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#ファンタジー小説
疾駆天救 雷鳥騎士団
トナカイが陽光を蹴って降りていく。光は頭上に広がる大地のひび割れから無数に差し込んでくるが、広大な地下世界を照らすにはまるで足りない。虚無と黒雲と、遠くから聞こえてくる波音が全ての生き物の心を苛む。
乗騎の背で男は目を凝らした。その目にはそびえ立つ世界亀の足が映っている。どんな大木も比較にならない巨大な足。そのにび色の岩肌に生気は無い。だがその色を背景にひらひらと舞う白い花びらがあった。
流れ転がる果てに因り-環紡術士道中記-
丘陵地が星空に照らされて、稜線が闇の中から浮かび出ている。一方、空を回る巨大な光の環は地上を照らしはしない。ただ私の目に眩しいだけだった。空をゆっくりと回転する幾重もの光環。それは徐々にすぼんでいき、先端は深い森の中に沈んでいた。
そこを目指して暗い林の中を駆ける。土を蹴るたび、早駆けの指輪が淡く灯る。
先を行く師匠が、直棒で右手方向を指した。
「御同輩が集まってきたよ!」
夜の林