ピデ(トルコ)【旅すれば満ぷく/吉田友和】
第15回
3回の世界一周を含め各国を旅して回った吉田さん。自身を「食いしん坊」というほど食にもこだわりがあり、食を旅の重要なポイントと位置づける吉田さんが、世界各地で味わったオススメの「満ぷく料理」を紹介します!
第2、4金曜日更新
<著者:吉田友和>
地中海の小さな島国マルタ共和国へ行ってきたのだが、今回は飛行機がイスタンブール経由だった。久々のトルコである。行きは乗り継ぎが五時間もあったので、ここぞとばかり街中へ繰り出して、何か美味いモノでも食べに行きたいなあと思案した。
ところが、着いたのが午前五時と微妙な時間帯だった。街はまだ寝静まっているだろうし、そもそも眠い。あきらめて、エアラインラウンジでのんびりしようと向かったのだ。
運命の出合いは、こういう何てことのない瞬間に訪れる。ラウンジ内の軽食コーナーに、見覚えのある料理が置かれていた。パンのような焼いた生地の上に具材が載っている。食べやすいサイズにカットされており、見るからにフィンガーフードといった感じ。
「あら、ピザもありますねえ」
同行者がつぶやいた。そう、見た目はまんまピザである。ピザのようではあるのだが、これは実はピザではない。
「これは……ピデ、ですね」
別に知識をひけらかしたい訳ではないし、なんだか大人げない気もするのだが、知らないフリをするのも変なのでさりげなく訂正しておく。お皿の横のプレートにも「Pide」と英語で料理名が書かれていた。日本語では、「トルコ風ピザ」とでも訳すといいのだろうか。いや、やはりピデと呼んだ方がしっくりくる。ピザではなく、ピデなのである。
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