〜タクシーで帰るって!? 〜64年前の日記

昭和33年  1月20日  日曜日 晴れ

お父さんと ”蜘蛛の巣城” のえい画の帰り、本八幡駅をでると僕はすましながら、「お父さん、タクシーで行こうよ」と言うと「どうして?」と言われたので、ぜんぜんけんとうちがいでした。
「だって、寒いでしょ?」というと父はだまって歩いていました。

父は* 八幡タクシーの所まで来ると中に入って行きました。
中には一台もありません。
だまってずっとおくに入って行くと、小さい部屋からおじさんが出てきて、
「さあ、どうぞもうすぐ来ますから」といって、中で待っていました。


* 八幡タクシー:JR本八幡駅北口を出て直ぐ右にあった。当時は駅前ロータリーはなく、この長っぽそい建物の中に数台のタクシーが待機していた。

* 蜘蛛の巣城(くものすじょう):シェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えた 黒澤明監督、三船敏郎・山田五十鈴が主演の白黒映画。 
敵の矢が三船敏郎の首を貫く場面は臨場感があったので、とても怖くて今でも忘れられない。この日は錦糸町で観たのかな。


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タクシーで家に帰るなんて贅沢の極みです。父がよく承諾したと思います。
しかし、タクシーの中で父の吸うタバコが煙たくて父に文句を言いました。40年後、トイレの中でもタバコを吸う私に息子が「煙たいので止めて!」と怒りました。歴史は繰り返します。=============================================

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