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デジタル田園タウン研究会_第10回(20230629)

デジタル田園タウン研究会(第10回)を開催しました。
当日の研究会の概要をご紹介いたします。

概要

日程:2023年6月29日(木) 16:00~
出席者:デジタル田園タウン研究会メンバー
内容:自治体オープンデータ普及の取り組み
講師:藤井博之氏(一般社団法人オープンコーポレイツジャパン)

各地域のオープンデータに関する問題意識

  • 矢吹町

    • リソース不足にてオープンデータへの取り組みが進んでいない。

  •  狛江市

    • オープンデータに関し、東京都が作成しているオープンデータカタログサイトに昨年から掲載している。

    • どの様に使用されているか活用事例等の分析は未実施であり、役所内での十分な賛同も得られていない事から、今後の取り組みを推進する上では、分析等も含めて検討の必要がある。

  • 塩尻市

    • データをテキスト化することから始め、現在も取組中。

    • オープンデータとしては公共施設の場所やバス停、ハザードマップ等で公表。

    • データ登録をおこなうも、更新ができていない。バス停位置変更等のMaaSでは位置情報が都度更新できていない。

    • ハザードマップは業者に委託している為、適宜更新されるが、他データの更新に関しては所内業務の増加により更新ができていない。

    • 6割の所内担当者は日々の業務に追われ、更新ができていない

    • データの自動更新の需要性が高まってきている。

  • 民間企業の視点

    • データの整形作業が大変である

    • データがどのように利活用されるかのユースケース創出が進んでいない

    • 企業サイドでは課題解決的な視点にとらわれがちである為、オープンデータ利用の思想も伺いたい

講演

  • テーマ:自治体オープンデータ普及の取り組みについて

  • 自己紹介

    • 会計ソフトは全て自動化できると考え、大前氏に出資頂く。

    • 2000年に「会計は全て自動化できる」で会計クラウド事業立ち上げ。

  • 企業ディレクトリの提案

    • 電話番号で企業検索できるDBを総務省へ提案。

  • 情報のオープン化について

    • 日本ではデータはクローズにしたがるが、イギリスではオープンへの流れができていた。

  • 東京オープンデータデイ2014

    • オープンデータは社会全体の仕組みなので、自治体だけではなく、民間も巻き込まないと意味をなさない。

    • 自治体の方がモチベーションは高いが、民間は低い印象であった。

    • 文字はデータとして格納しやすいため、広報誌のオープンデータを議論した。

  • 広報誌情報をオープンデータ化した「マイ広報誌」について

    • 事業化した「マイ広報誌」を取り組んでいる(2014年8月~)全国1000以上の自治体広報誌データをテキスト化し、ネットやスマホ、他社サービス等で全国配信

  • テキスト化の意義

    • インターネットへ転送ができたり、読み上げができたりと、PDFでは不可能なことができる。

  •  自治体におけるオープンデータの活用状況について

    • 令和3年において半分以上の自治体が何かしらの取り組みをしているが、目的が不透明であることが多い。

    • 「やる意味がない」「面倒」「やっても使われない」が現場の声で、自治体での活用状況は下降トレンド。

  • オープンデータとどのように向き合うか

    • 「イシュードリブン」「活用サービスの普及」「データ整備」の視点から自治体オープンデータを活用する向き合い方が求められる。

    • 自治体だけでも可視化はできるが、イシュードリブンでサービスに繋げるのが弱い。

    • 自治体への普及は専門家が主体とはなれない。先進的な自治体が率先してオープンデータへ取り組み、元気な自治体が協力するが、その後の一般自治体とのニーズが異なり、キャズムが生じる。

    • キャズムを超えられないのは「やってくれはずの妄信」から脱却できないからである。

    • キャズムを超えるには「わかりやすい」「ちょっと世の中の為になる」という観点が重要である。

    • 「こうあるべきである論」は語られるが、そのための「方法論」が議論されない。

    •  オープンデータビジネスは座布団モデルで、損益分岐点を超えてからは常に利益がでるが、いかに早く損益分岐点を超えられるかが肝。 

  • オープンデータの悩み

    • 機械判読性が低い

    • オープンデータが人に依存している為、更新が滞る

    • オープンデータ化する問題点が明確でない

    • オープンデータ化方針がない 

  • どのようなアプローチでオープンデータに取り組めばよいのか

    • データ品質の向上

    • 品ぞろえの改善

    • データ公開請求

    • 成長させる

    • 内外に友達を作る

    • お金に変える

質疑応答・ディスカッション

  • 国との関係性に関して思うことが多い。とりあえず「やって欲しい」と言わると受け手は大変であるが、自治体がユースケースを創る努力量が足りないと反省(矢吹町)

    • 自治体でアプリ等のユースケースを作成するのは得意でないので、民間と協力できる仕組み作りが大事である

    • オープンデータの扱いとして、他自治体のデータを取り込み、可視化して比較する活用から始めるのがよい 

  •  昨年10月からトップダウンにオープンデータ活用しているが、所内でどのように賛同者を集めていけばよいのか分からない(狛江市)

    • 庁内横断型の組織作りがネクストステップで、成功事例はほとんどこのような動きをしている

    • 現場・市民の方々と接点をもって、サービスを作っていくことが重要である 

  • 公共の財務のオープンデータに関して、企業にチャンスがあると伝え、事業として動いている。お金の動きは重要であるが、自治体がその視点に立つのは難しく、民間との協力が必要である。状況を可視化すると課題が見えてくるので、その課題を中心に議論すべきではないか(金子氏)

    • データ分析の仕方自体が分からない。急に分析をできる段階までたどり着くのは難しいので、まずは他部署からデータを共有し、そのデータを活用することから始めてみては

  • お金のにおいがしないと民間事業が近付いてこないので、自治体の情報を開示するのが難しい。国の言いなりになるのではなく、主体的に「これがしたい」と進めることで、エンドユーザーの為にもなるのでは(金子氏)

    • 今後はデータを持つことが企業の財産になる 

  • 基本的には目的に対してデータの深堀は価値がある事である。今まで、商品開発やプロモーションに関して、感覚ベースではなくファクトベースで議論することが重要であると考える。職人感覚は7割正しいとは思うが、3割異なる可能性もあるため、データ活用からイノベーティブな発想等が必要。「お金のにおい」は仮説を作った数で強くできると考える。自治体も含めディスカッションができると嬉しい(民間企業)

    • 自分たちでデータを集めるのではなく、勝手にデータが蓄えられる仕組みづくりができるとよい。

以上

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