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「魚信」の6月を振り返る3〜岡崎市の和食レストランの経営奮闘物語〜その12(7月5日)

前号からの続きです。

 西田さんが仕事を始めた頃の想いに立ち戻ることでこれまでの想いに気づきが生まれ、これからの「始まり」へと想いを馳せるように、人生のステージが変わるタイミングで、様々なことに気づくことがありますね。臨床心理学者のウィリアム・ブリッジズ氏は「トランジション・モデル」として提唱しておられ、組織改善にも活用されているそうです。

本書の解説より

人生とは、失恋、結婚、転職、死別、昇進、引越しなど、転機(トランジション)の連続です。その転機一体どうすればうまく乗り越えられるのでしょうか。
人生の転機「トランジション」を「終わり」→「ニュートラルゾーン」→「始まり」の3つに分け、人生の転機をどう乗り切るかを解説しています。
あらゆる状況には「終わり」があります。「終わり」と次の新たな「始まり」の間の期間、「ニュートラルゾーン」に突入すると、これまで自分が置かれてい
た環境や立場がなくなり、自分自身が何者であるのかも分からなくなり、将来も見えなくなり、ぬけがらのようになってしまうのです。ニュートラルゾーン
はこれまでの自分が失われ、先も見えない、とても苦しい時期です。著者はこう述べています。「人は跳び上がる前に、かがまねばならないのだ。このような旅はまた、たった一人で行くしかない。」「ニュートラルゾーン」では、急いで抜け出そうとして焦って行動を起こすのではなく、「終わり」を受け止め、空虚感や喪失感をしっかりと味わい、真摯に自分と向き合うことこそが、転機を活かし新たな「始まり」を迎えるために必要なことなのです。

 例えば、がんを医師に宣告された患者さんや身内の親族の場合、その不都合な事実を受け入れ、治療に入る前に心の葛藤が生まれます。間違ってやしないか、免疫で治るんじゃないか?針で治るかも。「死」を、がん治療を拒否したい、と葛藤に苦しみます。そのステージがこれまでの「終わり」を象徴するものです。どこかで整理をつけるのが「ニュートラルゾーン」で、現実を受け入れ、治療に向かう「始まり」のステージへと移行する、ということなんでしょうね。

 今回、このコロナ禍によって、西田さん始め、多くの経営者の方々は、突然これまでの経営を「強制的に終わらされた感」が生まれました。いきなりの営業自粛、不足する資金、従業員への補償問題等々山のような経営課題が降りかかっています。特に、観光・飲食の方々には直撃でした。また、景気の先行指標とされる工作機械受注実績(2020年5月の速報値)は,前年同月比52.8%減の512億6,000万円。うち,内需は同57.4%減の182億500万円,外需は同49.8%減の330億円5,500万円('20 7/1)と、これから始まるコロナショック不況の深刻さを物語るようです。

 次の新たな「始まり」へと移行する前に、これからどう生きるべきか、どう経営すべきか、何を大切にすべきか、抱えている借金、従業員やその家族への責任感、社会的な責任の大きさに気づかされ、改めて身震いする思いだ、と語る方もおられました。

 責任感の強い方であればあるほど、その重さに潰されそうになり、葛藤は深くなります。そんな葛藤に同じ目線で寄り添うことができるといいのですが。

私たち、人や資本にも限りがある零細企業です。選択を一つ間違えると、一気に危機に襲われます。かといって、慎重になりすぎて、行動しなければ未来はおろか年内終了でしょう。創業○年とか地域密着とかここから先は関係なくなるかもしれません。

と西田さん。6月を振り返ります。

そうですね。6月の出来事で印象に残っていることを個別にいうと、まずは21日(日)の「父の日」かなぁ。ご来店より仕出し料理のが多かったですが、コロナ後の最高売上更新となりました。また、「うおのぶ食堂」の方は6月コロナ前を超えてきてます。ランチタイムの来店者数、過去最高でした。

小さなことでも嬉しい出来事を思い出すことは、ポジティブなマインドづくりに貢献します。

おかげさまで、平日のランチタイムも85%まで上がってきました。ご予約も完全個室の少人数さまから平日にもかかわらず徐々に頂いてます。

「頂いてます」という表現に、ありがたい、感謝という気持ちがにじみ出ていますね。「感謝の心が人を育て、感謝の心が自分を磨く」と言われていますね。

特に嬉しかったことが、休眠客様が戻ってきてくれてる、ってことです。今回、魚信本店休眠客様宛にうおのぶ食堂の紹介ハガキを出したところ、休眠客様なのに6月24日現在9.1%の回収率、7月1日では12.3%!!これ驚きです。

休眠客の復活!

#ダイレクトレスポンスマーケティング  を知っている人は、これがどれだけ困難なことかご存知でしょう。私もカード会社や通信会社など数多くの休眠客復活プログラムを実践しましたが、普通これ復活しませんから。どんな内容か非常に気になります。

これは嬉しいサプライズですね。

どうして、こうしたことが起こり始めているんでしょうか?

お客様に喜んで頂きたい!って想いが現場にある、あふれてんじゃないのかなぁ~。もしかしたら・・・お客様を自分の大切な家族のようにもてなし、その行動に喜ばれ、その笑顔で自分たちも喜びを感じる。そんな想いが現場にあるんじゃないのかなぁ~。

(続きます)

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