中国で、「MeToo」運動への関心が再燃。

DigitalCreator

2023年5月17日 11:57

米国のCNNは2023年05月15日に、中国で、有力な脚本家に対する一連の疑惑をきっかけに、セクハラの定義に関する熱い議論がネット上で展開され、同国で苦闘している「MeToo」運動への関心が再燃していると報告した。

中国のメディアや文学界で有名なShi Hang(52)は、10人以上の若い女性からセクハラ疑惑で訴えられ、複数の企業から仕事を奪われた。

この論争は、検閲とフェミニズム活動に対する継続的な弾圧のために頻繁に挫折を味わってきた中国の「#MeToo運動」の回復力を強調するものであったという。

一連のソーシャルメディアへの投稿や中国国営メディアのインタビューで、実名を明かさないShi Hangの告発者は、10年以上にわたる事件で、性的な示唆に富む発言から、体を触ったりキスをしたりするなどの非行があったとされている。

Shi Hangは、2つの別々の声明でセクハラの告発を強く否定し、出会いは合意の上であったと主張している。

「私は女性の意思に反することをしたことはありませんし、いわゆる強力な地位を利用して誰かに暴力を振るったこともありません」と、先週、300万人のフォロワーを誇る中国の高度に制限されたTwitterのようなプラットフォーム、Weiboに書いた。

また、自身の弁護のため、告発者との会話のスクリーンショットを掲載したが、これは告発者が彼の媚びた発言に異議を唱えなかったことを示しているようである。

告発者たちは後に彼の弁護に反論し、両者の間には、定評のある尊敬される有名人対若いファンや業界に入り込もうとする女性という力の不均衡があり、Shi Hangに反撃することは困難であったと述べている。

複数の国営メディアが報じたところによると、5人の告発者はオンライン声明で、「より権力を持つものとして、師範は今日まで、何が『適切』で何がセクハラにあたるかを定義できるのは自分だと信じている。」と述べている。「これはまさに、権力を持つ者たちの従来の考え方だ」と指摘している。

Shi Hangと告発者たちは、CNNのコメント要請に応じなかった。

反撃の狼煙

この疑惑は、中国のソーシャルメディア上で激しい議論を巻き起こし、関連するハッシュタグが何日もトレンド入りし、Weiboでは数億ビューを記録した。

一部のユーザーはShi Hangを擁護し、その出会いを "ただのいちゃつき "と表現した。また、男女間の不平等が女性に対するセクハラを常態化させる文化を作り出していると主張し、Shi Hangの告発者を支持する人々も集まった。

南西部の都市、成都のフェミニストDai An(ダイ・アン)は、中国の女性はより積極的に発言するようになったと語った。「今は時代が変わり、かつては黙認されていた環境も変わりました」と、彼女はCNNに語った。

「女性はもう黙っていたくないし、男性が自分の力を誇示するためにセックスをはけ口にするのを容認したくもない。」

その後、いくつかの企業が、本や映画のレビューも行い、文化イベントやバラエティ番組にゲスト出演しているShi Hangとの関係を断ち切った。

北京の出版社Xironは、13歳の少女が教師にセックスを強要される物語を描いた「方士慈の初恋パラダイス」から、Shi Hangによる推薦図書を削除すると発表した。同書は、権力と脆弱性をテーマとし、台湾の「#MeToo」運動に影響力を持つようになった。

Shi Hangとの取引を打ち切った他の企業には、広州のニュース雑誌「新週刊」、首都北京の書店と劇場が含まれる。

中国の多くの組織が、セクハラ疑惑によって有名人との関係を公に打ち切ったのは初めてだと思われると、現在ニュージャージー州を拠点とする著名な中国人フェミニストは、名前を伏せた上で述べた。

「これは間違いなく、フェミニストが世論を動かす上でこれまで以上に強力であり、それゆえに機関に屈服するよう圧力をかけることができることを示している。」と彼女は付け加えた。

