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謎の天体現象のデータで、宇宙の3D地図を作る。

MITテクノロジーレビュー(MIT Technology Review)は2024年05月14日に、「謎の天体現象、『高速電波バースト』で作る宇宙の3D地図」を公開し、天空の狭い領域で高いエネルギーが突発的に放出される「FRB(Fast Radio Burst/高速電波バースト)」の仕組みについては、まだよくわかっていない。だが、天文学者たちは、FRBを検出して位置を特定する装置を次々と構築し、宇宙の物質分布の3D地図の作製を進めていると報告した。

宇宙の年齢が今の半分以下だった頃、太陽1個分のポップコーンを作れるほどのエネルギーを持つ「バースト(極めて短時間でのエネルギー放射)」が、どこかの小さな銀河群で起こった。それから約80億年が経った現在、このバーストの電波は地球に到達し、オーストラリア奥地にある高性能の低周波電波望遠鏡がこれを検知した。

FRBと呼ばれるこの謎の電波信号は、2022年06月10日に地球に到達し、0.5ミリ秒弱持続した。
天文学者はこの10年で、このようなバーストを5000回近く観測している。
中でも今回のバーストは特別で、今までに観測されたバーストの約2倍古く、エネルギー量も3.5倍だった。

しかし、今までに観測されたバーストと同様に、このバーストも謎に包まれていた。高速電波バーストの発生理由は分かっていない。ランダムで予測不可能にみえるパターンで空全体に閃光が走る。

バーストは我々の住む銀河系を発生源とすることもあれば、まだ調査されていない宇宙の果てからやって来ることもある。数日間にわたる循環パターンを一度だけ繰り返して消滅することもあれば、最初の検知から数日ごとにパターンが繰り返されることもある。ただし、ほとんどの場合、繰り返されることはない。

謎まみれだが、この電波は極めて有用であることが証明され始めている。

望遠鏡に検出されるまでの間に、電波は熱く波打つプラズマの雲、粒子がほとんど触れ合わないほど拡散したガス、天の川などを通過してきている。こうした物質内に漂っている自由電子にぶつかるたびに、電波の波動は少しずつ変化していく。つまり、望遠鏡に検知された電波は、発生場所から地球までやってくる間に遭遇した通常物質の痕跡を含んでいる。

そのため、FRBは科学的発見の貴重なツールとなる。ほとんど解明されていない、銀河間を漂う超拡散ガスや塵に興味を持つ天文学者にとっては貴重な情報源で有る。

サイエンス誌の論文の主執筆者であるスチュアート・ライダー(Stuart Ryder)博士は、今では多くの天文学者が、遠方から到達するこうしたFRBをより多く発見すれば、かつてないほど詳細な3次元宇宙地図を作成できると確信している。

ライダー博士はこれを「宇宙のCTスキャン(CT scan of the universe)」と呼ぶ。

https://www.technologyreview.jp/s/335758/inside-the-quest-to-map-the-universe-with-mysterious-bursts-of-radio-energy/
https://www.technologyreview.com/2024/05/01/1091934/inside-the-quest-to-map-the-universe-with-mysterious-bursts-of-radio-energy/

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