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第4回 【実践】業務フロー図の描き方~Part2~

 今回は、業務フロー図の描き方Part2として、これまでに整理してきた注意点等をベースとして、実際に業務フローを書き始めていきます。今回も、業務フロー図の実践的な描き方について私が実際に取り入れている手法をベースに書いていきます。

「想像での仮案」で想像していなかった想定外の事象が多発する

 ヒアリングをした結果、「想像での仮案」との差異が明確化し始めてきます。しかし、ヒアリングを進めていくと、差異では済まない、想定外の事象が度々発生します。これまで多くの業務フロー図を作成してきましたが、この想定外の事象については事前準備をいくらしても、必ず発生してしまいます。逆に考えると、必ず発生することが分かっているので、想定外を想定して作成を進めていくことがとても重要です。ファシリテーター側が焦ったり、困ったりしてしまうことは絶対に避けるよう心がけています。

【よく発生する「想定外」の事象 Best3】
・実は、業務全体を理解している人はほとんどいない。
・新たなシステム、登場人物がどんどん出てくる。
・ヒアリングした担当者によって、全く業務のフローが違う。

 第一回から続けて書いていますが、業務フロー図を作成する一番の目的は、社内の共通言語を作ること」です。ですので、「実は、業務全体を把握している人は殆どいない。」というのは、当然といえば当然です。業務フロー図作成段階では、全体を正確に理解している人はほとんどおらず、その課題を解消するために業務フロー図を作成している。というようにプラスに考えるようにしていくとスムーズに進められます。

業務の「動き」「繋がり」「順番」を可視化していく

 2つ目、3つ目の想定外の事象である、新たなシステム、登場人物がどんどん出てくることや、ヒアリングした担当者によって、全く業務のフローが違うことも、毎回発生します。これを回避するために、一人の担当者さんへのヒアリングで業務フロー図を作成するのではなく、より多くの担当者さんへヒアリングを行った上で、情報を集約して業務フロー図を作成していくことが重要になります。
 業務フロー図は簡単に言うと、「動き」「繋がり」「順番」を明確化して、整理することです。事前に洗い出した登場人物が、どんな「動き」をして、それがどこの誰と「繋がり」どんな「順番」で業務が進んでいくのか、これさえ整理できれば、業務フロー図は完成します。1つ1つ、ぶつ切れになっていた業務が整理されて繋がっていくことで、全体感が見え、埋もれていた課題も浮き出てきます。
 その際気をつけたいのが、課題は勝手には浮き出てこない、ということです。ヒアリング対象者にとって、定常の業務になっているため、埋もれている課題に気が付かないことが多いのです。しかし、全く課題の無い業務はなく、必ず何かしらの課題が潜んでいます。その課題をあぶり出し、明確化してあげることがファシリテーターの重要な任務でもあります。課題が明確化すればするほど、改善の種が見つかり、業務担当者も、それを管理している人たちも最終的には幸せになれると考えています。

吹き出しを活用して情報を付加していく

 業務フロー図作成の流れで、一緒に業務課題も管理していきます。必ず、課題管理票を作成して、課題を可視化していきます。
 ここでポイントになるのが、課題を一覧化すると同時に、業務フロー図にも落とし込んでいくことです。業務フロー図と課題管理表を1つに集約することで、ひと目で全体感が把握できるだけでなく、流れの中でどこに課題があるのかがひと目で分かるようになります。業務改革を行っていく際には、課題が多く書き込まれている部分から取り組んでいくと、効果的な業務改革を行うことが出来ます。そういった箇所は、業務のボトルネックになっていたり、非効率的な業務手順になっていたりと、必ず問題があります。課題管理票だけで管理していては見えづらい、業務における課題の濃淡が可視化出来るのです。

まずは業務全体のフロー図を作成してみる。

 ここまで色々と書いてきましたが、最初から完璧な業務フロー図を作成することは出来ません。最初から、細かいフローを全部書き起こそうとすると、疲れてしまって、完成まで行き着かないという最悪の結果になってしまいます。
 業務フロー図は、明確化した課題を潰し込み、全体に共有してフィードバックを貰うなど、どんどんどんどん変更を入れていき、進化させていくことが重要です。一回作成したら終わり!ではなく、常に手を加えて、日々修正していくことで本当に意味のある、「共通言語としての業務フロー図」になっていきます。

【まとめ】業務フロー図作成の3つのポイント

 業務フロー図を作成する上で、私が大切にしている3つのポイントをまとめました。読者の方が業務フロー図を作成する際の参考にしていただければ幸いです。

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 次回は、「【実践】業務フロー図活用方法」(最終回)について書かせていただきます。是非引き続きご覧いただければと思います。

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第1回 デジタルシフトにアナログな「業務フロー図」作成が必要なのか
第2回 業務フロー図を描く前に整理すべきポイント 
第3回 【実践】業務フロー図の描く方~Part1~ 
第5回 【最終回】業務フロー図の活用方法

島津 将吾(Shogo Shimazu)
大学にてマーケティング戦略を学び、産学連携PJ等で実際のビジネスでの実践を経験。UNIQLOでのアルバイト経験により小売業の面白さに目覚める。大学卒業後はこれからはデジタルの時代であると考え、ネット小売業の(株)セブン・ネットショッピングに入社。管理業務やカスタマーサポート、マーケティング業務を担当し、その後、オムニチャネルプロジェクトに参画。「omni7」サイト構築に構想段階から関わり、リリースまで担当。2017年8月に(株)デジタルシフトウェーブに転職。現在は、主にデジタルシフトのための業務改革をご支援している。

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