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一番好きな映画について

 暇である。このコロナショックの影響で筆者は休日の旅行の計画はもちろんのこと、仕事すらない有様である。いや、仕方ないとは思う。それにしても外出についてここまで言われたのは正直聞いた事がないなと。

 ちょっと前までは「外に出ろ!引きこもってんじゃねえ!」なんてノリだった気がするけれど、今や形勢逆転もいいところである。そして、こんな中でもお仕事している方には頭が上がらないのは紛れもない事実だ。(特に物流関係の人たち)

 さて、話が大きくそれてしまったので本題に戻そう。コロナショックによって非常に大きな暇が出来てしまった筆者はせっかくだからとある一本の映画を見ることにした。ちなみにその映画を見るのは今回のnoteに記事にするために見た今回も含めて3回見ている。ざっくりと結論から言えば個人的には非常に面白い映画である。

 で、その映画がこちら↓

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 1997年に公開された(日本では1999年公開)ドイツの映画、ノッキンオンヘブンズドアである。(確かR指定の映画だったはず。念のため)

 監督はトーマス・ヤーン(以降ヤーン氏)、脚本は同監督のほか、マーチン役で出演しているテイル・シュヴァイガー(以降シュヴァイガー氏)が担当している。

 あらすじだが、脳腫瘍のマーチンと、末期ガン(骨肉腫)のルディがひょんなことから病室で意気投合し、病院の調理室でテキーラを飲みふけっていた際、ふとルディの言った一言と、酔った勢いでマフィアのものとは知らずにたまたま動いたベンツを盗み、海を目指す。

 作品の感想については先に述べたように非常に面白いものなので、以降はどのようなところでそう思ったのか述べていく。

 まず、死ぬという事実に吹っ切れたマーチンとルディは怖いもの知らずとなり、窃盗および強盗をしつつ海を目指すわけだが、その途中に盗んだベンツのトランクに入っていた大金を見つけ、それはさらにエスカレートしていく。

 ただ、断っておくとそれについてはグロテスクなものはほとんどなく、むしろ笑いを誘うものやそれに乗じたエロのほうが目立つ。

 たとえば途中でホテルに泊まるわけだが、部屋でのはしゃぎ方や過ごし方については互いに気の知れた高校生のような微笑ましささえある。しょうもない下ネタもそうだし、自分の今まで生きてきたことを話す際もそうだ。

 おまけに、警察やマフィアに追われているのにもかかわらず、めちゃくちゃに彼等をおちょくっているのだ。これはマフィアと警察の無能さがさらに引き立てていて、ある種のコントのように見える。正直この部分を楽しめればこの映画はかなり面白いと思う。

 しかし、それだけではマーチンとルディが好き放題やっているだけである。そんな二人をある意味現実に戻す描写としてマーチンの脳腫瘍による意識の混濁で倒れ込むことがしばしば起きる。

 言い換えれば、それをきっかけに展開が変わるようになっている。特にマーチンが服用している鎮痛剤が切れたときにとったルディの行動は思わず引き込まれてしまう。筆者としてはこの作品で一番好きなシーンであり、同時にこれによって主人公はあくまでこの二人で成り立っていると理解させてくれる。

 紆余曲折を経て、最後に二人が見たものはどんな景色なのか、そして、それを見る前のマーチンとルディの会話もまたその情景を引き立たせている。

 ここまで話の内容からこの映画の良さについて書いたわけだが、筆者がもう一つおすすめしたい点は、昨今の映画に比べ非常に短い時間で見れることとに加え、スピード感が半端では無いことである。その時間、なんと90分である。これだけの短い時間で息もつかせぬストーリー展開をするため、終わった後の余韻もまた何とも言えない良さがある。

 最後に一言付け加えるなら、この映画は死と犯罪を取り扱った映画ではあるが、あくまでフィクションなのでそこまで気を立てずに見たほうがいいと思う。そして道中の二人(特にマーチン)の行動は思ったより下品な方に振り切れているのでそこには注意していただきたい。

 筆者としてはこの映画を見てほんの少しでもコロナショックによる苛立ちが緩和されれれば幸いである。

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