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なぜエジプトの新しい原子力発電所はロシアにとって長期的な勝利となるのか?

地球最後の日までの残り時間を概念的に示す「世界終末時計」を発表している米国科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletin of the Atomic Scientists)」のマリナ・ロレンチニ(Why Egypt’s new nuclear plant is a long-term win for Russia)は2023年12月20日に、ドバイで開催されたCOP28気候変動会議(COP28 climate meeting in Dubai)で22か国が2050年までに世界の原子力エネルギー生産を3倍にすることを約束しており、世界の原子力エネルギー市場の成長に対する真摯な見通しがテーブルの上にある。

それにもかかわらず、これら22か国の主な代表は、ロシアの核輸出との関係が最小限に抑えられているか、現在の依存関係からの離脱を模索している国々である。

他の多くの国が原子力エネルギーの選択肢を検討しており、いくつかの国は新しい原子炉の建設のためにロシア国営原子力エネルギー会社ロスアトム(Russia’s state-owned nuclear energy company, Rosatom)に頼ることになるだろう。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(Russian President Vladimir Putin)は政権を握って以来、エネルギーと地政学的ポートフォリオの重要な部分としてロシアの原子力産業の輸出を発展させてきた。

ロスアトムは現在、新規原子力発電所建設のための世界輸出市場の約70%を占めている。

複合企業の開示によれば、その輸出額は2022年にUS$100億を超え、今後10年間で約US$2,000億に達する国際注文が予定されている。

特にロスアトムとのパートナーシップを受け入れている国がエジプトである。
2015年、ロシアとエジプトは政府間協定を締結し、ロスアトムはアレクサンドリア(Alexandria)の西約170kmにある地中海沿岸の町エル・ダバア(El Dabaa)近くにUS$300億を投じて原子力発電所を建設することになった。

ロシアが設計した1.2ギガワットのVVER原子炉ユニット4基を備えたエル・ダバア原子力発電所は、エジプトの総発電量の10%以上を生成し、2,000万人に安定したベースロード電源を提供すると期待されている。

原子力発電所は、2017年に契約が発効した後、ENRRA(Egyptian Nuclear Regulation and Radiological Authority/エジプト原子力規制・放射線庁)は2019年にこのサイトの建設を承認した。主要な4つの契約セットは公開されていないが、それらはエンジニアリング、調達、建設、核燃料サービス。 運用、サポート、管理。 そして使用済み核燃料の処理までをカバーしている。

1号機の建設は2022年7月に開始され、2号機は2022年11月に開始されました。
最初のコンクリートが2023年5月に3号機の基礎に注入され、4号機は2023年8月にエジプト原子力放射線規制庁から許可を取得しました。
1号機と2号機は現在、2028年に送電網に接続されて商業化が可能となり、3号機は2029年に、4号機は2030年に稼働すると予測されている。

さらにエジプトでは、沿岸海水を淡水化する能力も持つことになる。 脱塩水は、4基の原子炉の一次ループと二次ループを満たして補充し、工場への工業用水と緊急用水の供給を維持する。
ただし、この開発費はどうエジプトが工面するかであり、エジプトは、ソブリン債務リスクに対して世界で最も脆弱な国の一つで、内戦で荒廃したウクライナに次ぐと言われている。

エジプトとロシアの関係は、スリランカと中国の関係が予測される。ただし、エジプトは新しいBRICs加盟国であり、アフリカを代表する国であり、イスラエル・パレスチナ戦争で、大きく貢献してきた国である。

エル・ダバア(El Dabaa)の原子力発電所の緯度、経度。
31°03'01.4"N 28°28'27.7"E
または、
31.050392, 28.474356

https://thebulletin.org/2023/12/why-egypts-new-nuclear-plant-is-a-long-term-win-for-russia/
https://www.nature.com/articles/s41560-023-01228-5

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