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音楽配信で、試聴の30秒とフル再生ではどれくらい印象が違うのか?


音楽配信の試聴時間は、30秒で足りるのか?


下のnoteの記事は、
作曲コンクールの審査員をされてる方の経験談です。
これを読むと、一概には括れないものの、曲の試聴時間は、30秒でも十分足りそうです。試しに、少し時間掛けて検証してみたいと思います。

1.ええ曲やな〜と感動する曲は、出だし30秒ほどで、すでに良い

音楽は感情を伝えるためのものです。だから、メッセージを伝えるために使う「ことば」の類似品だと考えて扱うと、とてもいい感じに扱えます。音楽には、明確に文法(グラマー)があるのです。日本語にも英語にも他の言語にもグラマーがあるのと、かなり似ています。

この文法をしっかり押さえた上で作曲をしているか、それともただ自分が言いたいことを投げつけて居るだけかは、開始10秒から30秒ほどであきらかに分かります。30秒で良いと思えなかったものは13分聞いても同じ感想でした。

曲作りの3つの落とし穴 - 国際作曲コンテストの審査員をして気づいたこと



30秒の曲とフル再生の曲を実際に聴き分けてみる

まず、AWAで30秒の試聴が出来る環境を準備してみます。
下は、2023年に期待するartistの曲を紹介する『これくる2023』という企画で作ったplaylistです。2022年に発表された新曲から8曲選んでいます。
このplaylistを使って、30秒の試聴とフル再生の比較を行ってみます。



手持ちのiPad miniからAWAアプリをワザと削除して、AWAを契約していない時と同様に、アプリではなくブラウザ経由でplaylistの試聴画面が開くようしてみます。

以下は、その試聴画面です。

webで開く、AWAのplaylist画面


ちなみに、noteを始める少し前に、noteの画面内でAWAの楽曲が直接、試聴再生できないか、noteの運営に念のため確認してみました。
その時に、埋め込みはURLのみ対応で、今のところApple Music やSpotifyのようなコードの埋め込み…ページ内で再生できる仕組みには対応していないと、とても丁寧な返信を頂きました。

残念ですが、AWAもそのうち対応する事を期待して、それまでは、外部リンク先での試聴となります。


30秒の試聴時間だと、曲の印象はどこまで変わるのか?


Spotifyを含むいくつかの音楽配信サービスでは、未契約の場合、試聴では30秒しか音楽が聴けません。Apple Musicの場合はiTunesでの音楽DL販売の試聴の名残りか1分30秒聴けます。

今回、試しにAWAでの試聴環境を作って聴いてみたのですが、普通に頭から開始という訳ではなくて、それなりにサビが流れるような切り抜かれ方をしている曲も多い印象でした。これは流行りのAIなのか、それとも人力での切り抜き作業なのか、とても興味深いです。

ただしこれ、切り抜かれ方で、曲の印象かなり変わって来そうですよね。


下は、上のplaylistに対比させたyoutubeのMusic Videoです。
全ての曲が、フル再生で聴けます。

どんな風に30秒で音楽が切り取られているのか?
一つ一つきちんと聴き比べながら、簡単な感想ですか雑記風の文章にまとめてみます。


■ Deep Sea Diving Club - Miragesong

AWA
この曲の試聴は、イントロが冒頭から普通に流れ、序盤の曲の表情や雰囲気がよく伝わってきます。ただ残念ながら歌詞が始まる前に30秒が終わってしまい、期待を持たせるだけ持たせて試聴が済んでしまいます。とても後を引きますが、コレはコレで営業的にはOKですよね。とてもフル再生したくなりますし。

MV
昨今のイントロが短くなる中、40秒もイントロが続く曲です。これだけイントロが長いのに毎回聴いても曲頭の盛り上がりというか期待感が薄らぎません。ぜんぜんダレずに歌詞が始まります。歌詞が始まると、それは冒頭からイントロ無しで曲が始まったかのような勢いで切ないリズムが進んでいきます。下のMV、最近公開されましたが、歌詞をなぞったワンカットの長回しでとてもユニークです。




