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第1回 カオスなSaaS業界

はじめに

 はじめまして。深沢です。まずは簡単に私自身の自己紹介をさせて頂きます。私は2012年に新卒でセブンインターネットラボ(現セブン&アイ・ネットメディア)へ入社し、約6年システムエンジニア(インフラ担当者)として従事していました。当時はまだまだクラウドサービスは商用利用としては普及しておらず、データセンターで物理サーバを構築する日々を送っていました。その後、2017年に株式会社デジタルシフトウェーブへ転職し、「デジタルシフトでビジネスに新しい波を」というビジョンの下、様々なITベンダーと一体となって、クライアントに最適なプロダクトを提案する、ということを行っています。クライアントへの営業だけではなく、導入からサポートまで自分自身で実行するのですが、それは、「誰よりも顧客のことを深く理解するために、一気通貫した仕事をするように」という、社長からの助言でもありました。

今回の連載をさせていただくにあたって

 実際に多くのクライアントの方々(主に経営企画部門)からこんな相談を頂いています。

「店舗と本社の紙のやり取りをなくしたいが、何から始めればいいかわからない」
「勤怠管理をクラウド化したいが、どのパッケージを選べばいいかわからない」
「システム部から提案が上がってくるが、本当にシステム費用が適正なのかわからない」

 本連載ではクライアントの皆様から相談された悩み、主にSaaSのパッケージの導入について、実際にどう進め、どう対応したのか、また現場で起きた問題点や課題点も踏まえながら、リアルな実践方法をお伝えしていきたいと思います。

カオスなSaaS業界

 さて、皆さんがよく目にするタクシー広告の多くは、「経費精算の電子化」や「データ分析の可視化」といったSaaSのパッケージについての広告ではないでしょうか。「SaaS」とは「Software as a Service」の略で、クラウドで提供されるソフトウェアのことを指します。ユーザー側にソフトウェアをインストールするのではなく、サービスベンダー側でソフトウェアを稼働させ、ユーザーはネットワーク経由でソフトウェアを利用出来ます。最近ではタクシー広告だけでなく、TVCMでもSaaSのパッケージについて目にする機会が増えてきていると思います。SaaS業界は国内市場でも堅調に成長を続け、特に業務領域だと、財務会計、人事給与、営業などのSaaS化が急激に進んでいるといわれ、まさにカオスなSaaS業界です。

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(出展:スマートキャンプ社「Horizon SaaS カオスマップ 2019年版」より)

導入のポイント

 SaaSパッケージを導入する上で重要なのは、業務とシステムの両方を理解することです。業務だけがわかる、システムだけがわかる、といったようにどちらか一方だけ理解していてもダメで、業務とシステムの両方を理解し、定義した要件のもとでパッケージを選定し、導入していく必要があります。なぜなら、SaaSのパッケージ導入で上手くいくポイントは「システムを業務に合わせる」のではなく、「業務をシステムに合わせる」ことだからです。
SaaSのパッケージは様々な企業が要望する機能や、法律上必要な機能が既に備わっています。また、競争が激しいSaaS業界では、常にベンダー側も新機能のリリースや機能改善を実施しています。そのため、既にある機能では業務要件が満たせないと、自社のためにカスタマイズするのはナンセンスで、必要であれば業務を変えてまで、ノンカスタマイズで導入することが、成功のカギとなっていきます。

 この連載を通して、SaaSパッケージ導入のポイントを、大きくは以下の3つに分けて、詳しく解説していきたいと思います。

①システム部門を巻き込んだパッケージの選定
②ノンカスタマイズで導入するための業務要件の整理
③全体最適を考える

次回はSaaSパッケージ導入のポイントの1つ目である、①システム部門を巻き込んだパッケージの選定、ということについて、詳細をご説明していきます。

(つづく)

★関連記事
第2回 システム部門を巻き込んだSaaSパッケージの選定 
第3回 ノンカスタマイズで導入するための業務要件の整理
第4回 全体最適で考える

深沢 七菜(Nana Fukasawa)
2012年4月新卒として大手小売業グループのシステム会社に入社。入社から5年間以上、インフラエンジニアとして従事。基幹システムからWEB系のシステムまであらゆるシステムの基盤を構築、保守、運用を担当。システムのセキュリティ資格取得の推進も実施。インフラだけではなく、もっとフロントや上流の業務を経験したいと思い、2017年8月に(株)デジタルシフトウェーブに入社。

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