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育休の復業研修を受けて

先日、職場で育児休業を取得した職員向けの研修を受講しました。たのですが、今まで自治体内で経験した研修の中で、1・2を争うほどの満足度だったので、まとめておこうと思います。

研修に関して、有名な話で、ロミンガーの法則があります。人が成長する際に影響を与える要素の割合は、7割が業務経験、2割が上司や先輩・同僚からの薫陶、そして残りの1割は研修であるというものです。
参考:ロミンガーの法則とは?「70:20:10」の法則の内容を徹底解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

昔の上司もこの研修を引き合いに出して、「1割がなければ他の9割が生きない。だからこそ研修は大事だ。」と言われていたのですが、私自身、仕事で研修の企画なども行っている中で、研修によって個人が劇的に能力等が改善されるといった話には疑問を持っています。

そもそも、職員として色々な自治体内の研修を受けてきましたが、有意義だった、充実したと思える研修に出会えず、眠たくなるばかりで良い思い出がありませんでした。

最初はこの育児復業研修も、スルーしようかと思ったのですが、1カ月前の同僚のある発言が頭に残っていました。

「男が1年育休を取得するなんて、どうかしている。」というものです。

近くにいてたまたま聞こえてきただけであり、私に向けられた言葉ではなかったようですが、なかなかインパクトのある発言でした。その人が、どういう思いで言ったのかは知る由もありませんが、「今時まだ、そうした考えの人もいるのだなー」と、自分との考え方の差を感じて結構驚きました。

ただ、その人の発言に理がないわけではありません。育休を取得して、代わりの人が来ると言っても、戦力はダウンしますし、残された人が大変になるのは確かです。

自分がマネージャー的な立場になった時に、皆が皆、育休を取得する人のことを歓迎するとは限らないのだなと実感しました。

そのため、自分以外の職員はどういう思いで皆育休をとったのか、復帰して、今どのような思いでいるのか、生の声を聞いてみたいと思い、この研修を受講することとしました。

受講をした結論としては、育休は取得する側も多かれ少なかれ皆ためらいながら取得しているようです。大手を振って取ります!と言って取得した人は受講者を見る限りいませんでした。

育休とは、取りたい人は皆取って良いものであるという認識は一緒です。要するに、自分がとるときは恐縮してしまうけれど、他人がとるときは「ぜひ取ってくれ!」という気持ちでいる人が大半だったというものでした。

1 育休をとる人はどんな人

この研修ですが、受講者の過半数を男性が占めていました。夫婦そろって公務員という家庭も多いことから、育休を取得しやすい環境ではあるのですが、それでも、つい数年前までは男性の育児休業取得率は数%であったことを踏まえると衝撃的な光景です。

もともと、女性は出産してすぐに育児休業に入ることがほとんどで、女性の育児休業の取得率は99%を超えていたと思いますが、男性も育児休業をかなり積極的に取得している様子が伺えます。

また、受講生の年齢層を講師が聞く場面があったのですが、1割程度が20代、残り9割が30代というものでした。20代の受講生も年齢は後半とのことで、講義も30代の職員が長期の育児休業から復帰するにあたってという内容が中心でした。

30代の公務員は、職業的な専門性が定まってくる時期です。つまり自分の得意分野が確立され、周囲に影響力を発揮するようになります。幹部への説明も自ら責任をもって行うようになり、マネージャーとしての役割も意識してくるころです。

事務職であるならば、30代は一番仕事を実務的にこなす時期と言えます。個人的には、20代が100点満点中60点のクオリティで100回仕事を行うのに対して、30代は80点で80回行う印象があります。

年次が浅いうちは、粗削りでも仕事を回していき、同僚や先輩のアドバイスや指摘を踏まえて仕事の質をあげていくのに対して、30代となると自分のやり方も固まってくるので、周囲のサポートもそう手厚くはならず、一定以上の質はできているものと期待されます。

自治体組織にとって、30代職員は実務的に大きな戦力と期待されている年代です。男性の取得率も上がっていることから、課やグループを支えている中核的な職員がいつ育休を取得してもおかしくない、管理職は常にそういった事態を想定しておかなければいけないのでしょう。

2 研修を受けて価値観に影響はあったか

この研修の肝は、同時期に育休をとって復帰した人と意見交換を行って、復帰して困っていることや課題と感じていることについて意見交換をしたり、すでに育休から復帰して活躍している人のパネルディスカッションを聞いて学んだりと、育休復帰にあたって何か気付きを得ることです。

私にとっては、気付きを得るというよりは、前々から思っていたことが他者との意見交換を経て明白になったように思います。
それは、公務員として仕事が抜群にできる人を自分のロールモデルとすることはないだろうということです。

私は、公務員として、それなりに評価を受けて、色々なタイプの仕事ができる人を見てきました。

とんでもなく体力のある人、作家並みに読ませる答弁を書く人、コミュニケーションお化けな人などなど、様々な上司の下につきましたが、凄いとは思っても、中堅職員となってからも、この人のようになりたいと思える人が浮かびませんでした。

その理由は、家族の存在があるのでしょう。最近は、何十時間も残業して評価を得ようとも思えなくなりましたし、時間外に自ら周りに声をかけて仕事をもらおうとするよりは、早く家に帰ろうという気持ちの方が強くなってきています。

育児休業復帰研修は、「育休中こんなに大変だった!」という思いを共有する側面もありますが、何だかんだ育休中のことを話すときは皆いい顔をしていますし、家族が好きなのだと伝わってきます。

また、育休から復帰して、部分休業を取得している職員もいました。その人は年次で言えば、係長クラスへと昇進するころですが、育休と部分休業を取っていることから、同期と同じく最短ぺースでとはならないそうです。

ただそれでも良いと言います。今の自分には家族が第一優先で仕方ないことであると。そして、死ぬ間際になって、「もっと家族とともにいればよかった。」と後悔する人はいても「もっと仕事をすればよかった。」と悔いる人はそういないと続けました。

家族と生活するために仕事はする必要があります。そしてどうせ仕事をするならば、一生懸命にやった方が充実するし、楽しく前向きにした方が人生は豊かになります。平日の起きている時間の半分は仕事をしているのですから。

ただ、無理に仕事優先とすることはなく、今は自分の優先すべきものを仕事以外の家族に見出しても良いのではないか、そのように感じました。

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