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その心、春愁につき

昨日、戦争で引き裂かれる運命に翻弄される
恋人たちの映画を観た。

土曜日。
私の日常は穏やかさを取り戻し、
小さな商店街の外れにある日陰の石造りのベンチに座って、
時折反対の歩道を過ぎて行く人の足音や、
明かりの灯っていない白昼の常夜灯や、
電線の五線譜とグリーンの屋根の先にある
薄水色の空を眺めたりしている。

まだ冷たい3月の風が、髪を揺らして逃げていった。


4月、水曜日。
季節が自転をくりかえし、幾度も私の心をさらって廻ってゆくのを神様だけが知っている。

自由落下でどこまでも、どこまでもこの春に落ちて あなたに出会った。
春は憂い。
思慮深い心は熱病のうしろに隠れてしまう。
花は燃えて、春を映す鏡面の亡霊。

あなたが幸せならそれだけが私の祝福。
そこにはどんな慢心も喪失も存在しない。


穏やかでいてください。
私に灯った明かりのように、柔らかでささやかな毎日のなかで、
あなたはきっと幸せでいてください。


それが私の多幸感になる。
日々前をむいて、夢を見る力になるのです。


5月の現在地、春の夜は雨。
のぼせるような甘やかな目眩。

メランコリックな浪漫主義。
ため息を喰らう
唯々美しいそれの正体は、春の化身。

#詩人になりたかったので #詩 #自由詩 #春
#バックナンバー

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