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公開20周年記念②「リトル・ダンサー」を世代を超えて語り継ぎたい理由とは

前回に続き、公開20周年記念の第2作目について書いていきたいと思います。

1作目はこちら。

長々すぎる記事ですみません(笑)

そして第二作目はこちら!

「リトル・ダンサー」

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こちらはイギリスで制作・公開された作品。

公開当時から人気で、なんと後にブロードウェイでミュージカル化までされた傑作です。

忘れてたけどアカデミー賞で監督賞、脚本賞、助演女優賞(ジュリー・ウォルターズ)にノミネートされてるんですよね。

あらすじ等はこちらをご確認ください。

公式の予告はなかったので、こちらのムービークリップを。

この映画はなんといっても脚本と演出がずば抜けて素晴らしい作品です。

そして20年経った今でも現代に通じる大切なメッセージが詰まった映画だと思います。

この作品についても長々語っていきたいと思います(笑)

80年代イギリスの時代背景

この物語、舞台は1984年のイングランド北東部の炭鉱町です。主人公ビリーの父と兄は炭鉱夫。サッチャー政権のもと、炭鉱労働者のストライキがイギリス各所で行われていた時代に設定されています。生活的に苦しい立場におわれています。

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ビリーは11歳で制服のある学校に通っています。母は幼い時に病死し、父も兄も決して楽ではない状況で。

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言ったらバレエどころじゃないことは親になってみるととてもよく分かるのですが、この設定がストーリーにもとても活かされているなと感じます。
そんな町からでもバレエの才能が生まれるってところも好きなんです。

イギリスロックの名曲

「あの頃〜」がアメリカが主のロックの名曲なら、こちらは主にイギリスロックの名曲が使われています。また使われ方も凄くいいんです。

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オープニングでビリーがベッドでジャンプしながら踊る姿のスローモーションに使われるのはT.Rexの「cosmic dancer」。「12歳からダンスしてたよ」って歌い出しで、まさに映画そのままな歌詞の曲からスタートするんですけど(笑)

このオープニングから始まって、T.Rexは数曲、ザ・クラッシュの「ロンドン・コーリング」の使われ方も印象的。ザ・スタイル・カウンシルの曲も。

そしてなんといっても大好きなのはザ・ジャムの「Town called marice」のダンスシーン。

この曲本当に最高すぎますね。

ダンスシーンはまた後にまとめて。

80sで愛聴されていただろうイギリスロックを印象的に使って時代の空気をよく表しているなと感じます。使われ方も好きなんです。

キレイなだけでないダンスシーン

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ビリーは父から習わされていたボクシング教室で違う時間に開かれていたバレエ教室にひょんなことから興味を持って、バレエのレッスンを受けはじめます。

ダンスシーンはいくつか出てきますが、小さい頃から習ってきたわけでもない11歳の男の子らしく、最初はゴツゴツとした体の動きでしなやかさなどはありません。そこもリアルだなと思いました。

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ピルエットの練習では上手くいかなくて真剣半分、凄いイラッとしてる(笑)

それをバレエ教室の先生が厳しくも指導していくうちにだんだんバレエの動きが馴染んできます。

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先生とT.Rexの曲でブギを唐突に踊ったり(笑)、

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父と兄にバレエレッスンの事がバレて反対されてなぜかタップ踊るんですけど(笑)、この時に先程の「Town called marice」が使われてます。このダンスが本当に好きで。怒りをダンスで表現するのが凄くいいんですよね。

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怒りで踊りながら街を走っちゃいます(笑)

圧巻なのは父に自分のバレエを見せるシーン。

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このシーンはグッときますよね。言葉じゃなくてダンスで自分の想いを伝えます。もともと言葉が上手くない二人だから凄く説得力があるんですよね。

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父にある決意をさせる重要なシーンです。

家族愛と師弟愛

ここはあんまり語りすぎると面白くなくなっちゃうかもしれないのでさらっとしますけど、やっぱりこの家族の絆と師弟愛をしっかりと、でもとっても上手い表現で見せてくれるところもこの映画の好きなところです。

好きなシーンを少しだけ。

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やっぱりここですよね〜。もう何百回観たんだって感じですが、毎回号泣してます。私自身、実際に息子持っちゃったもんだから、今観たら今までで一番泣きました(笑)

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このシーンも最高ですね。オーディションの場面。世界の違いがハッキリする場面ですけど、この演出も大好きです。

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ここでのビリーの名台詞はぜひ映画をご覧ください!

兄との別れのシーンも大好きで。切ないんですよね。兄弟っていいなって思わせてくれるシーンです。

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バレエの先生との関係も面白くて。ビリーに才能がある事を見抜いて指導するけど、おばちゃんらしく厳しい。ビリーとの関係も決してベタベタしません。

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けど、支える時はしっかり支えます。ビリーが家庭の事情でレッスンに集中できない時、亡くなった母の話をする時などにある心の通わせ方がとても好きです。

ラストの感じも二人ならではな感じで好きです。

ジェンダーの壁

時代は80年代。イングランドの田舎町。父と兄は炭鉱夫。「男の子がバレエをやるなんて」という価値観が当たり前だったような世界。ビリーは父と兄から大反対をくらいます。その前ボクシング習わされてたくらいだから。

今2020年。少しは改善されたかな。

けどまだこういう風潮は残っていると思います。

最初に観た時はくすっとできたけど、20年経ってもあんまり変わってないってなったら今は笑えないかもな。。。

また、ビリーには女装に興味ある友達がいます。この子もまたこの映画のいいキャラになってます。

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この子のキャラが好きだったんで、ブロードウェイ化でもちゃんと残ってて嬉しかったです!

最後に見せるビリーの優しい行動が大好きです。

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私がこの映画のことを「書いておきたいな」と思ったひとつのきっかけはTwitterであるツイートを見かけたことでした。

ちょっとそのままリンクをのせていいか分からないのでざっと内容を書くと、

『友達の9歳の息子が「自分は男の子に興味があって、ゲイなんじゃないか」と泣きながら母親にカミングアウトしてきた。前向きになれるように親子で観れるクィアなコンテンツはないか』という内容でした。

これを読んだ時に真っ先に頭に浮かんだのはこの作品でした。

このジェンダーの問題を笑いもちょっと交えながら、未来に希望が持てるように描いているいい作品だと思います。真正面じゃないところがいいなと思って。時間が経つごとにその重要度って増している気がして。

公開から20年経って、思春期の青春映画レベルでは割と作品増えてると思いますが、10歳前後となるとなかなかまだ少ない。私が知らないだけかもしれないけど。

ビリーがクィアという描写ではないけれど、壁にぶつかるのは同じ。

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私も息子が作品を少し理解できる歳になったら観せたいし、エルトン・ジョンのオリジナル曲でブロードウェイ化してるくらいだからこれからもながーく愛されていく点は大丈夫だとは思うけど(笑)、映画もぜひ若い人に観てほしい作品です。

そして自分も常に学びながら、語り継いでいきたいなと思います。誰かの気持ちを軽くしてあげられるように。

https://www.netflix.com/title/60003378?s=i&trkid=13747225

気になる方はNetflixで配信してますのでぜひ♪

お好きな方は記事を読んで楽しんでもらえたら嬉しいです!

おまけ

大人になったビリー役のジェイミー・ベルがアメリカのトーク番組でちょっとタップ披露してて胸熱でした。ほんとちょっと(笑)

#いま私にできること









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