見出し画像

魅力的な言葉がてんこ盛りな健康食品たち

こんにちは。管理栄養士のTany.(タニィ)です。
食と健康に関する、小難しい国の基準や法令をわかりやすく伝えています。
今回は、販売されている加工食品の中で保健機能をアピールしているものについて取り上げたいと思います。
混沌としている陳列棚の中から本当に欲しいものを正しく選ぶことができる人が増えるといいなと思います。

消費者を守るための法律

食品表示法とは別に、景品表示法というのがあります。
景品表示法は一言でいうと、必要以上に客引きしようとする企業(商品)から消費者を守ることにあります。
国民の健康を図るために作られた健康増進法でも、事実と著しく異なる表示をした場合の措置について記載されています。
具体的にどのような例が対象として挙がってくるかというと、競合他社が出している商品よりもウチの商品の方が著しく優良だ、と言って販売していたにも関わらず実際はそうではなかった。とか、十分な実験結果等の根拠がないにもかかわらず、「○か月で▲キログラム痩せることが実証されています」と表示した。とか、体験談をねつ造して表示する。もしくは体験談はあるものの、一部の都合の良い体験談のみを引用するなどして、誰でも同様の効果が期待できるかのような表示がされている。など多々あります。
いや、でもそんな感じのこと書いてあるものをよく見かけるけれど…取り締まられていないのでは?
と思う方もいるかもしれません。
そう。
これらの法律は‘著しく優良であると示す’’著しく事実と異なる表示‘など’著しく○○’な表示を禁止しているのです。
広告は一般的には多少大げさな表示をするものだという考えから、社会通念上許される程度の誇張であれば取り締まりの対象外となります。
ですので、消費者の私たちとしてはパッケージにいいことが書いてあるのを見つけたらまず「鵜呑みにしない」、ある程度「怪しんでみる」ことが大切です。

また販売する側の話になりますが、最近はアフィリエイトサイトで健康食品の広告をするアフィリエイターもいます。
景品表示法上は広告主である製造・販売事業者のみが規制対象ですが、健康増進法上は「何人も」誇大広告をしてはならない、となっていますので、アフィリエイトサービスプロバイダーやアフィリエイターも表示内容の決定に関与している場合は規制対象になり得ます。
インターネット監視という、キーワード検索で引っかかったものに対して改善要請を行い、その結果を公表しています。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/#internet

保健の機能性が表示されている食品~消費者を惑わすネーミング~

保健の機能性が表示されている食品の種類は、「特定保健用食品(いわゆるトクホ)」「栄養機能食品」「機能性食品」の3種類です。
順に説明していきます。

全体の様子がわかりやすくまとまっているものが下の図です。

図1 機能性が表示されている食品の分類

画像1

消費者庁/消費者の皆様へ「機能性が表示されている食品を購入するときは、キャッチコピーだけでなく、パッケージの表示をしっかり確認しましょう! より抜粋

(1)特定保健用食品

「特定保健用食品(トクホ)」は、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えたりするのに役立つ、などの特定の保健の手助けとなる旨を記した食品です。
特定保健用食品(以下トクホ)は消費者庁が商品ごとに個別許可を行っており、マークもあるので認知度は高いかと思います。

見づらいですが、現在は商品の一覧が作成されているようです。
最新版のURLを記載しますが、どこかのタイミングで更新されると思いますので、ご注意ください。

特定保健用食品許可(承認)品目一覧(excel)令和2年12月25日更新版
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/assets/food_labeling_cms206_201225_01.xls

(参考)特定保健用食品について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses/

トクホは関与成分と許可を受けた表示内容は書いてもいい、と言われています。
ただしその内容を編集して断定的な表現にしたり、保健の用途を超えて疾病を治癒できるかのような表示になっていたりすると不適切な表示として指導対象となることがあります。
私もトクホ商品を購入する機会があればチェックしようかなと思います。(実は買ってみたことはありません)

(2)機能性表示食品

2015年に新しく保健機能食品に仲間入りしたものに「機能性表示食品」があります。
機能性食品は、≪本品には難消化性デキストリンが含まれています。難消化デキストリンは腸で糖と結合することで糖の吸収が抑えられる機能があると報告されています。≫等、「栄養成分以外の成分」の機能性について表示されている食品です。

消費者庁/「機能性表示食品」って何?~消費者の皆様へ~
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/pdf/150810_1.pdf

いかにも効果がありそうに思える「機能性表示食品」ですが、
消費者庁はトクホ以外の保健機能食品に表示される効果や安全性について個別に審査したり、許可を出したりしていません。
(ここ大事です。)
含まれる成分に関する安全性や機能性を企業側が自己評価し、表示内容と共に消費者庁に提出しています。
信頼している企業の商品であれば手を出しやすいですが、初めて購入を検討するメーカーの物だと少し心配かもしれません。
その場合は、以下のデータベースでまず成分がどんなものかを検索をしてみましょう。

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 素材情報データベース
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/indiv.html

