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北極が温暖化するにつれて、その水域は炭素を排出している。


NASAのカリフォルニア州パサディナにあるJPL研究所(Jet Propulsion Laboratory in Pasadena, Calif.)が公開している「NASA's Jet Propulsion Laboratory Day in Review」は2023年12月21日に、北米最大の河川の1つからの流出により、北極海で大量の二酸化炭素が排出されている。

気候変動に影響を与えるという点では、世界最小の海はその重量をはるかに超えている。 北極の冷水は年間1億8,000万トンもの炭素を吸収していると推定されており、これはニューヨーク市が年間排出する量の3倍以上であり、地球の重要な炭素吸収源の1つとなっている。

しかし、最近の研究結果によると、永久凍土の融解とカナダのマッケンジー(Mackenzie)川からの炭素を多く含む流出水が、北極海の一部で吸収する以上の二酸化炭素(CO2)を放出していることがわかった。

今年初めに発表されたこの研究は、ボーフォート海と呼ばれる北極海の地域に流れ込むマッケンジー川などの河川を研究するために科学者たちがどのように最先端のコンピューターモデリングを使用しているかを調査している。

北極の多くの地域と同様、マッケンジー川とそのデルタ地帯は近年、季節を問わず気温の大幅な上昇に直面しており、水路や地形の融解や融解が進んでいる。

Geophysical Research Letters
Research Letter
10.1029/2022GL102377RESEARCH LETTER1 of 11

Open Access
Biogeochemical River Runoff Drives Intense Coastal Arctic Ocean CO2 Outgassing
C. Bertin1,
D. Carroll2,3,
D. Menemenlis3,
S. Dutkiewicz4,
H. Zhang3,
A. Matsuoka5,
S. Tank6,
M. Manizza7,
C. E. Miller3,
M. Babin8,
A. Mangin9, and
V. Le Fouest1
First published: 15 April 2023 https://doi.org/10.1029/2022GL102377Citations: 1

1LIttoral ENvironnement et Sociétés (LIENSs) – UMR 7266, Bâtiment ILE, La Rochelle, France,
2Moss Landing Marine Laboratories, San José State University, Moss Landing, CA, USA,
3Jet Propulsion Laboratory, California Institute of Technology, Pasadena, CA, USA,
4Department of Earth Atmospheric and Planetary Sciences, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA, USA,
5Institute for the Study of Earth, Oceans, and Space, University of New Hampshire, Durham, NH, USA,
6Department of Biological Sciences, University of Alberta, Edmonton, AB, Canada,
7Geosciences Research Division, Scripps Institution of Oceanography, University of California San Diego, La Jolla, CA, USA,
8Takuvik Joint International Laboratory, Université Laval and CNRS, Québec, QC, Canada,
9ACRI-ST, Sophia Antipolis, France

科学者たちは、ビューフォート海南東部(the southeastern Beaufort Sea)が弱から中程度のCO2吸収源であると考えており、これは排出されるよりも多くの温室効果ガスを吸収することを意味する。
しかし、遠隔地からのデータが不足しているため、大きな不確実性が存在しる。

その空白を埋めるために、研究チームは、南カリフォルニアにあるNASAのジェット推進研究所(NASA’s Jet Propulsion Laboratory in Southern California)とケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学(the Massachusetts Institute of Technology in Cambridge)で開発されたECCO-Darwinと呼ばれる地球規模の海洋生物地球化学モデルを採用した。 このモデルは、海上および衛星ベースの機器によって、たとえば、Jasonシリーズ高度計による海面観測や、GRACEおよびGRACE後続ミッションによる海底圧力などで、20年以上にわたって収集された入手可能な海洋観測のほぼすべてを同化する。
科学者らはこのモデルを使用して、2000年から2019年まで約20年間にわたる淡水と、淡水に含まれる元素や化合物炭素、窒素、シリカなどの排出をシミュレーションした。

フランス、米国、カナダの研究者らは、川の放流がビューフォート海南東部で非常に激しいガス放出を引き起こし、炭素バランスを崩し、純CO2排出量が年間13万トンに達していることを発見した。これは、28,000台のガソリン車からの年間排出量とほぼ同量である。大気中へのCO2の放出は季節によって異なり、河川の流量が多く、ガスを覆い閉じ込める海氷が少ない暖かい季節に顕著であった。

気候変動のグラウンド・ゼロ

科学者たちは何十年にもわたって、外洋と大気の間で炭素がどのように循環するか、つまり大気と海の二酸化炭素フラックスと呼ばれるプロセスを研究してきた。しかし、北極の海岸縁部では観測記録がまばらであり、地形、海氷、長い極夜により長期の監視や実験が困難になる可能性があると報告している。

「JPLのモデルを使って、北極の炭素循環に対する沿岸周辺部と河川の実際の寄与を探ろうとしています」と筆頭著者でフランスの沿岸環境社会学会の科学者クレマン・ベルタン(author Clément Bertin, a scientist at Littoral Environnement et Sociétés in France)は述べた。

https://www.jpl.nasa.gov/news/as-the-arctic-warms-its-waters-are-emitting-carbon
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2022GL102377
https://grace.jpl.nasa.gov/
https://gracefo.jpl.nasa.gov/
https://earthobservatory.nasa.gov/images/147049/phytoplankton-surge-in-arctic-waters
https://ecco-group.org/storymaps.htm?id=89


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