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朝から小籠包(台湾)【旅すれば満ぷく/吉田友和】

第5回

3回の世界一周を含め各国を旅して回った吉田さん。自身を「食いしん坊」というほど食にもこだわりがあり、食を旅の重要なポイントと位置づける吉田さんが、世界各地で味わったオススメの「満ぷく料理」を紹介します!

第2、4金曜日更新
<著者:吉田友和>

 フッと思い立ち、フラリと台湾へ行ってきた。台湾旅行の場合はだいたいいつもそうなのだが、今回も二泊三日である。日本から近いし、航空券も安い。文字通りフッ&フラリで遊びに行ける気軽さが台湾の魅力だと思う。

 東京~台北間には、いまやLCCの便が多数就航している。今回はバニラエアを利用したのだが、これが二泊三日の旅だと実に最良のスケジュールだなあと感じた。行きは午前9時頃成田発の便で、お昼には台北桃園空港へ到着する。帰りの便はお昼過ぎに台北を出て、成田へ着くのは17時頃。もう一本遅い便もあるのだが、成田から帰宅するまでの移動を考慮すると、個人的にはこれぐらいがちょうどいい。

 台湾ではとにかく飽食気味な滞在になる。行くとデブ化する国の筆頭候補と言っていいだろう。今回も食べて食べて食べまくったのだが、最終日の朝食をどうするかでいささか悩ましい課題に直面した。実は、無性に小籠包を食べたくなったのだ。朝から小籠包である。ところが、早い時間から営業している店を調べてみると、これが悉くやっていない。たとえば、かの有名な鼎泰豊(ディンタイフォン)は午前10時開店とのこと。どうも朝っぱらから小籠包を食べる人間は少数派らしいのだ。

 考えたら、今回というよりも毎回、同じような課題に直面している気もする。二泊三日の旅の、三日目の朝ご飯である。昼過ぎの便に乗ることを考えると、この日は朝食こそが最大のハイライトとなる。帰る前にもう一度、小籠包を食べたい――そんな欲求にかられるのだ。食べられないと、悔いが残るのだ。

 あきらめの悪い旅行者である。朝から小籠包が食べられる店をネットで粘り強く探してみた(最初は某著名ガイドブックを見たのだが、そんな店は一軒も載っていなかった)。すると選択肢は少ないものの、ゼロではないことが分かった。なんだなんだ、探せばあるではないか。そんなわけで、クチコミ情報などを頼りに、今回行ってみたのが永康街から近い「江浙點心」という店だった。ここなら朝9時から開いている。頼もしい存在である。

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