠の最高地点

↑峠の向こう側 アブデラウリ3湖 右が白湖、中央やや左に青湖、その上に緑湖

視界には白、青、緑と三色に分けられて呼ばれるアブデラウリ三湖が見えた。

アブデラウリ湖はこのルートにおける一つのハイライト。裾野の雪融けの水は白湖を形成し、そこから30分下ったところにミネラルの関係で美しい色の湖水をたたえる青湖と緑湖が並ぶ。

早く湖まで行きたいと思ってオフライン地図アプリMaps.meを見ると、トレイルは二つに分かれている。一つは尾根沿いに山を降りていくコース。もう一つは急斜面を白湖に向かって下りていくコース。尾根沿いに下りていく道はラクそうだが行きつく先は青湖。白湖を見るためには青湖から登って、また返ってこなければならない。一方急斜面コースの場合、斜面を降りきった後、トレイルを外れて下図赤点線のように白湖に直行するコースを取ることも不可能ではなさそうだ。峠越えで体力を消耗した今、急斜面コースをとって移動距離を短くすることが最善のように思えた。

↑トレイルに沿っていくと青湖-白湖を往復しなければならない 赤点線が独自ルート

だが人は疲労している時、しばしば判断を間違える。急斜面コースはひどかった。

ここから先は

3,329字 / 18画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?