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Macアドレス ランダム化の噂の真相

今回は、iOSとAndroidのWi-FiのMacアドレスのランダム化の真相に迫ります。ある意味、Oxyzenのビジネスの肝の部分の話なので内心ドキドキもんです💧いろいろと流布されているこの問題について、真正面からガチ語ります。

Macアドレスとは

Macアドレスとは単純に言えば、スマートフォンに一意(ユニーク)に割り振られたIDのことです。このIDを利用すれば世界中のスマートフォンをほぼ重複なく区別することが可能です(「ほぼ」というのは変更などが一部可能なためです)。

OxyzenのようなWi-Fiの電波をセンサーで取得してさまざまな分析を実施している企業は、このMacアドレスを個人情報に配慮しながらHash化などの匿名化処理を施した上でスマートフォンの端末を区別し、混雑具合や移動分析やリピーターの分析などを行って来ました。

オンライン広告の過剰なターゲッティング

個人的にも感じ続けて来たことではありますが...Webとかアプリの広告って一度でもポチってしまったらバナー広告はそれ関連の広告ばかり、SNSには関連の広告が節操なく流れ続ける...なんて経験ありませんでしょうか?また、やたらとページ遷移を求められるような質の低いメディアがここ何年かで急増したように感じます。

これらは、例えばWebの場合はCookie(クッキー)と呼ばれるWebブラウザが唯一ローカルPCにアクセスできる場所に値を保存できる機能を使って、私たちが「どの広告をクリックした」とか「どのサイトを見た」とかの情報を管理して、(一応)利用者の同意のもと、他社にもその情報を売ったりしています(これをサードパーティCookieといいます)。

もちろん(?!)それらの情報をオプトアウト(扱わないように指示)することもできます。ですが...ある有名なWebメディアでは数十ときには数百に及ぶ企業にCookie情報が売られていて、1件ずつサイトを訪問してオプトアウトしなければならず...これって、めんどくさすぎて事実上オプトアウトできないですよね?(以下の例ですと61社(サイト)個別訪問して設定変更するそうです😥)

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また、Cookieを使わせていただいてもいいですか?(いわゆるオプトイン)の条件に「このバナーを閉じるか、閲覧を継続することでクッキーの使用を承認いただいたものとさせていただきます」って、選択の自由ないですよね?

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こんな感じにいわゆるオンラインのターゲッティング広告の質が著しく低くなってしまっているため、GoogleやAppleなどはここ最近、広告向けのさまざまなトラッキング用のIDを、ある意味使いにくくする方向に舵を切りました。

コホートの連合学習?!

例えばGoogleはWeb(オンライン)のターゲッティング広告用のサードパーティーCookieの利用を2023年までに廃止し、 FLoC(Federated Learning of Cohorts:コホートの連合学習)というテクノロジーを今後のオンライン向けの広告に用いることを明確にしています。これは個々人ではなく、「ある趣味や嗜好を持つ集団(つまり、コホート)に対してターゲッティングする」という方法です。

ちなみに、Oxyzenの”Digital東京”では、3層のコホートの概念を世界に先駆けて、オフラインデータに応用し、デジタル空間上にリアルな社会を構築しています(特許出願済)。

ついにやって来たMacアドレスのランダム化

Cookieなどのトラッキング用のID廃止の流れのひとつとして、スマートフォンの端末ごとに一意であったMacアドレスをランダムに生成し、Macアドレスを利用してスマートフォンの端末特定をしにくくする流れがあります(いわゆるランダム化)。特に日本では、2020年9月に配布が開始されたiOS14からの影響が顕著になっています。

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iOS14のダウンロード開始とともに徐々にMacアドレスの数が増え始め、iPhone12の発売を境にして急増していることが分かります。

ただ、確かにランダム化されていることはそうなのですが、正確には、「今までは端末で一意であったMacアドレスが、SSID(つまりアクセスポイント)毎に一意になった」ということで、Macアドレスがめちゃくちゃに出て来ることはないため、人流分析などをMacアドレスを使って行うことは依然として可能です(iOS15でもこの仕様となっています)

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ただ...今後はどうでしょうか?無秩序に、完全にMacアドレスがランダム化されてしまうリスクはないのでしょうか?

実はAppleは完全ランダム化したがっている

結果的に現在でも「SSID毎に変化されない(静的、永続的な)Macアドレス」となっていますが...もともと2020年7月9日にAppleが公式に発表したiOS14向けのランダム化の仕様では、「定期的にMacアドレスを変更し...(つまり、完全ランダム化するよ)」となっていました(出典はこちら)。

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これには正直面喰らいました...いわゆるGAFAのような、巨大プラットフォーマーの経済圏でのビジネスに限界を感じました(まるで「釈迦の手のひら」のような感じです。いくらダンス上手でも、肝心の舞台が脆弱だったら練習すらままなりません)。

しかしながら、不幸中の幸い?、2020年8月6日に、急遽iOS14の仕様の変更がありました。

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つまり、「定期的に(periodically)、ランダムな(randomized)Macアドレスとなる」のではなく、「SSIDごとに異なる(different)、永続的(static)なMacアドレスを使う」となりました。これが、iOS15にまで引き継がれているMacアドレスの仕様です(ちなみに、Androidも同じ仕様です)。

おそらく、8月6日にMacアドレスの完全ランダム化を宣言した後に、さまざまな業界や、またApple社内からも反対の意見があったのだと個人的には思っています(例えばWi-FiのアクセスポイントでMacアドレスベースの認証などをしている場合には直ちに影響が出る)。ですが、Macアドレスの完全ランダム化の流れは否定できません

で、Oxyzenさんはどうするのよ?

私たちOxyzenも含め、Wi-Fiを利用して各種分析をしている企業にとっては正直致命傷です。ヤヴァイです。コロナでも十分に打撃を受けているのに、ランダム化まで...orz。しかしながら、Macアドレスのランダム化について私たちが自らNoteにせきららに書くくらいですから何かあるはずですよね?何か隠し玉持ってるんですよね?!

...乞うご期待!

Digital東京

Oxyzen株式会社

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