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「令嬢アンナの真実」「ドロップアウト」 若い女性が起こした巨額詐欺の海外ドラマについてレビュー

先日、この海外ドラマ2作品を観てみました。

「令嬢アンナの真実」

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あらすじ等はこちら

「ドロップアウト~シリコンバレーを騙した女」

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あらすじ等はこちら

両作品とも、今年のエミー賞でリミテッドアンソロジーシリーズ(短いシリーズ物)の主演女優賞候補だった作品です。

女優賞候補なだけあり、主演は両方とも女性。このドラマ達には共通点があって

実際の事件を元にした作品

若い女性が仕掛ける巨額詐欺についてが題材

というわけで偶然選んだものの、結構作品に違いもあって面白かったので並べてレビューを書いてみたいと思います。

なんか偶然というか、世間の傾向もあったりして面白いですよね。

(ELLEでも同じような特集やってました。)


まず始めに観たのは

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こちらの「令嬢アンナの真実」の方でした。選んだ理由としては、それまで日本のドラマでいい話系作品の鑑賞が続いたので、

思いっきり下世話な話が観たくなった

これだけが主な理由なのですが(笑)、前から気になっていたのが

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この主演のジュリア・ガーナー。彼女が今とても海外ドラマ界で評価が高くて

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この「オザークへようこそ」という作品でエミー賞ドラマシリーズの最優秀助演女優賞を3回も受賞しています。演技力がとても評価されていて、この「令嬢アンナの真実」でもリミテッドシリーズの主演女優賞にノミネートされていました。で、

これからあのマドンナが自ら監督を務める伝記映画のマドンナ役にジュリア・ガーナーが決まった、という報道が出て。恐らくもう確定だと思うのですが。この「誰がマドンナ役を射止めるか」ってかねてから話題になっていて、

こんな女優・シンガー陣の中で見事マドンナ役を獲得するとは!!と、私内で俄然気になり度が上がりまして、ジュリアの演技を楽しみにこの「令嬢アンナの真実」を観始めました。

この話は、

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このアンナ・デルウェイ(本名:アンナ・ソローキン)という実在の人物が起こした巨額の詐欺事件をベースにした短いドラマシリーズ。

これが

めっちゃ早く観れた!

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とてもテンポのいい作品で、わりとさっさか観れる造りになっていて良かったです。3日間くらいであっという間に観終わりました。

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とにかくこのアンナが私的には嫌な女で(笑)。でも面白かったのが、NYの金持ちに一目置かれるなら下手に出てはダメなんです。むしろ上からガツンと嫌味でもなんでも使って自分の存在をアピールする方が効くと。

そして自分の存在を認識させるために最重要なのがファッション

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なかでも、それまでリアルにお金持ちのお嬢様風で露出もそれなりにあるようなファッションでアンナになり切っていた彼女が、いざ自分のアートハウスを立ち上げる事業で巨額のローンを借りようとすると、弁護士に「そんな恰好じゃ誰も相手にせんわ」とこき下ろされる。コネや実力があっても、やっぱり人ってそういうところも見られてるんだな~と。

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それから露出を避けてメガネかけるようになるんですけど、メガネって分かりやすくていいですよね(笑)

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で、紆余曲折あって、彼女は逮捕されて裁判が始まるんですけど、そこでもファッションにこだわりがあって「服が気に入らない」などとゴネる場面があります。裁判に出ないための口実でもあるという演出にはなってましたけど、「そんなことで」と周囲は呆れますが、他にも理由がるとはいえ彼女がのし上がってきた重要なツールなので外せないんですよね。そして、

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判決が出る日に白のワンピース着てきた!!

これ本人の写真だけど、現実で本当に着てきたんですよ!(笑)これくらいの肝が据わっていないとこんな額の詐欺はできないのかも。

でも、このドラマは後半、特にラストが個人的にちょっと微妙というか。

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このアンナに興味を持って取材する女性記者ヴィヴィアンの視点でもって全体的に話が進んでいくのですが、彼女は過去に仕事で傷を持っているため起死回生にこのネタで当てたいと、妊娠中でありながら躍起になって取材に挑むという内容で。(この彼女、めっちゃ懐かしいんですけど映画「マイガール」のアンナ・クラムスキー!)