また、企業が消費者庁に届けた内容が以下のリンクから確認できます。
パッケージに書かれている届出番号や商品名で検索できるようになっています。

消費者庁/機能性表示食品の届出情報検索
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/

興味のある人は一度適当に検索してみてください。
安全性にしても、実際に製品を使った安全性試験をやっているのか、過去に似たような製品が発売されていて健康被害が出ていないから安全とするのか、など、評価の仕方も企業それぞれです。
どのラインを安全とするのかは、食品以外の日用品や化粧品と同じように個人によって感覚が異なると思いますので、
曖昧になっている方は、これを機会に基準を考えてみるのもいいかなと思います。

(3)栄養機能食品

こちらも効果がありそうな名前をしていますが、国や公的機関の許可、承認を受けたものではなく、企業の責任において販売するものです。
機能性表示食品は「栄養成分以外の成分」についての表示でしたが、栄養機能食品は「栄養成分」についての表示をすることができます。国が定める基準に従って栄養成分の機能を表示します。

機能表示ができる栄養成分は以下の通りです。

図2 機能の表示をすることができる栄養成分

画像2

各栄養成分の機能や1日当たりの摂取の目安、注意事項がまとまっているものがありましたので紹介します。
栄養機能食品として販売されているものは、各栄養成分の上・下限値の範囲内にあるはずですが、参考にご覧ください。

消費者庁/知っていますか?栄養機能食品
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/food_labeling_cms206_20200730_02.pdf

なお、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性食品」には必ず以下のことが書かれています。
パッケージの表示を確認して正しく使用しましょう。

画像3

その他健康食品(いわゆる健康食品)

ここに分類されるものは一般の食品と同じように保健機能の表示不可となっていますが、「栄養補助食品」「栄養補給食品」など、「栄養機能食品」と勘違いしてしまいそうな文言で書かれているものがあります。
機能性表示食品の横にしれっとあったりしますので、ドラッグストアの健康食品コーナーなどお時間あるときに探してみてください。
その他健康食品を消費者として品質チェックができることを挙げると、
・厚生労働省の下に設立されている 財団法人 日本健康・栄養食品協会が定める、健康食品の品質に関わる基準に合格した印(JHFAマーク)がついているか確認する

画像4

公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
https://www.jhnfa.org/index.html

・信頼できる企業が作ったものかどうかをチェックする
その他、
・栄養成分の場合は何がどのくらい含まれていて、1日当たりの摂取量等の記載が妥当なものなのかを確認する
・成分の場合は素材のデータベースで調べて機能性等根拠のあるものなのかどうかを調べてみる
このくらいです。

○○研究機関の認証、■■推奨などが表示されているものの中には、認証制度が実在しない、誰も推奨していないなどがあり得ること、自社で行っているアンケート調査、満足度の評価は都合のいいように編集されている可能性があること等踏まえて、書かれていることは宣伝として受け取っておくのが無難だと思います。
食品で指導されているケースを見ると、痩身効果をうたうようなものが多い印象です。
最近で大きなものだとこちらです。課徴金納付命令が出ていました。
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms215_201023_1.pdf

簡単にまとめますと、トクホ以外は国の個別審査を受ける必要がなく、企業努力によって商品が作られています。
トクホについても、審査時に提出している表示内容以外のことを記載していることがあるかもしれませんので、届出時の内容を確認し、届出で書いていなかった機能表示については疑ったほうがよい、ということです。
健康食品を購入する際は、事前に栄養成分やその他成分のこと等をよく調べ、安易には手を出さないことをお勧めします。

主食・主菜・副菜がそろった食事をとることができていれば、割高な健康食品は必要ないと私は思います。
日々の食事量の差はあるものの、1週間くらいでバランスを取りながら、できるだけ財布も身体もヘルシーに過ごしたいところです。

以上、参考になれば嬉しいです。

************************

≪参考資料≫
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/141210premiums_1.pdf
消費者庁/景品表示法 ※正式名称は不当景品類及び不当表示防止法

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_cms101_200415_01.pdf
消費者庁/食品表示法

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_cms101_201009_4.pdf
消費者庁/食品表示基準

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/130621_gaiyo.pdf
消費者庁/食品表示法の概要

https://www.maff.go.jp/tohoku/6zi_koudou/attach/pdf/190718gaiyou-2.pdf
消費者庁/食品の栄養成分表示について

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/food_labeling_cms206_200602_02.pdf
消費者庁/特定保健用食品の概要

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/assets/food_labeling_cms206_201225_01.xls
消費者庁/特定保健用食品許可(承認)品目一覧(excel)令和2年12月25日更新版

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/pdf/150810_1.pdf
消費者庁/「機能性表示食品」って何?~消費者の皆様へ~

https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/indiv.html
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 素材情報データベース

https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/
消費者庁/機能性表示食品の届出情報検索

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/food_labeling_cms206_20200730_02.pdf
消費者庁/知っていますか?栄養機能食品

https://www.jhnfa.org/index.html
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?