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「メイドの手帖」息苦しくなるほど過酷な若き母の物語 それでも最後まで見続けられた理由

先日、このドラマを観終わりました。

「メイドの手帖」

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あらすじ等はこちらをご覧ください。

このドラマ、Netflixのオリジナル作品で公開からかなりの視聴数を稼ぎ出した作品という事で話題になっていました。

Twitterでちょこちょこレビューも見かけてて評判も良さそうだったので観てみたのですが、本当に過酷な物語。しかも実話ということでしんどいところも正直ありました。

が、最後まで観通し、今では「観て本当に良かった」と思っています。その理由を書いてみますね。

※ここから先は思いっきりネタバレになりますので、結末を知りたくない方はご注意ください。

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この「メイドの手帖」、全10話でDV夫から一人娘を連れて逃げる1話からラスト10話の最後10分くらいまで過酷な状況が続く、息苦しいほどリアルなドラマではあります。でもずっと見続けられた一番の理由は

主演のマーガレット・クアリーが凄く良かったから。

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彼女が演じる、どうしようもない状況を必死に生きていくアレックスの姿に釘付けでした!

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人って本当に大変な状況に陥いるとただただ目の前の問題に対処するしかなくて、もう必死ですよね。そんなアレックスの様子を大げさすぎず、完全に役になりきって演じてたと思います。

マーガレット・クアリーといえば

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タランティーノの映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に出演していた時のイメージが私は一番強かったのですが、今回の「メイドの手帖」では

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どうしようもない状況に置かれる若い母親を見事に演じています。しかも幼少期の両親、夫の精神的虐待から逃れるというかなりの難役。私が彼女の演技でいいなと思った最大のポイントは、大げさなところがなく、抑えめな演技が大半。本当に必死な時ってただ目の前の問題に対処するしかなくて顔の表情も無くなるし。そういうところ、良く出ていたなと思います。

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もともとはどこか浮遊感のあるようなイメージだったので、私は今作でガラっと印象が変わりました。

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基本こんな感じの表情なんですよ。けど本来のユーモアある一面が見えるシーンも少しあったり。彼女の演技が本当に良かったから「キツいな」と思っても最後まで観続けられたんだと思います。

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私は最近韓国ドラマにハマって、今やそちらの方に鑑賞時間が割かれ気味なんですが(笑)、韓国ドラマを観てた目で見始めると、このドラマ、あまりに淡々とした演出に最初は驚きました。これがまた現実を突きつけられるようで。

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とにかくお金がなく、それが画面で無情にも数字で表される演出で、彼女が買い物したりお金を使う場面で出てくるんですけど、メイドの仕事をしたくてもまずは掃除機を自費で買わなきゃだったり経費を最初の仕事から引かれたり。

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仕事中の子供の預け先がなかったり、子供の頃から苦労させられている両親は頼りにならなかったり。夫側の家庭の事情も複雑。負の連鎖が凄くリアルでした。

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そんな彼女を救うのは真面目な働きぶりと、ライティングの才能。メイドに行った先の事を綴る事が希望に繋がる。書くことを諦めなかった彼女に感情移入してしまいました。昔合格した大学入学の奨学金に申請した理由は「申請料が無料だから。」それが現実だとも感じて胸が痛くもありました。

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マーガレットが素晴らしいのはもちろん、実母アンディ・マクダウェルとの母子共演も凄く良かったです。酷い母だけど彼女も被害者。問題の解決は簡単ではない事を一番表してました。アレックスの問題は夫との間だけではないんです。幼少期から親に苦労させられているからこそ今の状況に陥ってしまったような気がして。酷い母なんだけど、なかなか単純に切り捨てられない。ここらへんの描写も私には真に迫ってました。

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夫役のニック・ロビンソン(「ラブ・サイモン!」)や、メイド先の弁護士の女性アニカ・ノニ・ローズは最初気づかなかったな。この二人もとてもよい演技でした!

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アレックスはやがて、逃げ込んだDV被害者のシェルターでライティングの講座の講師をするようになります。このシーンやシェルターの世話係のこの黒人女性とのやりとりもこのドラマもポイントとして良かったです。

観てる間は淡々としたベタつかない演出も手伝ってか、「音楽が凄く少ない」と思っていたけどサウンドトラックリストを追うと驚き。「生活に必死すぎると音楽が頭に鳴らないものだ」と自身の経験から思い出しました。その中でもHAIMやシャロン・ヴァン・ノッテンが使われてて個人的にとても良かったところです。今の若い女性を描く時にアンセムになるんだと。現代っ子っぽいラップが流れたり、幼い娘マディが歌詞の意味が分からないまま「shoop」が好きなのも。

上に貼り付けたプレイリスト作った人が、確かドラマには使われてなかったと思うのですが、このHAIMの「Night So Long」を入れてて、ドラマにピッタリで聴いてて泣いちゃいました。辛い状況にいる人に聴いてみてもらえると。私も最近毎日聴いてます。

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こういう作品がNetflixで大ヒットしたところがとても興味深いですね。「イカゲーム」の裏で。

けどこういう作品でアメリカのドラマの力や素晴らしさも改めて感じることができて嬉しかったです。

興味を持たれた方はぜひ観てみてください。

おまけ マーガレット・クアリー、次回作楽しみだな〜!

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