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そこから、アンナを取り巻いたり詐欺被害になった人たちの視点(「ER」のグリーン先生もいた!)から、「アンナとはどういう存在だったのか」を取材に合わせて語っていくような流れで。最初はその構成も面白かったんですけど、結局

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アンナがこの世界にとってどんな存在だったのかは、私にはイマイチつかめずに終わった感じです。現代的といえば現代的ですが、どうして記者や騙された人たち、弁護士まで彼女に惹かれたのかは少なくともドラマの中ではあんまり伝わってこなかったというか。私だけかもですけど。一話一話のエピソードや、自分的にこのドラマで最大にドキドキした

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友達とモロッコに旅行に行ったものの、散財しておいてアンナが全くお金を払わずに自分が払わされる目になる時の緊張感!!しかも勤めてる会社のカードで!それまでアンナにタダ乗りしていた彼女も彼女ですが、それにしてもここはほんとドキドキしましたけど(笑)

NYのお金持ちはほんとーにお金めっちゃ持ってる!!ので、「どんどん騙してふんだくれやー!!」とか思ってましたが(笑)、「一般人からはやめてー!」って(笑)

結局アンナの存在自体にあんまり意味がないと私には感じられてしまって終わったところが残念でした。もうちょっとはっきりとなぜ彼女が今この時代にここまで詐欺を成功させることができたのかをドラマ側から提示しても良かったんじゃないかな、と思います。

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自分が実業家としてビジョンがあり、逮捕された後もその事の証明に固執するアンナ。彼女が欲しいものは本当はお金ではなかったような気がします。そのあたりとかもうちょっと肝据えて描いてもよかったのではないかな、と。

ただ、刑務所に会いに来た記者に一発放つアンナの言葉

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「なんでそんな貧乏人に見える服着てるの?」

ここは私も刺さりました(笑)私もちゃんとした服も買おうっと!!

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肝心のジュリア・ガーナーは確かに演技上手いと感じましたが、もっと他の作品も観てみたいです。あんまり色が付きすぎていない今、マドンナ役は確かにいいかも!と思いました。

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この時のエミー賞の雰囲気でだいぶ「マドンナっぽい!」とつかめてきました!

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このドラマは「グレイズ・アナトミー」や「ブリジャードン家」のクリエイター、ションダ・ライムズが制作。題材等の掴みが上手いところはやっぱり凄いな、と思います。

ドラマとしては個人的にもう一歩踏み込みが足りなかった印象です。


そしてもう1本の「ドロップアウト」ですが、

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こちらはまた「令嬢アンナ~」と同じく女性詐欺物ですが、扱うものが全然違います。こちらは

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このエリザベス・ホームズという女性が引き起こした詐欺。彼女はなんと実際に企業を果たし、アメリカの長者番付に名前が載るほどの成功を収めていました。彼女が立ち上げたのは

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血液検査のベンチャー企業「セラノス」。シリコンバレーから始まって、まさにサクセスストーリーとして大きな成功を収めてきたかに見えたところが、実態は検査に使われるはずだったツールが全く成功に至っておらず正確性に欠ける内容で、告発されて詐欺容疑で逮捕されるという顛末に。

このエリザベスを演じたのは

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アマンダ・サイフリッド。「マンマ・ミーア」や「レ・ミゼラブル」などのミュージカル映画で有名ですよね。「モンク」ではアカデミー助演女優賞にもノミネートされていました。

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このドラマは、なんといってもエリザベスを演じたアマンダの演技の良さが感じられるドラマでした!!本格的にブレイクしたのは「マンマ・ミーア」だったと思うのですが、私は「ちょっとクセのある映画の方が合いそうだな~」とか勝手に思ってて、そうしたら

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このデヴィッド・フィンチャーのNetflixの映画「モンク」でのマリオン・デイビス役がピッタリで!この役でちゃんと評価されて良かったな~と思いました。とても美人だけどなんか一筋縄ではいかない感じっていうか(笑)

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この「ドロップアウト」でのエリザベスと言う役、とてもアマンダに合っているな~と思いました。成功や自分の道にこだわりがあって、とにかく目標に突き進む。そのためには失敗をなかったことにする、というか成功への道の大したことではないと都合よく考えてしまう性格。それって一歩間違えれば破滅の道になってしまうと思うのですが、まさにその破滅を巧みに演じています。

アマンダ自身もこの役にこだわりがあったのか、凄く良くて。感情移入しようにもしきれないような絶妙なところをうまく演じていたと思います。比較ではないですが「アンナ~」でのジュリアをうまく活かしきれてなかったところが、このドラマではアマンダが最大限にうまく活かされていたような感じで。題材として華やかなのは「アンナ~」ですが、主人公の描写については完全に「ドロップアウト」の方がドラマとして上手な印象でした。内面がないところがかえって怖い話でもあって。

アマンダはこの役でエミー賞のリミテッドシリーズの主演女優賞を獲得!「アンナ~」のジュリアに限らず、個人的にこの枠「誰がとってもおかしくないな」ってくらいノミネートが激戦区だったんです。そこを彼女が勝ち取ったのには、やっぱりここで力を発揮した本人の熱演に加え、「ドラマ自体の良さも助けになったのかな」と実際に内容を見て改めて感じました。

