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ジェリー・Z・ミュラー 『測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』 みすず書房,(2019)

この騒ぎの中で,閉じこもって読むには読後に冷静になれて良いんじゃないでしょうか(笑)

もうタイトル通りです。

デジタルマーケティングの世界では,様々な取得可能なデータを収集し分析し戦略を練るということを行なっているのですが,時々行き過ぎたデータ分析やデータを集めたはいいけどそれの意味するものは何?とかいう話が頻発している。頻発していると自覚しているのであれば良いのだけど,過激なデータ・ドリブン信仰によって,それが見えなくなってしまっていることも多々ある。クリック一つとっても,広告なんてクリックしたから認知されて興味があるしクリックされていないから認知もされておらず興味も持たれていないなんて,そんなことはあり得ない。でも,数値化できることだけを見ているデータ・ドリブン信仰者にとっては,目に見えるクリックが命よりも大切だったりするのである。

書籍の中でも「短期の目標を達成するために長期目標達成に向けたリソースを割く」という悪例が紹介されているが,最近の一部の報道を見ていると本の中で描かれている悪例をリアルに見ているようで滑稽であると同時に恐ろしくなってくるのである。

新型ウイルスの件でも「検査しろ検査しろ検査しろ」「感染状況がわからない」と鸚鵡のように言っている人がいるが,病気に対して最も大切なことは治療して回復させることである。実際,治療方針は医師がレントゲンやCT等を使いつつ,症状を見ながら治療方針を決定していくことになる。さて,そのために本当に必要なことはなんなのだろうか。

そんなことを考えながら,読んでから改めて計測ということについて考えてみるのもいいんじゃないかな。





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