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広告の「効率」と「効果」と本来の役割

今朝、会社での会議の議論を通じて思ったこと。

インターネット広告が出始めた頃、「インターネット広告はその効果を数値化してみることが出来ます」なんてセールスをしていた時期があった。

要は、広告の出た回数(imp)とか、広告がクリックされた回数とか、一人の人が見た回数とか、何人がみたとか、広告経由でどれだけの売上があったのかとか。。。
そんな指標をさして「広告の効果」っていっていた。

いわれてみると「ああそうか」っていう気になるんだけど、じつはそれらの数値を出稿金額で割り算した「効率」しかみない弊害をその時点から生んでしまったんだなぁと。

どういうことかというと、↑の指標だけでみて「最も効率の良い広告出稿のあり方」を考えてみると「普段から自社の商品を買っている人に、自社の広告をみてもらう」ことが、最も広告が効率的に売上を上げる方法になる。

つまり、普段から自社の商品を買っている人は広告を見ても見なくても自社の商品を買ってくれるんだけど、どっちにしても買ってくれるから広告を見て買ってくれる割合も高くなる。
なので、これが最も効率が良いという数値結果になるわけ。

普通なら「いやいや,広告を見ても見なくても買ってくれるなら、広告を見てもらう必要ないでしょ?だって、見なくても買ってくれるんだから」と言うことになるのだけど、「効率」という指標にとらわれてしまうと「だって効率がいいじゃん」というところから離れられなくなってしまうのがサラリーマンの悲しいところ。

サラリーマンって、費用対効果とか業務の効率化とか生産性とかを常に突きつけられてしまうから。特に何かの施策を実施して効率や生産性が下がったら、鬼のように上司に怒られてしまうのが現場の担当者の宿命。

でも、広告を使って売上を上げていくために本当にやらなくてはいけないことは、「今まで買ってくれなかった人が、広告を見て”買ってもいいかな”と思ってくれたり(態度変容)、実際に”買ってくれる”ようにする(行動変容)」のが役割であって、そうじゃなきゃ売上もシェアも拡大しない。

じゃぁ「今まで買ってくれなかった人が、広告を見て買ってくれるようにする」為にどうすれば良いかというと、「今まで買ってくれていないたくさんの人に、広告を見てもらう」と言うことから始める必要がある。ネット広告の考え方で言うと、クリックやコンバージョンはさておきとにかくインプレッションを稼ぐ(CTRやCVRはみずにimpとリーチしかみない)ことをしなきゃいけないのだ。

難しいことを言っているわけではないのだけど、どうも効率重視のネット広告担当者はこれが出来ないのだなぁ。

その結果、”ROAS(Return of Ad Spend)の呪文を唱えながら、広告を出さずとも買ってくれる既存顧客に広告を出し続けてしまい、広告費を使っても使っても売上が上がらずシェアも拡大しない沼に落ちていく”のである。


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