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日本の健康づくり対策~栄養・食生活①~

こんにちは。管理栄養士のTany.(タニィ)です。
食と健康に関する、小難しい国の基準や法令をわかりやすく伝えていきます。

今回は、日本での国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」の具体的な内容について書いていきたいと思います。

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厚生労働省HP内、健康日本21(第二次)の普及啓発用資料より

こちらは前回のおさらいですが、健康日本21(第二次)の基本的な考え方は
「全ての国民が共に支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現」のために、
健康寿命を延ばすこと健康格差を縮めることを掲げています。
それらに関する目標は次の通りです。

健康日本21(第二次)/第四次国民健康運動 の目標

まず一番のねらいとなる目標項目はこちらです。

健康寿命の延伸の目標

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健康格差の縮小の目標

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どちらも平成22年時点の現状と比べて、健康寿命は数値を上げる、健康格差は数値を下げることが目標となっています。

そしてこれらを達成するためには、生活習慣(個人)と社会環境(社会)の改善の両方が必要でした。

個人の生活習慣の改善と言っても、生活上では栄養・食生活以外にも、運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康など、多くの事柄が絡んでいます。またこころの状態が行動に影響を与えることもあります。
例えばストレスの発散に関する行動。溜まってしまったストレスを解消するために運動する人もいれば、甘いものを食べたりお酒を飲んだりたばこを吸ったりすることで発散する人もいますよね。

理想は個々の項目から全体の生活習慣のバランスを考えるのが一番ですが、私は栄養士なので、健康日本21の中でも栄養・食生活分野のことを中心に書いていきたいと思います。

栄養・食生活分野の目標

健康日本21の栄養・食生活に関する目標項目は以下の通りです。

① 適正体重を維持している者の増加(肥満、やせの減少)

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② 適切な量と質の食事をとる者の増加
その1. 主食、主菜、副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者の割合の増加

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その2. 食塩摂取量の減少

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その3. 野菜と果物の摂取量の増加

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③ 共食の増加(食事を一人で食べる子どもの割合の減少)

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ここで大切なことは、
それぞれの目標項目をクリアすることだけではなくて、どこを目指してその目標になったのかの背景・目的も忘れずにいることです。
書かれている目標項目だけに目が行ってしまうと、目指しているところとやっていることがズレてくる可能性があるからです。

生活習慣に含まれる栄養・食生活の改善で目指すところは
(1)生活習慣病の発症予防・重症化予防
(2)社会生活機能の維持・向上

です。(下の図の赤点線囲み)
平たく言うと、身体とこころの健康を保つこと。
がんや循環器疾患のような生活習慣病に罹らず、高齢になっても社会との接点を持てる、生きがいのある暮らしができることです。
※これは栄養・食生活分野だけでなく、他の生活習慣の項目でも目指すところは同じです。

         栄養・食生活の目標設定の考え方

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目標①適正体重を維持している者の増加(肥満、やせの減少)について
肥満は生活習慣病の原因になる、というのは想像がつくかもしれませんが、やせは何と結びつくのかがイメージしづらいかもしれません。
女性のやせは骨量の減少から将来の骨粗鬆症の発症へつながる可能性、低出生体重児の出産のリスクと関連があるとされています。

目標②適切な量と質の食事をとるものの増加について
生活習慣病との関連が比較的わかっている食塩摂取量、野菜・果物の摂取量を取り上げることとしています。
ここで注目したいのは、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事をとることは野菜や果物を食べる頻度が上がることにつながり、さらに野菜を食べることによって摂取した食塩(ナトリウム)の排出を促すことにもつながるという、一石三鳥の取り組み(勝手に命名)であることです。
ただし副菜は朝・昼・夕の3食で1皿70gの野菜料理(小鉢)を5皿食べると野菜350g以上に相当するという算段になっていますので、1食につき副菜1皿では不足します。また平成22年時点の野菜摂取量の平均282gから350gに上げるためには、1日で副菜4皿食べているところにもう1皿増やす動きが必要、というイメージです。

目標③共食の増加(食事を一人で食べる子どもの割合の減少)について
食事を一人で食べている子どもよりも家族との共食頻度が高い子どもの方が、野菜、果物、ご飯をよく食べる者が多いなど、食物摂取状況が良好な傾向にあり、思春期以降も食物摂取状況とも関連することが報告されています。
ここからは私の考えですが、子どもが一人で食事をとるということは、食べる時間や食べる量、そして食べるか食べないかについて子ども自身が選択する機会も多いということだと思います。そうなるとどうしても、目の前の「やせたい」という気持ちや、遊びに夢中になって食事をとらない、食事代として渡されたお金の大半を別のことに使ってしまう、など食事・栄養管理がおざなりになることもあるのではないかと思います。


以上を簡単にまとめると、
1日3食、ご飯/パン/めんなどの主食、肉/魚などのメインのおかず、野菜メインのおかず×2皿のそろった食事を子どもの時から家族と一緒にとることで生活習慣病を防ぎ、身体もこころも健やかに長生きできる。

ということです。

※適正体重を維持するための食事量(エネルギー量)は年齢や性別、活動状況によって異なります。
過去の記事を確認してみてください。

以上、参考になれば嬉しいです。

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今回の内容をより詳しく知りたい方は、以下をご確認くださいませ。

厚生労働省HP内、健康日本21(第二次)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html


「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html

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