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聞きたいのは、「あなたの体験」...。

広告会社での面接でよく私がする質問の一つに「最近見た広告で、何か面白いと思ったものはありますか?テレビでも新聞でもネット広告でもなんでも良いです」というお題があります。 面接をする側としては「広告会社の面接を受けにきているくらいだから、広告のことって興味があるのだろうなぁ」と思っているので、こんな質問をするんですね。

で、広告にもいろんなスタイルがありますし、その時の世相が強く現れます。有名な女優さんとかタレントが出ているもの、最新のヒット曲を使ったもの、アートっぽいもの、芸人さんのギャグを使った面白おかしいものなど。どれを答えてくれてもよくて、その人の興味や普段どんなところに気がつくのだろうか?みたいな一面を知ることができます。

もし入社したら、今度はそのような広告を作る立場になるので、この人はどんな広告をつくりたいのだろうかといった話題にも繋がります。そこから色々な話が広がって、お互いのコミュニケーションが始まっていくのが普通なのですが、ある時こんなことがありました。

私「最近、面白いって思ったり興味を持った広告ってありますか?」
候補者「最近のCMではないのですが、フランス企業のCMでその表現方法が面白いと思いました。今だったら女性蔑視ということで炎上しそうな内容だなと思って、面白いと思いました」
私「あの、それは日本で放映されたのですか?それともフランスで放映されたのですが?ご自身で実際にご覧になられたのですか?」
候補者「昔フランスで放映されてたようで、私が実際にテレビなどで見てていたわけではありません。色々な広告やCMを紹介してくれるサイトがあるのですが、そこで紹介されていました....」

確かに、色々なサイトを見て広告のことを調べたり知識を蓄えようとしているのかな?ということは推し量ることはできます。もしかしたら、候補者の方は「私はいろんなサイトを見て広告を勉強して知っているんだ」というアピールをしたかったのかもしれません。でも、候補者がいくら広告の知識を出そうとしても、企業の面接官にはかないません。だって、相手は日頃から広告業務に携わっているという意味で、ある意味プロフェッショナルだから。

特に新卒採用の時には、就活生にはその業界に関する特殊な知識とか豊富な知識量は求めていません。例外としては、研究職の場合で、入社後にどれだけすぐに業務をキャッチアップできるのかを知りたい時には、大学での研究内容や知識を深く問われることはあるでしょう。ただ、広告業務の場合は大学で広告やマーケティングを研究していたと言っても、それが実務にぴったりと重なるわけではありません。だからこそ、普段どのような態度や意識で広告に接しているのか、どのような興味や気づきを持っているのか?を知りたいのです。だから「面白いと思った”体験”」を聞いているのですね。

ではどうすれば良いのか。

素直に聞かれたことを答えていただければ良いのです。さらには、普段から面接を受けに行こうとしている企業や業界の商品やサービスをどのようなところで見かけるのか?それは世の中的にどのように受け止められているのか、自分としてはどのように感じているのか、を考える癖をつけておくと良いでしょう。

ただ、たまにね、同じ質問をすると「あの、広告はだいたい飛ばしちゃうので」「あまり広告は見ないですね」「ネット広告はクリックしたことないです」という方がいらっしゃるんです。あなたが受けに来ている会社はどこなのかっていう.....。

ちなみに、海外の色々なCMやプロモーションを紹介しているサイトはこちら。 AD GANG   https://adgang.jp/

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