
今からEC(ネットショップ)始めるならどうしたら良い?
新型コロナウイルスによる自粛の影響で対面の販売ができなくなり、ネットで商品を売ろうという企業が増えています。
実際ここのところ、この手の相談が増えていますので、私が考える今からECに取り組む場合の取り組み方について、ご紹介したいと思います。
自社サイト構築かショッピングサイトへの出店か
何を売るか、どういう金額でというのも重要なことだと思いますが、デジタルマーケティングの立場から一番重要なのはECをどこでやるかです。
こちらダイレクトに集客に結びつくところだからです。
大きな選択肢として「自社サイトを構築する」か「既存の人気ショッピングサイトにに出店する」という2つがあるかと思います。
この2つは「町外れの一軒家」で商売するか、「駅ビルのテナント」に入って商売するかという違いだと思ってください。
(2択ではなく、販売チャネルを増やす意味で両方出すよというのもありです)
1) 自社サイトを構築する
一軒家=すなわち自社でECサイトを構築する場合。
自分たちの好きなようにやれますし、テナント料として売り上げの一部を持っていかれることもありません。
最初にシステム構築の費用がかかりますが、今はEC-CUBEといったオープンソースの(無料で使える)コンテンツ管理システムがありますので、それをカスタマイズして開発すれば、そこまで高額にはならないでしょう。
商品数や想定するアクセス規模に左右されますが、業者に外注した場合、私の経験的に、小中規模のサイトであれば相場は100〜300万円くらい、大規模だと1000万円以上といった感じです。
一般的な納期は2〜3ヶ月(大規模だともっとかも)ですが、このご時世ですので急ぎでしたら、こだわりを捨て、ある程度を業者任せにすることで急いでもらうことはできるかもしれません。
しかし私があえて「町外れ」といったのは、今から参入する場合になかなか「目抜き通りの一等地」は取れないのが実情だからです。
基本的に自社サイトの場合、あくまで自分たちでSEOやインターネット広告など集客を頑張らないといけません。
ですが今やECサイトなんて山のようにありますから、よほどのビッグネーム・ビッグブランドか、他に競合がほとんどいないユニーク商品を扱う場合でない限り、オンライン上で埋もれてしまう(ろくにアクセスが集まらない)のが目に見えています。
例えば、ユニクロや無印良品、ビックカメラ、ヨドバシカメラ・・・そういう企業は自社サイトで十分に成功しています。
そういう、オフライン・リアルでも一等地に店を持てているような企業・ブランドであれば今からやったとしても、自社サイトで十分な集客ができるはずです。
あるいは、他で売っていないような新しい商品・ユニークな商品を扱うのでしたら、検索で上位を取れるはずです。
これはリアルでいう「遠くからでもわざわざ足を運んでくれるお客さんがいる状態」ですので、自社サイトでも集客しやすいでしょう。
しかし、そんな大規模ではないとか、扱っているものがユニークなものではないという中小企業でしたら、自社サイトへのこだわりを捨て、あえて既存のショッピングサイトに出店することで集客を助けてもらった方が良い場合もあるのです。
2) 既存の大手ショッピングサイトに出店する
ショッピングサイトとして有名なものは、「Amazon」、「楽天」、「Yahoo!ショッピング」などですよね。
上記サイトは実際に利用されているという方が多いでしょう。
それぞれ既に多くの会員を持っており、リアルタイムでサイト上を買い物客がたくさんうろちょろしている状態なのは言われなくてもご理解いただけるかと思います。
リアルでしたら駅ビルや百貨店的な存在ですね。
各媒体に申請して出店が認められれば、自分たちが販売する商品やお店のページがサイト内で露出されるようになるため、集客はかなり楽です。
また、決済やショッピングカート、顧客管理などの各種機能も備わっていますから、システム構築や維持の面倒さからは開放されます。
ただ、ぞろぞろと競合が軒を並べている状態ですので、他社と同じ商品を取り扱うのであれば、価格や納期、評価、Amazonでしたらprimeマークを出せるかといったところで差別化を競うことが売上の大きなファクターになります。
当然、無料で出店させてくれるわけはなく、出店料だったり、売上の何パーセントだったりといったテナント料的なものが発生しますので、利用時によくご検討いただくことが重要です。
その上で、とにかく販売チャネルを増やしたいという企業でしたら上記の3サイト全部に出店している企業もありますし、自社見込み顧客に合わせて1つだけ契約しているケースもあります。
特徴としてはAmazonは店の見た目(ページデザイン等)が画一的になったり、メルマガを出せないという点で、自社ブランドをあまり打ち出せない(その分、小規模や個人事業レベルでも出しやすい)ため、顧客育成やファン化にはつながりにくい。
逆に、楽天やYahoo!ショッピングはもうちょっと自分たちのカラーを出しやすいです。
3) ビジネス規模によってはBASEが良いかも
しかし、上記の大手ショッピングサイトは、それなりの費用(テナント料もそうですが、運営にかかる工数といった人件費も含めて)がかかりますので大きく売らないと採算が取りにくい媒体であります。
また、出店作業とかも審査があったり、結構面倒くさいんですよね。
私も以前、楽天でショップを出していたことがありますが、1点もののファッション雑貨が多かったところ、ページ作る手間に比べて販売数が1点しかないと割りに合わないと感じました。
そういう問題はあるんですよね。
ですので、実は個人事業や小規模の企業などで大きく売ることを考えていない、まずは手軽に始めてみたいといった場合には、私はBASEというショッピングサイトへの出店をオススメしています。
無料で30秒で作れるというのが売りで、決済機能も使えます。
私も使ってみた感想、とても楽です。
ただやはり、Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングのような集客力はなくて、大きく売ることが難しい。
昔からファンがいて、その方達に売りたい、SNSとかで集客できるというならOKだと思いますけれど、ネットでがんばって儲けるぞーというフェーズでしたら、合わない可能性があります。
まとめ
ECをやっていて遅かれ早かれ問題になるのが結局「集客」です。
せっかく意気揚々とお店を出店したのに、閑古鳥が鳴いているのでは意味がないですからね。
そこで、「今からEC(ネットショップ)始めるならどうしたら良い?」という問いに対する答えのフローチャートを作ってみますと、以下のような考え方で良いのかなと思います。
■集客に自信がある場合(売りたい規模の集客はなんとかなる)
→自由にやりたい、予算もある・・・自社ECサイト構築
→小規模でやりたい・・・BASE
■集客に自信がない場合
→自由にやりたい、予算もある・・・楽天など
→小規模でやりたい・・・Amazon
また、番外編的な話ですが、SNSで集客ができている場合、
■Instagramでフォロワーが多い
・・・Instagramのショッピング機能と相性が良いのは楽天
■Twitterでフォロワーが多い
・・・Twitterからのリンクと相性が良いのはAmazon
という傾向がみられますので、その辺りも鑑みて出店場所を決めても良いのかなと思います。
いずれにせよ、デジタルマーケティング的にはECをどこでやるかが非常に重要と考えています。
あくまで、自社サイトへの集客方法や、各ショッピングサイトの攻略方法については、次のフェーズかと思います。
まずは、どこに出店するかを慎重に判断されることをオススメいたします。