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これが吉岡里帆の代表作でいいのではないか?『ハケンアニメ』感想

吉岡里帆の映画は観に行くことにしているので、早速観に行った。

辻村深月の原作は発行されてすぐ読んだので、もう5年以上前になる。

当時は「最後にきれいにまとまったお仕事小説」ぐらいの印象だったが、かなり前なので多少忘れている。

モノを作ることは苦しい。

noteで駄文を書いている私でさえ、スカスカの状態からギリギリで文章をひねり出すこともある。いわんや巨大ビジネスであるアニメ製作の責任者をや。

悪人が出てこない映画の中で、誰もが身と心を削って、苦しみながらモノ(この場合アニメ)を生み出していく。見ていて息苦しい程のプレッシャーと戦いながら。

どんな映画のどんなキャラでもちゃんと演じる吉岡里帆。この映画でも、女性的魅力が微塵も無いメガネのアニメ監督を熱演している。

「書くことの壁は書くことでしか超えられない」「とどけ、誰かの心に」等々、心に響くセリフがちりばめられながら、映画も映画内のアニメ番組もクライマックスを迎える。

その結末は、どちらも安易なハッピーエンドではないが、作り手の真剣さが観る側に伝わり、誰もが納得感を感じる結末を迎える。

中村倫也も尾野真千子も柄本佑も良かった。そんな中で、吉岡里帆は「ハケンを取ります!」の場面を始め要所要所の決め台詞の鬼気迫る演技が凄く、「こんなに上手い役者さんだったのか」と再認識した。

もう、この映画が吉岡里帆の一番の代表作にしてもいいと思う。

アニメ業界に居なくても、目標に向けて働く全ても人に見てもらいたい力作だった。

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