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陣痛の記憶 3. - 喪失

『陣痛の記憶 2.』から続く・・・

両性具有がその時々の状況に応じて繁殖の主導権を変化させて行く、これはおそらく高次の生命体であれば余り珍しいことではなかったと思う。だがリラ星の住人たちにそれが可能だと言う事実は余り公には語り継がれていなかったので、ダークサイドとしてはその現象についてはほぼノーマークだったに違いない。

宇宙船の船内の気温は23℃から徐々に25℃、29℃…と上昇し、リラ星のヒューマノイドにとって理性が維持出来る限界をとうに超えていた。
だが、ダークサイドはぶれることなく彼女の機能を破損させること、彼女のわずかに残された感情の機能を破壊することに圧力が集中していたので、僕は仮に僕が母性の機能をスイッチしたとしても妊娠にともなう多くの情報を彼女から完全に得るには、もう少し時間が必要だった。
だが、彼女から「女性性」や「母性性」の情報を得続けることはもう、これ以上が無理だと思った。

強引だとは思ったが僕は秘策に出た。彼女を擬似的に欲情させ彼女の体内から妊娠するのに必要な物質を取り出し、それに僕の「それ」を塗り合わせ再び彼女の体内に押し込んだ。その後十数分を待って、彼女の体内から子宮ごと僕の体内に移植を試みようと思っていたが…。

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