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オリンピックはアマチュアスポーツの祭典なのか?

紆余曲折、様々な話題に事欠かない東京オリンピック2020が開幕し、「JAPAN」を背負った日本選手団の活躍が国民に勇気や感動をもたらす素晴らしい結果を導いている。

そんな折、今朝とあるTVの情報番組でこんな事があった。早朝の番組なので最初から全てを見たわけでは無い。

昨日のハイライトシーンと銘打って金メダルを獲得した競泳大橋選手、体操橋本選手の映像が繰り広げられる。喜ばしくて微笑ましい。
昨日から何度見ても飽きないシーンだ。

続いてサッカー、野球のハイライトシーン
強豪国を撃破して激戦区の予選リーグを全勝で勝ち抜けたサッカーJAPAN。
重苦しい初戦の展開をサヨナラ勝ちで飾った野球の侍JAPAN。

そしてバドミントン桃田選手の敗戦
まさかの敗戦ダイジェストからインタビューでの悲痛なコメント

そしてここでVTRによる映像紹介が終了した。

MCが「この他に柔道女子70kg級で新井選手が金メダル、競泳男子で本田選手が銀メダル」と原稿を読んだ。

IOCが商業的だと批判するマスコミは、一方で商業的にオリンピックの結果を紹介している。
これが正直な私の感想。

原稿だけの紹介に留まったこの2人はオリンピックに初出場で初メダルを手にした。
偉業である。

しかし私自身、正直オリンピック前からこの2人の顔や戦歴などを知っていたかというと、知らないというのが本音である。

一方、バドミントンのキャリアが無くても桃田選手を知っている人は多い。メダルも期待していた人が多かっただろうし、そんな桃田選手が敗れたシーンは視聴者の気を引く。

サッカーでは久保選手や堂安選手など次世代エースが揃い、国内外で活躍するスター候補が並び立っている。野球の侍JAPAN達はいわばドリームチーム。

日々のスポーツニュースでみる面々ばかり。


ニュース性、話題性が高いのはわかるが、金銀メダリストをさしおいて、決勝に及んでいない予選の勝敗結果がクローズアップされるのを、なんとも言えない気持ちでみていた。

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スポーツ選手はアマチュアとプロに2分化される。 アマチュアに属する実業団の実情は様々だ。スポーツに専念出来る環境を手に出来る選手もいれば、仕事との両立を図る選手もいる。活躍に応じたボーナスが支給される場合もあれば、ない場合も当然ある。何らかの手当が基本給に上乗せされる場合があるが、ない場合もある。

多くの実業団選手は「競技に向きあいたい」「更なる高見を目指したい」といったチャレンジ精神や野心の中で闘っている。金銭メリットとは無縁の環境にいる選手が圧倒的だ。

一方でオリンピックのような世界の檜舞台で活躍することで、その名を一気に広められる選手がいる。
ほんの一握りの選手はこうした活躍を元に実業団を抜けて独立し、マネジメント会社と契約するなどして、スポンサー契約等を取付けプロ選手として新たな道を歩む。

スポーツ用具やウェアも単なるメーカーからの提供に留まらず、カタログ等に写真付きで○○選手使用モデルとか使用コメントを紹介する形で掲載され、肖像権を伴う金銭契約を結ぶことも可能だ。

TVCMのキャラクターや番組のコメンテーター・解説者、講演依頼に伴う講演料、執筆・本の出版、などビジネス機会を挙げればいくらでも出てくる。

メディアに出れば出るほど知名度は上がり、不祥事や事件を起こさない限り、引退後も豊かな経済メリットを得られるケースは多い。

こうして五輪での活躍を機に人生を一変させるチャンスをものにするトップアスリートがいる。

お笑い界でいえばM-1王者のようなもので、その栄冠を勝ち得たチャンピオン達がよく口にしているが、その座を得たその瞬間から、朝から晩まで急激に出演オファーの仕事が入り、一気に夢舞台へとのし上がっていく。


「五輪はアマチュアスポーツの祭典」
実はこの言葉や規定は古いものである。
すでにオリンピック憲章から「アマチュア」という言葉は削除されている。
1974年のことらしい。

◆プロとアマが混在して争う競技がある。
◆プロの稼ぎが半端ない競技がある。
◆オリンピックに出ても生活がなかなか立ちゆかないアスリートがいる
◆オリンピック出場者の所得格差は激しい。

世界のスポーツ長者番付によると東京五輪で最終聖火ランナーを務めた大坂なおみ選手は年収60億円を稼ぐらしい。錦織選手で29億円とある。

夢のある話だが、一方の実業団選手の年収と言えば恐らく400~500万円が相場だろう。

誰もが夢見る職業として、いくつもの競技のスポーツアスリートが選ばれて欲しい。
そしてその座を目指す登竜門がオリンピックであって欲しい。

幼い頃、たまたま縁のあったスポーツに従事し、苦しいトレーニングに絶え、歯を食い縛って戦い抜いて得られた金メダル。


ゴールドメダリスト間の所得格差を埋めるためにも、スポーツ庁をはじめ、スポーツ中央競技団体(最上位の協会や連盟)は競技のプロ化や収益化をはかり、選手がスポーツで経済的に潤える世の中を作って欲しい。

アスリートファーストはまだまだ一部の競技に偏っていると思う。

スポーツにITを積極的に採り入れ、エンターテイメントとしてスポーツを観ることもすることも両面並立的に進化させて欲しい。

それが何よりのスポーツの発展と考えている。

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