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このドラマ、脇役もなかなか上手い人ぞろいで、ウィリアム・H・メイシーがツボを抑えた演技でドラマを支えていました。隣にいるのはローリー・メカトーフ。映画「レディバード」のお母さんですよね。

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また、「13の理由」に主演し、バンドWallowsのボーカルでも活躍しているディラン・ミネットも出演しています。結構いい演技でした。人気があるの分かりますね。

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またこのドラマ、検査機を開発する化学エンジニアの扱いが本当に酷い作品なんですけど、それぞれいい演技だと思いました。ドラマを見るとその扱いに本当にびっくりすると思います。私は驚きました。けどこういう事って大なり小なりあるんだろうな、と。

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エリザベスと公私ともにパートナーとなるサニー・バルワニ役を演じたナヴィーン・アンドリュースもいいチョイスだな、と思いました。「LOST」に出てましたね!インド系のどこかミステリアスな中年男性。彼との関係性も面白かったです。ただ、彼の影響で全てを片付けるにはちょっと浅はかすぎるかな、と。「エリザベスのそういう性格がこの事態を引き起こしたのでは?」と私には感じられました。そうとれるようにドラマはつくってあると思います。

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このドラマは、ある意味「アンナ~」より本当に怖かったというか、実際にこれが詐欺と分からなければもし病気になった時に実生活に入り込んでいた可能性がある内容で、かなりゾクっとしました。

もとはエリザベスの熱意や発想自体は決して悪いものではないんです。実現すれば凄く役立つものではあったと思うし、スタンフォードの学生だったくらい優秀な女性。スタート地点も父親の会社の倒産があったとはいえ、実力も熱意もある優秀な女性だったのではないかと思います。ただ、

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それほど器用な女性ではなく不器用な面がちゃんとドラマにも描かれていて、結構ドラマ自体が淡々と進んでいくので、そのクールさがかえって起きた内容の怖さも引き立てているような印象でした。脚本が凄く良かったんじゃないかな、と思います。

このドラマの監督は「タミー・フェイの瞳」のマイケル・ショウォルター。半分の話の監督もこなし、製作総指揮も務めています。「タミー・フェイ~」は私は観れていないのですが、

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「BigSick」の監督も務めています。また最近トレーラーが公開になった

この映画も彼が監督。とても観たいと思っているのですが、こういった作品群を見て、なんというか凄くシリアスで大きな詐欺事件の話なんですけど、人物描写の描くところと描かないところのばらかが上手く、ただのシリアスなドラマに転ばなかったことで、「ユニークなドラマになったのは彼の手腕があるのかな」と思います。

ただ、このドラマは基本的に抑えたトーンのドラマなので、冒頭3話くらいまではちょっと退屈に感じなくもなく。やっぱりセラノスが大きな企業になっていく過程と詐欺が暴かれる過程が描かれてくると俄然目が離せなくなる内容だった感じです。

このシーンはTwitterでMemeになっていました。私もちょっと笑ってしまった。なんか変なダンスで(笑)

偶然この二つの作品を観て、私なりに感じた共通点としては、

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アンナもエリザベスもそれぞれ、違った装いではありますが成功者になるために自分を装います。そしてそこから人に判断されるシーンがありました。そこが個人的に印象的でした。

そして、若い女性は実力があってもそれを認められるのは現代でも容易ではないこと。この事は両作品にも根底としてあったかな、と思います。正当な方法をもって彼女たちが本当に欲しかった評価や成功を得られる、そんな機会すらあったか、あったとしていったいいつになっていたのか。それを考えるとちょっと暗い気持ちにもなりますが、なぜこういった詐欺事件が起きてしまうのか。二人とも何かに焦っているようにも見えます。詐欺にまで走ってしまうことの本質を考えようとするとそこにたどり着いてしまうのが、「現実」と感じました。

その反面、「若くて美しい女性の成功と転落ストーリーが今も人々の注目や賞賛を集めやすい事でもある」と改めて感じました。こうやってドラマの題材になるくらいですもんね。「彼女たちがもし男性だったらここまでの注目を集めたかな」ともちょっと感じました。世間の若い女性に対する見る目や評価についてもちょっと考えてしまいますね。

気になった方はぜひ観てみてください♪


おまけ

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この方は2作品共に出演していました。ケイト・バートンさん。おつかれさまでした(笑)「グレイズ・アナトミー」懐かしいな。

おまけ2

それぞれ使われてる音楽も面白かったですよ♪



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