■ 上野大樹 - 愛のまま

AWA
いきなり歌詞が途中から始まり少し慌てますが、すぐにサビに入ります。だが残念な事に、この曲は全体に優しい雰囲気で、サビもさほど変化しません。曲全体を知らないと、サビの盛り上がりを待っているうちに、いつのまにか試聴が終わり、アレっとかなります。とは言え、この曲、どこをどう30秒切り取っても、良い曲だな、とか感じさせるポテンシャルがあります。ただし、イントロ14秒だし、普通に出だし頭からで良いのでは、とか感じました。

MV
冒頭から曲の終わりまで、優しさが溢れる感じ、とても良い曲です。このartistは、ほんと、どの曲も良い印象。もっと売れて良いよ、とか思います。私があまり知らないだけで、実はファン多いのかな? …そんな気がします。なんか、ごめんなさい。


■ Tele - Véranda

AWA
きちんとサビの先頭からピッタリ始まってます。おいおい、コレ切り抜いたのって、絶対人力だろ?って、一番盛り上がる感じの絶妙な30秒でした。曲の雰囲気とか、その盛り上がりが、きちんとシッカリ味わえる試聴タイムです。曲の一番美味しい部分がちゃんと紹介されていました。

MV
大好きです。ファンも確実に増えていると思います。どの曲も個性的なんだけど、Teleらしさが有って、それでいて、聴きやすい。Vaundyとか、既存曲の美味しい部分を自分なりに吸収して今の曲にしちゃう天才だと思うけど、なんか少し曲調というか仕様が似てますよね。私は、Teleの方が、なんかゆるいポップ感というか、ユニークなエンタメ性というか、才気に嫌味がないので、すごく好きです。Vaundyの幅広い曲調のある一方向で大きく重なってる印象です。それが悪く働かなければ、いいのですが…
2023年、飛び抜けて欲しいartistです。


■ mekakushe - グレープフルーツ

AWA
冒頭から普通に30秒曲が流れます。サビまで行きませんが、コレはコレでアリですね。ただし、この後のサビ前の絶妙にテンポが変わる部分が震えるほど好きなんですよ、それが残念ながら流れません。サビも結構盛り上がるけど、それも30秒の試聴では流れません。でもこの曲の良さは冒頭30秒でシッカリ伝わると思いました。

MV
上で書きたい事書いたので、あまり追加はないのですが、個人的に好きな曲です。数回聞いて別のplaylistの中で放置してましたけど、何気に朝の通勤ラウンジで流したら、自分でも、え、なに、この曲いいじゃん、とか、改めて引っ張り出してきました。去年の年末は、このplaylistに、この曲じゃなくて、さとうもか、の魔法を入れていました。でも良く考えたら、すでに『さとうもか』は、TikTokでブレイク済みですよね。そういう訳で、この曲に差し替えました。何気に聞き直して、惚れる曲って、なんかそのartistに期待感でますよね。



■ STRIPPED VERSION - 月蝕

AWA
冒頭から普通に30秒曲が流れます。サビまで行きませんが、それなりに曲の表情というか良さは伝わります。ただし、普通に良い感じでさらりと終わってしまうので、あまり記憶に濃く残りません。30秒の試聴なので、仕方ありませんが…

MV
実は、8曲選ぶ時に、この曲を選ぶか、別のartistの曲を選ぶか悩みました。この曲を選んだのは、曲の良さも理由なのですが、それ以上に、過去にこのartistが出している曲全体、というかartistの可能性みたいな感じに惹かれました。このMV、STRIPPED VERSIONとかアレンジされていて、オリジナルの楽曲に比べてライブ感を高めています。感情を込めた切ない歌い方をしていますが、個人的にこちらの方が好きかも…


■ moeki - Fallin'

AWA
冒頭から普通に30秒曲が流れます。サビまで行きませんが、冒頭から私のハートを激掴みです。良い曲だな〜とかホント思います。なんで、この曲を知らない人が多いのか不思議です。やはり曲に相性とかいうのは有るのでしょうね。そうでないと、理由が分かりません。30秒で大体冒頭の良い部分は流れますが、思わず、もっと聞かせてよ、的な状態になります。繰り返しますが、ホント良い曲だと思います。

