イギリスにとって、EU離脱以降で最大の貿易協定CPTPP加盟決定。
ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2023年04月03日に、イギリス政府は2023年03月31日に、「CPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement on Trans-Pacific Partnership/環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定/通称：TPP)」への加盟が決定したと発表した。
2年近くに及ぶ交渉を経て、日本やカナダなど加盟11カ国の代表がこの日、イギリスの加盟に合意した。CPTPPにヨーロッパの国が加盟するのは初めて。イギリスにとっては、U(European Union/欧州連合)離脱(Brexit)以降に合意した貿易協定の中で最大の規模となる。
イギリスは、EU離脱後の移行期間が終了した直後の2021年02月にCPTPPへの加盟を申請した。
2021年06月に加盟交渉が正式に開始された。
CPTPPは日本とカナダのほか、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、メキシコ、ペルー、チリが参加する。CPTPPが2018年の発効以降に新たな加盟国を迎えるのは、今回が初めてになる。
イギリスのリシ・スナク首相(Rishi Sunak British Prime Minister)は「今回の合意は、ブレグジット後の自由がもたらす実質的な経済メリットを証明するもの」とコメントした。「CPTPP加盟により、イギリスはダイナミックで成長著しい環太平洋諸国経済の中心に位置づけられることになる」と話している。
イギリス政府は、同国のCPTPP加盟が各国内での批准手続きを経て、年内に実現するとの見通しを示している。
この加盟までには、申請時のイギリスのボリス・ジョンソン元首相(Former Boils Johnson British Prime Minister)、合意に向けて各国を説得したイギリスのリズ・トラス元首相(Former Liz Truss British Prime Minister)を忘れることはできない。
とくに、リズ・トラスの交渉力が目立った。
ボリス・ジョンソン元首相も驚いていた。
また、当時外相であった茂木敏充幹事長が、やはり当時外相であったリズ・トラス元首相との打ち合わせも記憶に残っている。
イギリスの加盟により、CPTPPの人口は計5億人となり、国内総生産(GDP)の合計は世界の15%を占めることになる。ただイギリス上院・国際協定委員会によると、CPTPP加盟によるイギリスのGDPへの押し上げ効果は0.08%にとどまる見通しで、将来的に韓国やタイが加盟すれば経済効果は大幅に拡大する見込みだが、短期的に大きなメリットは期待できない。
CPTPPには現在、中国と台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイの5カ国が加盟を申請しているほか、韓国、タイ、フィリピンなども加盟申請の意向を示している。ただ、敵対している中国と台湾がほぼ同時に申請し、少し混乱したが、中国は日本など複数の加盟国と貿易紛争を抱えるほか、メキシコおよびカナダと自由貿易協定を結ぶ米国が反対する公算が大きく、加盟が円滑に進む可能性は低いと指摘している。
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