しかし、世論の圧力が成功したのは、これらの機関が検閲や政府の支援という保護に頼ることができなかったからに他ならないと、フェミニストは付け加えた。

中国の「#MeToo運動」は、中国共産党によって長い間検閲され、弾圧されてきました。

中国共産党は、権威の独占に挑戦する草の根の組織化を疑いの目で見ている。

近年、何人かの著名なフェミニスト活動家が沈黙し、拘束された。
そのうちの一人、黄学琴(Huang Xueqin)は「国家権力転覆扇動罪(inciting subversion of state power)」に問われ、600日間も刑務所に収容された。

今回のスキャンダルでは、施氏に対する疑惑はほとんど検閲を免れたように見えたが、役人や国家関連の著名人をターゲットにした他の「#MeToo」案件は鳴りを潜めている。

中国のテニススターである彭秀愛(Peng Shuai/ペン・シュアイ)は、2021年に張高麗元副首相の性的暴行をソーシャルメディア上で公に告発した後、すぐに沈黙した。一方、スター司会者の朱俊が体を触られ、無理やりキスされたと告発し、訴えた元国営テレビインターンの周小川は、中国のソーシャルメディアプラットフォームで繰り返しブロックされた。

中国の「#MeToo運動」は、稀に法的勝利を収めたこともありました。

昨年、中国系カナダ人のポップスター、クリス・ウー(Kris Wu)は、18歳の中国人学生からの申し立てにより、強姦罪で13年の実刑判決を受けた。クリス・ウーの迅速な逮捕は、政府による中国のエンターテインメント部門に対する広範な取り締まりと重なった。

しかし、法廷で加害者と戦うことを選んだ中国の「#MeToo」被害者は、過酷な法廷闘争に直面することがより多くあった。2022年08月、中国の裁判所は、元国営メディアのインターンだった周(Zhou)の訴えを却下し、彼女の長年にわたる画期的な裁判に終止符を打ち、この運動に大きな打撃を与えた。

中国は、2021年に初めてセクハラを定義した民法を制定するまで、セクハラを法的犯罪として規定していなかった。

この法典では、個人は、自分に対して「言葉による発言、文字による言葉、画像、身体的な行動などの形で」、自分の意思に反してセクハラを行った人に対して、民事上の請求を行うことができるとされている。

しかし、それでも、近年、周のようなセクハラ訴訟が失敗していることから、「セクハラに対して法的救済を求めることは現実的でないことがますます明らかになっている」とニュージャージー州の中国人フェミニストは、「周の事件の被害者は、警察に通報しても、訴訟を起こしても、成功する見込みはほとんどないということを、はっきりと教訓として学んだのです。」と述べている。

中国のソーシャルメディアでは、Shi Hangの支持者の一部が、なぜ彼の告発者が警察に通報しなかったのかと疑問を呈している。

Shi Hangの告発者の一人であるシャオ・モ(Xiao Mo)は、Weiboの長文の投稿で、警察に通報することは「すべての問題に対する最善の解決策ではない。」と述べ、特に、セクハラを受けたことに気づいたのが、その事件から数年後であることを考慮すると、とくにそのようである述べた。

「私が通報して、彼が警察署に呼び出されたとしても、彼はセクハラで何日拘留されるのでしょうか？」と彼女は書いている。シャオ・モ、CNNの取材依頼を断った。

「私たちの核心的な訴えは、法的な処罰ではなく、彼の真実を明らかにすることで、正しい人々が心の中で自分なりの結論を出せるようにすることです。」

このような傾向は、日本でも起こっている。

ちょうど、ジャニーズ問題で、大きな話題になっている。

以前、SMAPの中居も、「あそびにおいでよ。」などと言われたと、番組中で話ていたが、それは、どういう意味だったのか？今になると、番組中の話題も危険性が表面化し、現在の社長も知っていたのではないか？

ネクター・ガン(Nectar Gan)、CNNインターナショナル、デジタルプロデューサー
ネクター・ガンは香港のCNNインターナショナルの中国レポーターである。中国で起きている変化と、それが世界に与える影響について取材している。

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