MV
昨年聴いた曲で、一番良かった曲は?とか聞かれたら、この曲を挙げます。
上で強く語ったので、もうお腹いっぱいですよね。
でも繰り返しますが、ホントにホント良い曲だと思います。



■ ime - 最果てより

AWA
サビの先頭からピッタリ始まってます。この曲から30秒抜くならここだろって一番盛り上がる部分が抜かれています。ただ、だからこそか、少し平坦な印象もあります。個人的には冒頭の優しい感じの少しポップなイントロが好きです。でも、イントロから始めると、かなり食い足りない感じで終わるので、しょうがないかな、とか感じました。

MV
通して聞くと、あらためて良い曲だな、とか思います。ただし、一部分だけ抜き出しで聞くと、その全体の良さが弱まる感じして、少し残念な印象がします。個人的に、このartistの楽曲で、Loop Labyrinthという曲が有るのですが、そのイントロがすごく好きで、40秒と長いのですが、イントロに歌詞が被さった瞬間のリズム感というか曲調が独特で何度聴いても飽きません。なんかハッとさせられトキメキます。この曲とは雰囲気違いますが、かなりオススメな曲です。



■ Room97 - プレタポルタ (feat. 棗いつき)

AWA
いきなりサビの途中から始まり、サビの途中で終わります。この曲の30秒切り抜きは、ホント大変だと思います。冒頭のイントロはすごくオススメで、アップテンポでリズミカルなポップ感のある大好きな23秒なんですが、絶妙に長くもなく、短くもないから、頭から30秒だとヘンな感じで終わります。かと言って、サビは盛り上がるけど、30秒以上あって長いし…

MV
このartistってあまり詳しくないのですが、棗いつきって声優?がフィーチャリングしてる曲は、すごく惹かれます。この曲とか『来し方行く末』とか、ホント好きです。なんか定期的にフィーチャリングのパターンをローテーションしてる風な印象なので、artistというよりは、個人的にフィーチャリングの組み合わせとかで、曲単体に注目しています。


まとめ

30秒の試聴でも意外に問題なく曲は楽しめました。
ですが、やはり少し聴き足りない印象は強いです。イントロやサビだけで終わる曲も有りますし、期待させるだけ期待させて、とか思う曲も存在するかもしれません。

個人的に気になったのは、あえてサビを強調した切り抜きの曲が意外に多く、普通に試聴の出だしは頭からで良いのでは、とか感じる曲も結構ある事です。

どのような仕組みで、試聴する箇所を決めているのか、偶にすごく勿体無い切り抜き方をされている曲もあって、とても残念とか感じてしまいます。🙂

それと、久々にyotubeのMVをキチンと時間をかけ色々と観ました。
SNS効果を高めるため、楽曲をyoutubeでフル公開するのが当たり前のようになっているのは、なんとなく分かってはいたのですが、その為のトレードオフなのか、上の動画を観てても、いくつかの動画は、音楽の雰囲気が損なわない程度に背景音やセリフをチラッと被せています。

こういう音楽をyoutubeで試聴させるための工夫を見ると、なんかその背景とか思いを勝手にアレコレと想像してしまい、少しでもその努力が何かプラスに結びつけば良いな、とか応援したくなります。


追記

この記事を投稿した後、色々と試聴を繰り返すうちに、30秒を超える試聴時間の楽曲もチラホラある事に気がつきました。それも、単純に30秒でないなら1分とかいう具合に統一されてなくて、見つけた事例がまだ二つと少ないのですが、それぞれ違う試聴時間でした。

ストリーミングサービスでは、スキップレートと呼ばれる楽曲の使用料支払いの目処になる再生時間が、多くのサービスで30秒に設定されていると何かで読んだ事があります。あえてそれをごく少数の楽曲だけ、試聴時間が超えて設定されています。これはAWAだけの仕様なのか、それとも他の配信サービスも同様なのか、とか色々と興味が出ました。

なんか、音楽をネットで試聴させることだけ抜き出して見ても、色々と奥が深そうです。その経緯とか、努力とか、そういう裏側というか、その仕組みの部分に思いを馳せてしまい、好奇心がくすぐられました。



最後に

下の記事では、音楽は一目惚れ、とか紹介しています。
人が音楽に惹かれる瞬間って、なんか興味深いですよ


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