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プレイリストを作ると言う作業

当面怪我の治療の為アウトプットを無期限で休止し、現在はインプットと言う名のアウトプットに集中している。
自身の音楽を送り届けるにとどまらず、他のアーティストの音楽を心地好く並べて数多くの「プレイリスト」をSpotifyの中に作り込み、それを一個の作品や番組のようにして世界に解き放つ作業はどこか、子育てにも似ている。

15歳の半ばに芸能界と言う荒々しい世界に飛び込んだ。さながら高層ビルから果てしなく長い地上までの旅に出る時の恐怖に似たものがあったが、その先にはただただ目映い輝きに満ちた世界を私は見ていた。
じきにそれが単なる幻想だったことに気が付くが、それまでの時間はまるで怪しい飲み物を呑んでほろ酔いした時のあの感覚に似て、夢はキラキラと眩しく回転して行った。

伴奏業と言う裏方の世界に埋没する片方で私は、裏方として芸能界のど真ん中に大型ドリルのように回りながら突き進んで行った。
衣装選びや多数のアイドルのシングル曲のデモテープ選びに始まり、コーヒーを買いに行ったりその日の収支報告書を作ったり、歌手がレコーディングの合間に摂るラーメンの出前を注文したり、頼まれれば何でもやった。

何をやってもむしろ楽しかった。だって依頼主は有名歌手や有名なアイドルだったりするのだから、そんな彼等の日常生活の片隅に居られるだけで私は本当に幸せだったから。

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最近になって、古い知人からあらためて「芸能界の裏方」の仕事のお誘いが舞い込むようになった。よくよく話しを聞いてみると、当時は当たり前のように実在していた「デキる裏方」が居なくなったのだと言う。
私はどうやら彼等が言うところの「デキる裏方」の一人に、何となくラインナップされているらしい。

だが、私はそれらのオーダーへは全て、お断りを入れている。なぜならば私はもう、裏方ではなくソリストとして、唯一無二の道を歩んでいるからだ。

そもそも私の本職は「芸術家」「作曲家」である。
当時シャンソンやカンツォーネ、タンゴやサルサのピアノ伴奏やライブ用のアレンジ業に携わっていた頃の私は言わば「世を忍ぶ仮の姿」であり、当時のどの職歴を摘まみ上げてもそれらは私の本性でも何でもない。
そのことに最近になって気付いた人たちが多いらしく、中途半端な詫びを入れながら「ギョーカイ」の仕事と言う彼等にとっては美味しい餌をチラチラさせながら、私の頭上にプラチナの糸を垂らして来る。

正直お腹いっぱいだ。なので話しの中身を訊かずに門前払いを喰らわせるが、敵もなかなかしぶといし、しつこい(笑)。
何れにせよ私には「裏方」になる気は全くないので、最近は届いたメッセージに返信すらしないで放置するようになった。

 

世界中の音楽を聴いていると、今どこにスポットが当たっているか‥ 等つぶさに分かる。これは「世界中の音楽を理論解析出来るスキル」が無ければ分からないことであり、おそらく多勢の音楽ジャンルを各々専門的に分析し続けて来た私以外に、このスキルを持つ人材は居ないだろう。
自身が作曲家であると同時に、私自身が既に音の博物館なのだ。

そんな「歩く博物館」がシーズン毎のプレイリストを作ると、物凄い数の音楽の分量と物凄い数のジャンルが当たり前のように乱立するチャンネルが完成する。
既に私のSpotifyアカウントをフォローしている方はご存じのように、どれ一つとしてハズレのプレイリストが無いのはなぜか‥ と言う疑問すら湧かない程、「Didier Merah博物館」は日進月歩で拡張・膨張し続けている。


プレイリストを一個作ると言う作業に、私は兎に角子供の頃の部活のようなトキメキを感じている。
毎週末にSpotifyには新譜が到着し、新譜たちは私の試聴の時を待っている。大体週末になると一気に200曲近くの新譜が私のチャンネル (Release Rader) に勢揃いし、私はそのすべての楽曲を漏らすことなくチェックして行く。

ざっとイントロからAメロ~Bメロ~サビから間奏へと斜め聴きするに必要なタイムが30秒から60秒、そこからリフレインを確認するのに大体一曲多くても90秒で仕事が進む。
気に入った曲はそこで一旦メモに保存し、後からフルサイズで再度試聴する。

各々のアーティストやミュージシャンの「現在」を知ることが出来るだけでなく、時代の全体図が新着の音楽から読み解くことが出来る。言わば「音楽科学」に似た構図が私の中に拡がって行くが、あえてそこは学術的には処理しないでおく。
音楽を聴く時には、極力屁理屈屋にならないよう気を付けている。理論武装は後からいつでも出来るから、せめて音楽自体に触れている時はいちリスナーに徹して、心ゆくまで音楽に深く心身を浸して居たいのだ。


最近作成中のプレイリストが複数あるが、その中でもオススメは以下の2つ。
是非フォローして聴いて頂けたら幸いである。



※本記事はブログ記事と同期掲載しています。

https://blog.didier-merah.jp/2021/10/11/work-to-create-playlists/


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